First Love is Never Returnedにインタビュー!1stフルアルバム『W.O.R.K.S.』と過去最大規模のワンマンツアーに懸ける5人の現在地

インタビュー | 2026.10.07 19:00

札幌在住の社会人5人組バンド、First Love is Never Returnedが、10月7日に1st フルアルバム『W.O.R.K.S.』をリリースした。R&Bを源泉とした全方位型のポップミュージックを鳴らす彼らにとって、本作はメンバー全員がメインソングライターを務めた意欲作だ。今回DI:GA ONLINE初登場となる彼らに、結成の経緯や初のフルアルバムに懸けた思い、過去最大規模のワンマンツアーへの意気込みを聞いた。
──First Love is Never Returnedの始まりは、北海道から上京して会社に勤めていたIshidaさんが、当時の仕事を辞めて、ニューヨークにボーカル留学したこと。かなり思い切った行動に出たんですね。
Kazuki Ishida(Vo/Gt/Key)自分はフラストレーションが溜まると爆発して行動を起こすタイプなんですけど、あまりやりたくない仕事を続けていた反動で、行きたいところに行ってみようと。わずかだけど退職金が手に入ったので、それを全部つぎ込んでどこか行ってみようと思った時、頭に浮かんだのがニューヨークでした。
──帰国後にYujiさんと出会い、前身バンドを結成されたと。
Yuji Sato(Ba)ニューヨークから帰ってきたIshidaと札幌で出会い、意気投合して、「バンドやりたいね」という話になったんです。
Ishidaバンドって学生時代から始める人が多いと思うんですけど、自分たちは社会人になって突然始めたので、札幌のバンドマンコミュニティに全然入っていけなくて。知り合いもいないし、ボーカルとベースだけでどうしよう、みたいな。当時は「今度ライブやるのでドラムを叩いてくれませんか?」みたいな感じで縁もゆかりもない人たちに一生懸命DMを送って、サポート料金を支払って演奏してもらってました。
──そんななかで、次に加入されたのがKotakemoriさん。
Keita Kotakemori(Gt/Key/Cho)「ギタリストを探しているバンドがいる」と人づてに聞いたんですけど、2人とは対バンしたこともあって、上手いのは分かっていたので。その後加入したメンバーは、基本的に僕の友達ですね。2人はDMをたくさん送っていろんな人にアプローチしていたみたいだけど、「なんでそんなことするんだ?」「それじゃ絶対成功しないだろ」と思って(笑)。僕は元々バンドをやってたので、そのコミュニティの中に仲のいい友達とか上手い人も多くて。
──そして、Kotakemoriさんの幼馴染で以前一緒にバンドをやっていたこともあるMizukiさん、対バン経験もあったArataさんが順に加入されたと。サポートメンバーを都度呼ぶ状況から正規メンバーが固まっていく流れの中で、メインで曲を書いているIshidaさんはなにか心境の変化はありましたか?
Ishida例えば女の子をデートに誘ったとして「明らかにつまらなさそうにしているな」「いやいや付き合ってくれてるのかもしれない」というのが伝わってくると、けっこうショックじゃないですか。メンバーが固まったことで、そういうことがなくなったからすごくよかった……と言いたいところだけど、最初はみんな、あんまり乗り気じゃなかったよね?(笑)
Arata Yamamoto(Gt/Cho)熱量は今よりも弱かったかもしれないです(笑)。ただそれは乗り気じゃなかったわけではなく、僕はもう1つバンドをやっているから、そことのバランスも含めて、「違う脳みそを使うことになるけど、上手くできるかな?」と思ってたってだけで。
Mizuki Tsunemoto(Dr)僕も乗り気じゃなかったわけではなく、自分はちゃんと順応できるのか?って感じでした。僕がそれまでやっていたギターロックとはまた違ったジャンルだったので。
IshidaKotakemori氏だけだったかな? 最初からやる気満々だったのは。
Kotakemori俺は最初からやる気満々だよ! このバンドに全ベットしてる。2人のことは「こいつだったら人間性も大丈夫」「IshidaやYujiとも友達になれそうだな」と思ったから誘ったんですけど、その時点では、誘われた側の2人が俺より熱量低いのは当然なんですよ。だけど「Ishidaの作る曲を知れば絶対に沼にハマっていく」「一緒にライブをすれば絶対にやる気になる」という確信があって。
──実際、そうでしたか?
Arataそうでしたね。Ishidaさんの書く曲には、びっくりする要素がたくさんあって。僕も好きなR&Bやブラックミュージックのエッセンスもありつつ、それだけじゃなくて、ポップな要素もしっかり含まれている。歌詞も含めて「ああ、そういう視点で物事を解釈して曲を作ってくるんだ」という感じで、面白いなと思いました。
Ishida嬉しい。
Arata面白さを感じたきっかけは「Baby,Don't Stop」という曲でしたね。
Ishida確かにその辺りから、イヤイヤじゃなくなってきた(笑)。
Arata元々イヤイヤだったわけじゃないんだけど(笑)、テンションが上がるきっかけにはなりました。
MizukiArataの言う通り、Ishidaくんが作る曲は確かに普通じゃないというか、一つひとつが衝撃的でしたね。どの曲にも隠し味的なものが入っているので、曲を持って来てくれるのが毎回楽しみになっていて。気づいたら沼にハマっていました。
Ishidaそれはよかった。

