
HONEBONEの通算10枚目となるニューアルバム『トゥーフェイス』。エミリと川口が、自分たちの持つ“二面性”を肯定し、作品の軸を見いだす上で大きなきっかけとなったのが、お笑い芸人であり、監督作である映画『MAD MASK』がブラジルの映画祭Fantaspoaにてミッドナイト部門最優秀作品賞を獲得した永野の言葉だった。もともと永野の大ファンだったという2人。3人はどのように出会い、互いをどう見ているのか。初対面の記憶から、表現者として共鳴する理由まで、率直に語り合ってもらった。
──まずは、3人の関係をご存じない読者のために、出会いのきっかけから教えてください。
永野出会いって、なんだったっけ?
川口直接お会いしたのは、本当に去年です。エミリが『千鳥の鬼レンチャン』に出演させてもらって、千鳥のノブさんに「女永野」と呼んでいただいたことで、永野さんからもリアクションをもらって。その後、たまたま別の番組のイベントでご一緒したのが、初対面でした。そもそも僕たちが永野さんの大ファンだったんです。普通にお客さんとしてイベントへ行ったりして。
エミリ私が映画『MANRIKI』(2019年公開。原作・脚本/永野)についてSNSでつぶやいたりしていて。永野さんがまだSNSをやっていた時に反応をくださるなど、ネット上ではちょこちょこ交流がありました。
永野その後、僕の誕生日ライブみたいなイベントに、2人が一緒に来てくれたんだよね。それから本格的に共演したイベントの楽屋で、「ああ、あの2人だ」みたいな感じになって。そこからトントントンと、仲良くなっていろいろありました。
川口永野さんのラジオにも出させてもらいましたしね。
永野僕のライブを観に来てくださったり、飲みに行ったり。知り合ってからの期間は短いですけど、急に関係が深くなりましたね。で、もう言っちゃうと、『MAD MASK』の次の映画のことも考えているんです。そのアイデアを最初にポロッと話したのが、この2人の前だったんですよ。
2人にはもともとの基盤がある。そんなことで崩れるものじゃないし、何だってありだ(永野)
──なるべくして仲良くなったわけですね。もともとファンだった方と、一気に親しくなった時の感覚は覚えていますか?
川口かなり興奮しました!初めて共演したのはお客さんの前でのイベントで、出演したのはエミリだけだったんですけど、僕も楽屋へ行かせてもらって。出番以外に永野さんと3人で話す時間があったんです。帰りもずっと興奮状態で、「すごい時間だったな」と思っていました。
永野あの時、俺、もっと面白くできたと思う(笑)。
エミリ&川口アハハハハハ!!
エミリいやいや、十分楽しかったです!むしろ、かなり深い話をしました。
川口『鬼レンチャン』に出たばかりで、少し人に知ってもらった時期だったんですけど、自分たちはミュージシャンじゃないですか。バラエティ番組に出たことを、いつまで言い続ければいいんだろう、という話をしたんです。そうしたら永野さんが、「それは、いつまでも言っていこうよ」と。ご自身もラッセンのネタでブレイクした経験があるからこその言葉でした。
永野でも、2人にはもともとの基盤があるわけですよ。そんなことで崩れるものじゃないし、何だってありだ、という話をしましたね。
川口「その姿勢のほうが、むしろパンクだ」とも言っていただいて。
エミリ結構、うちらの中で吹っ切れたよね。それ以降、SNS上の名前を「鬼レンチャンのHONEBONE」にしているしね(笑)。
永野素晴らしい(笑)。本当にそういうことなんですよ。
「このままでいいじゃん」と言ってもらえて、すごく開放された瞬間があった(エミリ)
──以前のインタビューでは、永野さんの言葉によってアルバムの方向性が見えた、とお話しされていました。
エミリそうですね。アルバムだけではなく、自分たちの方向性が見えました。
永野本当に? それ、プロデューサーじゃない(笑)。
エミリプロデューサーです(笑)。今回のアルバムは『トゥーフェイス』というタイトルで、“二面性”がテーマになっています。私たちは、ふざけるのもすごく好きだけど、かなり内向的な面もある。だから、周囲からは「どっちつかず」「中途半端」「何を言いたいのか分からない」と言われることがあったんです。
永野よく人にそんなことを言うよね。「お前ら、何様なんだ」って思うけど、俺だったら言わない(笑)。
エミリ私は業界の人から、「それはやめたほうがいい」「もっとボディーラインを出したほうがいい」「脚を出したほうがいい」みたいなことも言われてきました。誰をプロデュースしたのかもよく分からない業界のジジイに(笑)。でも、永野さんにお会いして、「このままでいいじゃん」と言ってもらえて、すごく開放された瞬間があったんです。
永野いや~、それはうれしい。
──永野さんは、初めてHONEBONEのステージを観た時、どんな印象を持ちましたか?
