──6月20日のコンサートの内容について、確認させてください。基本的には、梁さんのピアノとAKIHIDEさんのギターという2人のソロ演奏での共演が中心になると考えてよいでしょうか?
梁2人での演奏がメインになります。そこにそれぞれのソロを入れるかどうか、話し合っている最中です。今は互いの曲を伝え合っている段階なんですが、AKIHIDEさんが1つ1つ丁寧にリアクションしてくれて、「この曲にはこんなアプローチをやってみたいです」といった提案をしてくれているので、コンサートに向けて少しずつ進んでいる状況です。
──ピアノとギターという2つの音で奏でることに関してはどう思われていますか?
AKIHIDE自分の中には、色々な引き出しがあるのですが、今回はフルスペックでご一緒しないとまずいなと思ったので、さまざまなアイディアを提案させていただいているところです。ギタリストの枠から飛び出したい気持ちもあるので、あえてシンセっぽいアプローチでピアノを包み込んでしてみたり、ループペダルで作ったグルーヴに梁さんに乗っていただいたり、自分でも今まで体験したことのないものにしたいですね。梁さんの素敵なピアノと共演する中で、自分がミュージシャンとして表現できる全部を使って、どこにもない「Moon Sketch -first moon-」を作っていけたらと思っています。
梁AKIHIDEさんが言われた「体験したことのないものを作る」という認識は、互いに共通していますね。僕はこれまで、何人かのギタリストとの共演してきましたが、それぞれまったく違うので、同じようなものには絶対にならないんですよ。特にAKIHIDEさんの場合は、音が全方位から届いてくるわけで、予測できないことがたくさんあります。AKIHIDEさんのループのリズムやアンビエントな音色のギターを聴いた時に、自分がどう反応するのかが、楽しみです。僕は僕でピアノだけの音ではあるんですが、当然フルスペックで行くつもりですし、そこで何ができるのか、思いを巡らしてる段階です。
──今回のコンサートには「Moon Sketch -first moon-」というタイトルがついています。このタイトルに決めた経緯は?
AKIHIDE最初のオンラインミーティングの時に、「タイトルをどうしましょうか?」という話になったんですね。僕の普段の活動で、月をモチーフにしていることをお伝えして、「梁さんは何かモチーフはありますか?」とお聞きしたところ、モチーフはないけれど、ピアノスケッチと銘打ったライブをやっているとのことだったんですよ。そして、梁さんから、「月とスケッチを合わせて、『Moon Sketch』はどうだろうか」と提案していただきました。その言葉を聞いた瞬間に、月で音のスケッチを描いているイメージが湧き、素敵なタイトルだなと、ビビッときました。僕だけではなく、スタッフも含めて満場一致でこのタイトルに決まりました。
──梁さんは月に関してはイメージしていることはありますか?
梁月は、アートに携わる人々にとって刺激を与える存在であり、永遠のテーマだと感じています。AKIHIDEさんが「月」と言った時からそうしたものが重なり、自分の中での月のイメージを見始めました。今まで関わってきた映像作品の中でも月が登場するものもありますし、既存曲の中でも月が出てくる曲もあります。ただし、今回はそれよりも、月から連想した時に、自分が何をやるのかを重視したいんですよ。「first moon」という言葉も入っていますし、初遭遇の月がどう見えるのか、おぼろげな月なのか、美しい月なのか、躍動感のある月なのか、ライブの瞬間に感じる月のイメージを大切にして演奏したいですね。
──AKIHIDEさんは、「月がモチーフ」とおっしゃってましたが、ご自分の中での月の位置について説明していただけますか?
