
せっかく20周年という節目の年やし、成人式くらいはしとかなあかんなと思って(ゴウシ)
──バンド結成20周年を祝う、『20周年記念プロジェクト』進行中のカルメラ。2023年5月のラストライブをもって活動休止中のカルメラが、『20周年記念プロジェクト』を始動することになったのにはどんな経緯があったのでしょうか?
西崎ゴウシ伝説(Agitator, Tp, Gt, Per)リアルな話でいうと活動休止するに至るまで、1年くらい前からミーティングを重ねていて。僕は“活動休止反対派”で「休止する必要ある?」って、ずっと言い続けていたんですけど。メンバーで何度も話し合った結果、「活動休止しましょう」という結論に至ったので。2026年が活動20周年であることに気付いてはいたんですが、「みんな、やりたくないだろう」と思って。僕から言い出すのは違うなと思っていたんです。
──なるほど。その気持ちはすごく分かります。
ゴウシそんなことを思ってたら、去年の夏くらいですかね?事務所のマネージャーに「来年、カルメラ20周年ですけど、なにもしないんですか?」と聞かれて。その時は世間話くらいに思ってたんですけど、実はマネージャーが他のメンバーにも同じように聞きに行っていたみたいで。「みんな、やりたくないんじゃないの?」って言ったら、「いや、意外とそんなこともなさそうですよ」って。
辻本美博(Sax)もう、みんなへの裏取りが始まってたんだ(笑)。
ゴウシそう、その時点で半分くらいのメンバーに聞いてたみたい(笑)。そこで改めて、「せっかく20周年という節目の年やし、ファンの人たちも3年くらい待ってくれてるし。なにかやらないと、待ってる人たちにも失礼やな」と思ったし。事務所の社長やマネージャーといった運営陣もカルメラのことを気にしてくれてることが嬉しくて。「成人式くらいはしとかなあかんな」と思って、「一回集まりましょう」って声をかけて。めっちゃ久しぶりにメンバー全員集まって、「20周年、どうしようか」って話をしたんです。それがちょうど1年前、去年の9月くらいだったんですけど。そこからはもう、ウッキウキですよ(笑)。「いつ発表するんやろう?」とか「どんな感じで発表しよう?」とか、もう気持ちが溢れ出てくるんです。で、発表したのが今年5月だったんですけど。僕ら、アホなバンドだって認識してもらってる側面もあるんで。一番アホな形で発表したいなと思って、ドラマ仕立ての動画で『20周年プロジェクト』の始動を発表するという形になったんです。
20周年、一緒に頑張りましょう!って、居酒屋のカウンターでがっちり握手して(辻本)
──辻本さんはこの話を聞いた時、いかがでしたか?
辻本いやもう、ゴウシくんが喋ってくれたのが全貌なんですが。僕は20周年っていうのに気付いてなくて、マネージャーに言われて「そうなんや」ってくらいだったんですが。ゴウシくんと一緒で気にしてくれることが嬉しいし、ありがたいことやなと思いましたね。あと包み隠さずいうと活動休止に至るまで、僕もゴウシくんもお互いに思うことがあったのは分かると思うんですけど。休止期間中にお互いやるべきことがあって、「俺は俺で頑張ろう」と思っている時、ゴウシくんはCiONの仕事をやり出したりして。ゴウシくんが僕にCiONのレコーディングの話を振ってくれて、いちプレイヤーとしてすごくありがたいなと思うことがあったり。スケジュールの都合でお断りしたことがあった時も「だったら、こういう形ならお願い出来るかな?」って、僕のために都合をつけてくれたり。
──カルメラをやっていた時とは違った関係性でお付き合いが出来たんですね。
辻本そう。それで仕事で顔を合わせる機会があったり、「ゴウシくんって、やっぱり優しい人だな」と改めて思うこともあったりする中、ある日、3年半ぶりくらいにゴウシくんと二人で呑みに行くことになったんです。その時に「お互いに思うこともあったけど」って正直に話し合って、「結果、休止してる間に自分も音楽家として成長出来た自信もあるし、いろんなことをポジティブに変換出来る感じになってます」と自分の気持ちを話して。「だから改めて20周年、一緒に頑張りましょう!」って面と向かって言って、居酒屋のカウンターでがっちり握手して。結果、朝の6時半まで呑みました(笑)。
──わぁ、めっちゃいい話じゃないですか!
