Calmera、20周年に3年ぶりのワンマンライブを開催!西崎ゴウシ伝説、辻本美博が始動から現在のモードを大いに語るロングインタビュー

インタビュー | 2026.09.14 19:00

バンドとしてのターニングポイントって話だと、「犬、逃げた。-ver. 2.0-」ですね(辻本)

──今回のベスト盤は、2枚組32曲入り。Calmera、20年の歴史をずっしりと感じる重厚な作品になって。辻本さんが「ベスト盤に割いた労力なんて2mmくらい」と言ってましたが、20年の歴史を作るのに多大な貢献をしているわけで。みんなで20年かけて作ってきたものが、ひとつの作品として残せたのはすごく意味があるし、価値があります。
辻本それは確かにおっしゃる通りです、私も貢献してました!(笑)
──わはは。ではベスト盤の収録曲で、それぞれ特に思い入れの強い曲とそれにまつわるエピソードを挙げてもらえますか?
辻本バンドとしてのターニングポイントって話だと、「犬、逃げた。-ver. 2.0-」ですね。東京に来て2年目の頃、この曲をソニーのハイレゾ対応オーディオ「h.ear × WALKMAN」のテレビCMに起用してもらって。タイアップ1曲で世界がガラッと変わるなんてことはないですけど、「東京ってこういうことがあるんか!」と思いましたし。ひとつ、成功体験を積ませてもらった曲ではあるなと思ってて。もともと、大阪時代からキラーチューン的な感じで、ライブのピークを持ってくる曲であったり。PAKshin(Key)が初めて合流する時に弾いた曲だったりというバックストーリーもあった上で、その曲が東京に来て最初の起爆剤になってくれたという流れもあって、すごく思い入れがあります。

【MV】カルメラ 『犬、逃げた。-ver. 2.0-』(2016) CALMERA

ゴウシ僕はやっぱり「乾杯ブギウギ」ですね。あの曲はもともと、あんなファニーな曲ではなくて。ただのブルース進行の曲やったんですけど、「もっと盛り上がる曲にしたい」って、盛り上がり要素を付け足していった結果、ホンマに散らかった曲になって。
辻本魔改造しましたよね。
ゴウシそう、魔改造(笑)。ライブやとコントを挟んで30分くらいやってみたり、“乾杯タオル”でやみんなで乾杯するのがライブの定番になったり。実は「これ1曲挟むだけで、コミックバンドに思われるんじゃないか?」って、抵抗があった時期もあったんですけど。氣志團の綾小路(翔)さんに「曲のパワーがありすぎて、ちょっとやりたくないんですよ」って相談したら、「俺ら、「ONE NIGHT CARNIVAL」を何年やってると思ってるの!?」って(笑)。「カルメラのことをまだ知らない人なんて、莫大にいるんだから。全員に知ってもらうまでやり続けないと、ここまでやってきた意味がない」って言われて、「絶対にやり続けよう!」と決心したんです。

【MV】カルメラ「乾杯ブギウギ−10th Anniversary & MGM LIVE mix-」(2016)CALMERA

──カルメラを知る入口としては最適ですし、こんな一撃必殺の武器を持っているバンドって、そんなにたくさんいないと思います。
ゴウシそうですね。あと、「ロックンロールキャバレー」ですね。僕がカルメラをやる前にやってたバンドから持ってきた曲で、一回死んだ曲だと思ってたんですけど。「せっかくやし、セルフカバーじゃないけどカルメラでも演ろう」となって、深く考えずに<ギンギンギギン>って、ちょっと下ネタにも取れるような歌詞をみんなで笑いながら付けて。結果、曲にパワーがあったのか、ワードにパワーがあったのか、バンドを代表する曲になっていて。一時期は『R−1ぐらんぷり』のテーマ曲的に使ってもらったり、曲が勝手にひとり歩きしてくれて。カルメラを休んでる間も、「ロックンロールキャバレー」みたいな曲を作って下さい」ってめっちゃ言われて、「あれはあれやから、超えられるわけがない」と思いながら、すごくありがたいなと思っています。

2019年5月11日@BIGCAT ロックンロールキャバレー(R−1ぐらんぷり)

