西恵利香が自主企画ライブ「MAKE MY DAY vol.7」を開催!現在の心境や楽曲制作への想いについて語る。

インタビュー | 2020.11.09 18:00

──この取材は11月の頭に行っていますが、現在の西さんのスケジュールとしては「MAKE MY DAY vol.7」のリハに入っている、という感じでしょうか?

「MAKE MY DAY vol.7」についても考えつつ、あとは来年にリリースするための楽曲制作をたくさんやりつつ……という感じで。

──ああ、いまちょうど制作期間も重なっているんですね。

2020年は曲が全然作れなくて、未完成のデモばかりがたまっていくという日々で(笑)。自粛期間中、ほんっとうになにもやる気が起きなかったんです。周りのアーティストは「うたつなぎ」をしていたり、「いまできることをやろう」「この期間に学んだことが大きければ大きいほど次につながる」と発信していたりして……。

──なにか行動を起こさないとメンタルが持たなかった人も多かったのではないかと思います。

それでも行動に起こせるのはすごいですよね。わたしは朝までゲームして昼夜逆転して、たまにスーパーまで買い物に行って寝て、起きたらまたゲーム……みたいなヤバい生活をしてたんです。だから引け目を感じていて。でも自粛明けで人と会って話したりしてみると、「ほかのアーティストすごかったよね」と言い合える友達もいたので、そういう子たちと励まし合って現在に至るというか。笑 本当は8月のデジタルシングル「Hi-Light feat.おかもとえみ」ももっと早く出す予定だったんですけど、データ上のやり取りで制作をしていたので、みんなに会わずに制作をする環境に慣れてなかったことも影響してか、全然歌詞が書けなくて。

【MUSIC VIDEO】西恵利香 / Hi-Light feat.おかもとえみ

──お話を伺っていると、「人と直接会えなかったこと」も西さんにとってヘビーだったんだろうなと。

本当にそうですね。ウイルスは脅威ですし、なにげない日常が一気に奪われたことに加えて、音楽業界が真っ先にはじかれてしまって――先が見えない状況に、かなり落ち込みました。もともとインドア派なので、家にいることは苦じゃないんですけど、やっぱりここまで外に出られない日が続くと、すごくしんどくて。空き時間に行っていたカフェがいかに癒しになっていたか、外で食べるごはんって贅沢だったんだな……と実感しましたね。タイミングが合わなくて会えていないままの友達とリモートで連絡を取ったり、リモート越しで友達の赤ちゃんと初対面したり、そういう時間が救いでした。自粛明けから少しずつ動き出して、いまはエンジンを掛けていかないとな、と思っているところです。

──3月にリリースされた「1LDK」は新居を舞台にした楽曲で、計らずともおうち時間を有意義に過ごすアシストにもなった気がします。

新生活の曲にしたいなと思って作ったので、本当にたまたまなんですけどね(笑)。でもアットホームな明るい曲調ですし、自分的にも良かったなと思ってます。

──西さんの音楽は洗練されていて繊細なサウンド感に、大人になった女の子のリアルな心情を描いたものが多い気がするんです。これまでにいろんな経験をしたうえで、いろんな痛みを味わったからこそ生まれてくる女の子の気持ちが綴られているというか。

わたしは来年の1月で32歳になるんですけど、周りのアーティスト/タレント友達には20代が多くて。そうやって友達と話したりしていても思うんですけど……20代から30代になるときっていろんな葛藤があると思うんですよ。

──そうですね。

30というボーダーは大きくて、「あ、もう30過ぎてるんだね」と言われたり、特に女性は30過ぎて結婚してないと「まだしてないの?」と言われることも多い。地元の同年代の友達は結婚して家を買ったりしているなか、わたしは歌い続けていて――やっぱり結婚が羨ましくないわけではないし、両親にも申し訳ないなと思ったりもしていて。でも結婚して子育てをしている友達は「恵利香はずっと楽しそうでいいよね」「夢があっていいよね」と言うんです。だから20代から30代の女性は、どんな人でも心に痛みを感じていると思うんですよね。