永野イベントの時のエミリが面白かったんですよ。観ていて、ハラハラ、ドキドキしたというか。今のタレントさんや歌手って、みんな立ち回りが上手いじゃないですか。もちろん上手いのはいいんだけど、「まあ、そうだろうね」という感じでもある。エミリは、今うまくいっているのか、ちょっと調子が悪いのか、面白いくらいすごく分かるんですよ。最初うまくいかなくて、その後うまくいって、「こうかな?」って探っている感じが見える。そこがすごく良かった。自分を見ているようでもあって、人間味がありました。
エミリ永野さんと、その時に一緒だった方たちが、私の取り扱い方を分かってくれた瞬間、すごく救われたんです。
永野自ら旗を挙げようとして、絡まっている感じも含めて、全部理解できたんですよ。昔は、そういう「人間」がテレビにもっといた気がするんです。でも最近は立ち回りがうまい人ばかりで、つまらない時もある。エミリが「わーっ」とやっている感じが、生々しくて興味を持ちました。
──永野さんご自身も、うまく立ち回れないことはありますか?
永野全然ありますよ。今日も番組収録で、「どうせ、こんなにしゃべってもエンディングの提供バックで使うだけじゃねえか」と言おうとしたんです。でも、「提供だっけ、エンディングだっけ」と正確に言おうとしているうちに、言葉が出なくなって(笑)。スタッフにも失礼だと思うし、周りからしたら、そこはどうでもいいことなんだけど、自分の中では許せなくてカリカリしちゃう。そういうところがエミリと似ている気がするんです。
エミリ分かります(笑)。
永野別に、「どう思われてもいい」わけじゃないんですよ。誠実だと思われたいから、正確に言おうとする。そうすると、どうでもいいところでつまずくんです。最近の若い人は器用な人が多いけど、エミリみたいな、こういう人もちゃんといるんだ、と感じられたのがうれしかったですね。
──川口さんの第一印象はいかがでしたか?
永野川口君は、最初は「できる人」だと思いました。人は、まず、エミリを見ちゃうじゃないですか、その傍らで優しく笑いながら見守っているなと。
川口あ、本当ですか。
永野でも第二印象は、「バカなんじゃないか」でした(笑)。
エミリアハハ!正解です(笑)。川口は本当におかしいんです!私はモラリストだし。
永野エミリはかなりエモーショナルだよね。川口くんは「バカ」というか、明るいんですよね。いいバランスだと思います。
──HONEBONEのお2人は、実際に永野さんと会って印象が変わりましたか?
川口変わったというより、深まりました。「本当にこういう人なんだ」という嬉しさがありましたね。好きな人に実際に会うのって、ちょっと怖いじゃないですか。
永野大体、失望する(笑)!
エミリあ~、それはそう。でも、予想通りであり、想像以上に良かった部分が多くて、安心しました。視聴者の方もそうだと思うんですけど、「俺たちの永野」がそのままいてくれたことが、すごくうれしかった。
永野それは、ありがたいし、うれしいですね!
エミリ仕事の時の姿だけではなく、メイクを落として私服で飲みに行った時も変わらないんです。芸能人の方って、オフになった瞬間、見た目も内面も全然違って幻滅することがあるじゃないですか。永野さんには、それが全くなかった。
永野ありがとう。でも2人も、『トゥーフェイス』、二面性の話じゃないけど、ラジオでも飲んでいる時でも、そのままでしたよ。