ゴウシ分かりやすくいうと活動休止の時、「それぞれのやりたいことを優先するということで、活動休止します」って発表したんですが。辻本はPOLYPLUS(辻本がリーダーの別バンド)はじめ、アーティストサポートやレコーディング仕事もやっていて、「自分の活動をもっと高めていきたい」って話やったんですけど。俺からしたら、「いや、俺のやりたいことはCalmeraやねんけど!?」と思ってたんです。でも結果、二人で呑みに行った時も話したんですが、「活動休止の時はそう思ったけど、活動休止したことで自分でせなあかんこともいっぱい出来たし。あのままカルメラを続けてたらやれなかったことも色々やれてるし、ぶっちゃけ生活も豊かになってる。結果、めっちゃ感謝してるわ。ありがとう」って言ったんです。
この歴史をあえてフィジカルで残したいという気持ちもあったし、ベスト盤というものへの憧れもすごくありました(ゴウシ)
──離れた期間があったことでお互いの大切さも分かったし、それぞれがカルメラを続けてたら得られなかったような経験も得ることが出来て。それを互いに意地を張らずに言い合えたこともすごく美しいですし、20周年に向けて前向きな気持ちになれたことが素晴らしいです!そして、ついに動き出した『20周年プロジェクト』。ベスト盤のリリースというのは、メンバーから出たアイデアだったんですか?
ゴウシベスト盤は、運営陣含めてのアイデアだったりもするんですけど。ベスト盤を作ろうと思ったら、サブスクのプレイリストで自分で作れちゃう時代ではありますが。これまでたくさんの楽曲を盤に残してきたので、この歴史をあえてフィジカルで残したいという気持ちもあったし。ベスト盤って売れてる人が作るもんやと思ってたから、ベスト盤というものへの憧れもすごくありました(笑)。
辻本ベスト盤はゴウシくんが先導して進めてくれたんですけど、大阪で活動していた頃は、そういうことをゴウシくんがやってくれてたんで。音源データを集めたり、エンジニアさんやデザイナーさんとのやり取りをする姿を見て、「大阪時代を思い出すなぁ」と思ったり。大阪時代にゴウシくんがよく言ってくれてたのが、「バンドの運営みたいなことは全部、俺がやるから。みんなはその間に自分のスキルを高めるもよし、人脈を広げるもよしで、自分の活動をやってくれたらいいから」ってことで。そのおかげでバンドという大きな母体がありながら、僕らはのびのび出来たし。結果、東京に行けるところまで繋がったので、その香りがちょっとするのがいいなと思いました。
ゴウシベスト盤の制作中、イキイキしてたもんね、俺(笑)。
辻本そうですね。「これで進めとくね、気になることがあったら言ってね」って感じで、ゴウシくんがどんどん進めてくれて。出来上がったベスト盤が手元に届いた時、僕の割いた労力なんて2mmくらいだったので。「ゴウシくん、ありがとう!」って、心から思いました(笑)。音楽が形のないものに移っていく時代の中で、こうしてフィジカルで残せるっていうのもすごく良いと思うし、すごくいい企画になったと思ってて。『20周年プロジェクト』の目玉として「20周年ベストアルバムを出します」「新曲を出します」「ライブをやります」という3つの公約を掲げているんですが。これでひとつ目の公約が叶ったので、手に取った人は「ゴウシくん、めっちゃ頑張ったんやな!」と思って欲しいです(笑)。
ゴウシいや頑張ったというよりは、楽しくてやりたくて仕方なかったという感じだったけどね。これまでカルメラとしてたくさんの作品を出してきましたけど、「あの時、こうしておけば良かった」っていう後悔っていっぱいあって。例えば、僕らの『THE PARTY!』(2016年)ってアルバムがあるんですけど。カルメラはずっと同じマスタリング・エンジニアさんにやっていただいていて、いつもはアドバイスをいただいて色んなパターンを試してるんですけど。あの時は変に我を出して、「もっと、こういう風にして下さい」っていっぱい言ったことによって、「言うこと聞いておけば良かったな」と思うことも多々あって。しかもあのアルバムがライブ定番曲ばかり入ってる盤だったので、そのことをずっと後悔していて。今回、全曲リマスタリングさせてもらったことで、ようやく納得のマスタリングになって。あぁ、やっと報われたなという気持ちです。
──過去作品に「あの時、こうしとけば良かった」と後悔するのは、ミュージシャンあるあるですが。20年頑張ってきたから、そういう機会にも恵まれて良かったですね。
ゴウシあとはカルメラを新規で聴いてくれる人に「まずはどのアルバムを聴けばいいんですか?」って聞かれた時、ファンの人やったら「あのアルバムとこのアルバムと」みたいに答えると思うんですけど。「とりあえず、このベスト盤を聴いておけば間違いないよ」って言えるものが出来たなと思ってて、それもすごく嬉しいです。