──どんなに幸せそうに見えたとしても、その立場なりの痛みを胸に潜めているというか。

そういう子たちに対して「苦しい気持ちを抱えているのはあなただけじゃない。わたしもこうやって思ってるよ」と届けられたらいいな、と思ったんです。『Love Me』で自分が言われて嫌だったこと、羨ましいなと思ったことを正直に歌詞に書くようになったら、女の子に聴いてもらえることが本当に増えて、「西さんもわたしと同じように思ってたんですね」と言ってもらって。それまでは「言いたいこととかあんまりないな」と思ってたんですけど、『Love Me』で共感してもらえたことがすごく大きくて、これからも「あなただけじゃないよ」、「自分を愛して」とは歌っていきたいなと思ったんですよね。

──自分のちょっとカッコ悪い姿や本音をさらけ出して、自分だけじゃなかったんだなと知れた瞬間は張りつめた気持ちが緩んで、ほっとしますよね。

『Love Me』に入っている「本音」という曲は、正直制作期間があまりなかったので、そこまで書き直しもせず、そのときの気持ちを書きなぐったような感じになって――タイトルのとおりまさに本音なんです。そしたら女性ファンの方から「本音」がいちばん好きと言っていただくことも多くて。《あたしより若い 誰かさんに光る石》とか《あたしじゃない全て 羨ましくて》とか、みんな思ってたんだなー……って。

──「Hi-Light feat.おかもとえみ」も、《きっとこれが最後の恋》というラインが沁みます。

オフィスで斜め前に座っている先輩の上司に憧れているけど、結婚してるのか、それともパートナーがいるのか……というのが気になってしまっている女の子を想像して書いた曲で。《きっとこれが最後の恋》と女性側が思うことは、きっと男性には重いんですよね(笑)。主人公の女の子はそれもわかっているからこそ葛藤していて。この恋がうまくいってほしいな……と思いながら書いていきました。

──やはり女性の身体を持って、女性として生きてきた人間にしか感じられないことってありますよね。

世の中は変わってきているとはいえ、人と接するとまず最初に「男性」「女性」というカテゴリーを作ってしまうなと思うんです。女性として生きているからこそ感じることもたくさんあるし、きっと男性にも男性として生きているからこそ感じることがあるんだろうなって。わたしは男性ではないから男性の気持ちはわからないけど、女性から見た恋愛や人生を歌っていきたい。それが女性を超えて男性にまで届いたらすごくうれしいですし、わたしの曲を聴いて「女性はこんなふうに思ってるんだよ?」というのを男性にもなんとなーくわかってもらえたらいいかな……って歌詞を書きながらいつも思ってます(笑)。

──「MAKE MY DAY vol.7」を終えたあと、さらに制作に関するいろんなインスピレーションが湧いてきそうですね。

ライブをすることは、制作にも影響してくることだなと感じますね。今年リリースした曲をお客さんの前で披露したことがまだ一度もないので、THREE1989のライブを観たり、この2曲を入れたセットリストでお客さんの前でライブをしたときに「こういう曲が欲しいな」「この曲はもっとこういうアレンジにしてみるといいかも」みたいに、いろいろ感じると思うんです。やっぱりお客さんの温度感は生じゃないと感じられないし。

──お楽しみがたくさんのライブになりそうですね。自粛期間中に動けなかったとおっしゃっていましたが、そのときに感じたことがこの先に花開くんじゃないかなと思います。

2021年はアルバムを出したいですね。あと今年は「みんなそんなに頑張りすぎなくてもいいんじゃないか?」と思ったことも多かったんです。そういうことを伝えられるような曲も作っていきたいなと思ってますね。

PRESENT

サイン入りチェキを1名様に

※転載禁止

受付は終了しました

公演情報

DISK GARAGE公演

西恵利香 presents.MAKE MY DAY vol.07

2020年11月27日(金) 表参道wall&wall・東京

Live: 西恵利香-band set-
Guest:THREE1989

西恵利香band member
Gt.Cho.一戸祐介
Ba.ドラ内山
Key&PC 及川創介(Roomies)
Dr.山下賢(Mop of Head/Alaska Jam)

RELEASE

「Hi-Light feat.おかもとえみ」

配信SINGLE

「Hi-Light feat.おかもとえみ」

(para de casa)
2020年8月26日(水)SALE
●各配信STOREにて好評配信中!

Spotify

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  • 沖 さやこ

    取材・文

    沖 さやこ

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  • 東 美樹

    撮影

    東 美樹

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