『Baby,Don't Stop』Music Video

──最初は北海道のライブハウスシーンに馴染むために、ギターロックをやっていたんですよね?
Yujiそうですね。元々僕とIshidaは、ブラックミュージックとかが好きで。分からないなりに「どうやるんだろう」と言いながらギターロックを始めたんですよ。だけどロックバンドと対バンしていくうちに勝手が分かるようになって。そこにKotakemoriが加入するんですが、彼はもうそのジャンルが分かっている状態での加入で。その後、僕らはポップスに変化していくんですけど、その時は僕とIshidaが分かっている状態で、Kotakemoriは僕らと一緒にやっていく中でだんだん分かるようになっていった感じでした。そこに今度はロックをやってきたMizukiが入ってきて、彼が分からない番になる。だから全員が「分かる」状態でやっている期間がないんですよね。音楽性が変わっていくタイミングとメンバーが加入するタイミングが、ずっと噛み合わないまま来てるっていう。
Ishidaさっき話してた「Baby,Don't Stop」の時は、もう誰も分からない状態で。
Mizukiそうなんだよね。ちょうど転換点だったから。
Ishidaダブステップとか、誰も分からないまま突入していったりしてて。分からないなりに、それでもやってみたいっていう気持ちになったんだよね。
Arataうん。分からないけど、アレンジしっかり頑張りたいなって肩ぶん回してた。やっぱりあの曲って特別だったんだと思う。
──ジャンルに精通している人がいればその人が他のメンバーを引っ張っていけばいいと思うけど、全員が分からない状態の時って、何をモチベーションに進んでいくんですか?
Ishidaでも、それが一番面白いのかなと思いますね。全員分からないからこそ誰も有利じゃなくて、フラットな状態で挑める。初めて楽器を渡された時みたいに「どうすればいいんだろう」というところから始まって、それが合ってたか間違ってたかはあとから気づくっていうのも含めて面白い。「Baby,Don't Stop」は、そうやって葛藤しながらチャレンジした曲で。そのあとも、得意なことと初めての要素が混ざり合った曲をやったり、かと思えば久々にMizukiが得意なロックな曲が出てきたり、そういうことをずっと繰り返してきているんだと思います。
──今回のアルバムの10曲目「TPTTC」は、2019年ごろからライブでやっているそうですね。
Ishidaギターロックからシティポップに移行していく時期にライブでよくやっていた曲です。一旦眠らせていたんですが、今回ちょっと引っ張り出してきて。
──なぜ引っ張り出してきたんですか?
Ishida今回のアルバムでは、5人全員初めて曲を作ったので。この曲の〈Ten people, ten true colors〉(十人十色)という歌詞が、アルバムのメッセージと重なるなと思ったんです。この曲はロックな曲ですけど、全体をブラッシュアップするなかで思ったのは……さっき話していたような、得意・不得意みたいなジャンルの境目が、もう今は全くなくて、フラットになっているなということで。
Arata考え方が変わったのかもしれないね。「誰々はこれが得意、これが苦手」ということよりも、それぞれの曲にマッチしたアレンジをすることが重要になってきている。
Ishida各々、表現の引き出しも増えて、やれることも多くなったんだと思います。
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