永野×HONEBONE鼎談 出会うべくして出会った3人 永野の言葉が『トゥーフェイス』を導くまで【前編】

インタビュー | 2026.09.29 19:00

その「形成された自分」も含めて表に出すから、苦しくはない(永野)

──3人とも、“作られたキャラクター”と本人の間に大きな隔たりがないんですね。
永野僕の場合、若い頃にロック雑誌や映画雑誌、本を読みすぎたんですよ。カート・コバーンはいつまでも10代を忘れなかった、みたいな話を、多感な時期に読みすぎた。作られた自分の部分は、その影響だと思います。
エミリ苦しくなる時はないんですか?
永野いや、その「形成された自分」も含めて表に出すから、苦しくはない。むしろ、これは作っている自分だと、言っちゃいます。ただ、ラッセンのネタでブレイクした頃は嫌でした。逆に周りから「違う自分」を作られていく感覚があった。でも今は、すごく楽です。
エミリ私は、雰囲気のあるミュージシャンになりたかった時期はありました。周囲に緊張感を与えて、みんなが気を遣うような(笑)。でも無理でしたね。どうしてもこんな人間だから。ライブでもラジオでも、飲んでいる時でも、多分ずっと同じなんですよね。取り繕おうとすると、むしろ変になる。永野さんの前では、特に外したくなるというか、「ちゃんとして見せよう」という気持ちがなくなります。
永野それでいいと思う。2人は、そのままで面白いから。僕も、芸能人がメイクを落として私服になった瞬間、急に「年相応の人」になってしまうのを見て、寂しく感じることがあるんです。もちろん普通はそれでいいんだけど、好きな人には、どこかそのままでいてほしいじゃないですか。2人には、オンとオフで急に別人になる感じがない。
エミリあと、自分はお笑いが好きだけど、お笑い芸人になろうと思ったことはなく、ミュージシャンをやっているわけです。でも、お笑いの影響で、ミュージシャンや音楽業界を「ちょっとダサい」と思ってしまう時がある。そこで分離や乖離が起きてしまうんです。永野さんも、お笑いを嘲笑しているわけではないけれど、テレビ業界に対して「この人たちはおかしい」と思っているところがあるじゃないですか。その場所で、どうやって、なぜ戦っていられるのかを聞きたかったんです。

永野それは、戦おうとしたけど、やっぱり駄目だったんですよ。10年前は、「何かおかしい」と思っても、「プロだったら、おかしいと思っちゃ駄目でしょ」という圧力に負けていました。売れた時の芸能界は、すげーなんかつまらなかったですよ。何にも面白くないじゃんと思っていて(笑)。
でも、今は「配信王だ!」なんて言って、本当のこと……というか、「こういう自分」を出したら、それがウケた。仲間が増えた感じがしましたね。
エミリあ~、その中でも分かってくれる人がいたといった感じで。
永野そう。視聴者にも「私もそういう気持ちです」と言ってもらえた。それで、自分の感覚に自信がついたんです。今は、ちょっとラッキーもラッキーというか、テレビでもポッドキャストでも、自分の意見を言うキャラクターでOKとなって、「やっとだな」と思っています。
──同じ売れている状況でも、10年前と現在では違うと。
永野そうですね。配信で自分の考えを話すようになって、初めて「分かる」と言ってくれる人が現れた。HONEBONEのように業界の中にも、同じような違和感を持っている人がいると分かったんです。僕が急に強くなったというより、味方がいることに気づくようになった。そこは大きかったですね。

永野さんは、すごく少年っぽい。「大学で一番面白い先輩」みたいな近さを感じています(川口)

──永野さんとお2人には年齢差もありますが、そこにギャップは感じますか?
永野それは、あまり考えたことがないですね。年齢というより、人として見ています。
川口永野さんは、誰に対しても年齢云々で見ていないですよね。
永野同じ年齢でも「クソジジイだな」と思う人はいるし(笑)、年上でもすごくフレッシュな感覚を持つ人もいる。やっぱり年齢ではなく、その人自身なんだと思います。
エミリなるほど~
永野人というか、過去の作品から影響を受けることもありますよ。最近、家で80年代のジャッキー・チェンの映画を観ているんです。20代、30代の頃のジャッキーのパワーから、ものすごく力をもらっている(笑)。
川口それこそ、カート・コバーンのインタビューも、いまだに染みているわけですもんね。
永野そう。もう、カート・コバーンなんて年下も年下じゃん(笑)。だけど、「うわ、すげえな!」と思う。だから、年齢は関係ないかもしれないですね。

川口永野さんは、すごく少年っぽいんです。「大学で一番面白い先輩」みたいな近さを感じています(笑)。失礼かもしれませんけど。
エミリうん、分かる、分かる!
永野うれしい~。最近は、同世代がだんだん哀愁系に向かうから、逆張りでポジティブな方向へ行きたくなってきた。その人たちが若い時は、哀愁系だったんですけどね。草笛光子さんを目指している部分があります(笑)。草笛さんのように年齢を重ねても明るく元気でいる人って、きっといろいろなものや絶望を経て、あそこへ行っているんですよね。「そういくしかねえんですから!」みたいな(笑)。
エミリ私は放っておくと、哀愁系に行ってしまいそうなんです。年齢的に尖り続けるのもしんどいし、周りも見ていられない。「じゃあ哀愁ですかね」となりそうな時、川口が「つまんねえよ、そんなの。お前はクレイジーに行こうぜ」と言ってくれる。黙っていたら、私は超つまらないボーカルになるんです(笑)。
永野それ、分かるわ(笑)。

<後編は9/30(水)19:00公開>
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