AKIHIDE20歳ぐらいの頃に、月の裏側に架空の都市があるという物語が、ふと頭に浮かんだんですよ。その物語が現在のソロ活動の軸になっていて、今に至っています。僕の作品は、コンセプトストーリーをつけたコンセプトアルバムが多いのですが、すべて、自分が想像した月の裏側の都市と繋がった話になっています。今、そのまとめの三部作の締めとなる作品を作っている最中です。
──月の裏側というところが独特ですね。
AKIHIDE月の裏側って、地球からは見えないじゃないですか。その裏側に何があるんだろうって、昔の人たちも想像したと思いますし、僕もその一人ですね。見えないからこそ、想像力を駆使するし、物語を広げやすくなります。月から生まれた物語が、自分の中で脈々と続いているので、月は自分にとってのアイディアの源泉みたいなところもあります。
──今回のコンサートは「first moon」ということで、初めての共演だからこそのスリルもありそうですね。
AKIHIDE初めてというのは、自分にとっても、観に来てくださるお客さんにとっても、素晴らしい体験になるんじゃないかと思います。互いにすべてが未知数の中で、一緒に1つの空間を作り上げていくわけで、そこで最初に生まれるものは、その時にしかないものじゃないですか。いい意味での裏切りがあったり、自分自身も知らない世界にふれられたりすることを期待しています。ファーストムーンって、満月なのか、三日月なのか、新月なのか、わかりませんが、それぞれの中にある月を思い浮かべる、大切なひとときになると思います。
梁おっしゃる通りだと思います。僕たちにとっても予期しない部分もあるだろうし、観に来る方々にとってもそうでしょうし、スタッフもそうでしょうし。そもそもの入り口からして、どうしてこの2人が一緒にやるんだろうという謎があるだろうし、その入り口から入ったら、未体験ゾーンが広がっていて、月の裏側にある架空の都市の情景が見えてくるかもしれないですし。そのドキドキ感やワクワク感を共有できるのが、ファーストムーンなんじゃないでしょうか。
──品川プリンスホテル クラブeXは円形の独特な雰囲気を持った会場です。この場所でコンサートをすることについて、イメージしていることはありますか?
AKIHIDE僕はこの会場自体は行ったことがないんですが、独特の雰囲気があるということで、僕自身も初めての場所で未知のライブを楽しみたいなと思っています。
梁僕も初めての会場なんですが、場内の画像を見ると、「Moon Sketch -first moon-」にぴったりなんじゃないかなと感じています。コンサートをやる上では、場所も重要な要素なんですよ。この場所から見えてくる月はどんななんだろうって思いますね。
──せっかくの 対談の場ですし、音楽以外のことでもいいのですが、この機会にお互いに何か聞きたいことはありますか?
梁では日常的なことで(笑)。AKIHIDEさんは音楽以外では、どんなことをしているんですか?
AKIHIDE音楽以外では、あまりやっていることがないんですけど、好きなのはサウナですね。サウナで作詞やストーリーの構成を大体考えてます。サウナに行くとぱっと浮かぶことがあるんですよ。梁さんは何をしていますか?
梁ミュージシャンって、両極だと思うんですね、趣味に走る人と、無趣味な人とで。僕の場合も、趣味はほぼない系なんですよ。でも、今サウナの話が出たので、その流れでいうと、僕は山に住んでいて、近くに温泉があるので、ちょくちょく温泉に行っています。ひらめく時って、圧倒的にシャワーを浴びている時だったり、お湯に浸かっている時だったりするんですよ。体の中の何かが循環して、発汗して、頭の中がクリアになるのかもしれないですね。あとは、趣味じゃないけど、草を刈っている時に、ひらめいたりしますね。だからなんの意味もないのに、草を刈ったりしています。
AKIHIDEアイディアのために草を刈るんですね(笑)。
梁そうです。これからサウナにももっと長く入るようにしようかな(笑)。
──今回のコンサート、ひょっとしたら、そんなサウナや草刈りから生まれたアイディアも反映されるかもしれないですね。最後に見に来る人たちに、メッセージをいただけますか?
AKIHIDE僕自身もワクワクして、未知の扉を開けようとしているところです。お客さんにもきっと、これまでに見たことのない月の景色、ファーストムーンをお届けできると思います。そのために僕自身もフルスペックで挑んでいきますので、ぜひいらして、その瞬間を見届けてください。
梁これまで共演させてもらったミュージシャンは、少なくはないんですが、AKIHIDEさんのようなタイプの人は初めてなんですよ。だから、月の裏の話じゃないですが、自分が見たことのない扉を開けるんだなとドキドキしています。僕たちが新しいところに向かってワクワクしながら演奏することが、必ず皆さんに伝わると思うので、それぞれの月の情景とストーリーを描いてくれたらいいんじゃないかな。みなさんのファーストムーンにもなると思うので、楽しみにして来てください。
PRESENT
梁邦彦&AKIHIDE寄せ書きサイン色紙を2名様
※転載禁止
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