──そして、「新曲を出します」という2つ目の公約についてもお聞きしたいのですが。ベスト盤には新曲「月紅」が収録されていて、ここでもひとつ公約を果たしています。
ゴウシさっきの話じゃないですけど、「ベスト盤は出したいけど、プレイリストを並べたらそれなりに作れるし」ってところで。じゃあ、ベスト盤に新曲を入れたいと思って、新曲ありきでベスト盤の制作を進めたところもあって。「じゃあ、3年間ブランクのあるカルメラが、どんな新曲を作るべきか?」と考えた時、それぞれがパワーアップした姿を見せるべきか?とか、「カルメラといったらこれだよね!」というど真ん中を見せるべきか?とか、いろいろ悩んだんですが。結果、「いままでカルメラが作ってきた、たくさんの曲たちの集大成的な曲にしよう」と思って作った曲でした。だから、「ここはこう捻って」みたいなことも全くせずに「カルメラやったらこうやろな、こうしてきたよな」の連続で曲を作ったら、マジで5分くらいで出来たんです(笑)。
──え~~!20年培ってきたものってスゴイですね(笑)。
ゴウシ構成やメロディやコード進行みたいなのは、マジで5分くらいで出来て。その後、肉付け作業するのにたっぷり時間をかけましたけど、ゼロイチの発想は一瞬でしたね。
──新曲「月紅」は<Disc2>の一番最後、言ったら32曲入りのベスト盤の最後を締めくくる位置に置かれていて。僕が聴いて感じたのは、「エンタメジャズバンドの20年目って、こういう曲が生まれてくるんだ!」という圧倒的な説得力でした。
ゴウシ僕ら、10年目くらいから、“エンタメジャズバンド”を名乗るようになったんですけど、結成した瞬間は僕とギターの(宮本)敦の二人きりで。「月紅」はたった二人でバンドを始めて、「どんなバンドにしようか?」って会話になった時、「こういう曲をやっていこう」って最初に決めた設定を意識して作ったんです。
──え~~、面白い!!
ゴウシだから、僕はすごくカルメラっぽい曲が出来たと思ってるけど、SNSを見ると「いい曲だけど、カルメラっぽいというのはよく分からんかった」みたいな感想もあって。メンバーにはもちろん伝わってると思うんですけど、僕の中ではある種、「初期衝動の宣言し直し」というイメージなんです。

配信リリース「月紅」

──初期衝動を20年目のカルメラが鳴らしたら、こうなりましたってことですよね?楽曲を聴くと胸躍る軽快さもありながら、哀愁や渋みもしっかり出せていて。これは20年のキャリアやスキルあってこそだなとすごく思いました。
ゴウシ初期衝動って話しましたけど、20年前、僕がまだ20代だった頃、ああいう曲調ばっかり作るバンドをしていて。演奏が下手とかはもちろんあったんですけど、それよりも「演ろうとしてることが渋すぎる」っていうのを、大人にいっぱい言われたんです。「もっと大人がやってるんやったらいいけど」って、すごいいろんな人に言われて。
──なるほど。当時演ろうとしていたことに、いま年齢が追いついたんだ!
ゴウシそうなんです。例えば、逆のパターンで青春パンクみたいな音楽を演るんやったら、実際に青春時代を送ってる人たちの方が輝いて見えるじゃないですか?それとは逆で、僕らは20代やのにすごい背伸びした音楽を演ってたんやと思うんですけど。僕も50歳を手前にして、こういう曲をやるにふさわしい年齢になったんやなって感じがしてますね。

みんなが聴きたいであろう曲ばっかりを選んでやるようなライブに(ゴウシ)

──そこに気づけたのも、きっと20周年をやった意味の一つですよね。そして、ファンのみんなにはそんな20年目のカルメラが鳴らす音を、ぜひ生で聴いて欲しいですね。
ゴウシそれはもちろん。ライブに関して言うと、これもベスト盤や新曲の話にも似てるんですけど。通常営業してる時やったら、「次はどんなひねったライブしようか?」とか「どこでどんな仕掛けを作ろうか?」といったことばっかり考えてきたんですけど。今回に関しては、「わざわざ変化球を投げなくても、3年待ってくれた人たちには“これぞ、カルメラ!”と思ってもらえるライブの方がいいやろな」と思って。あえて言うなら、そういう仕掛けにしようと考えて組み立てました。だから、奇をてらってマニアックな曲よりは、みんなが聴きたいであろう曲ばっかりを選んでやるようなライブにしようと思って。
──ベスト盤の選曲に近い感覚だったんですね。
ゴウシそうですね。ただ、32曲も出来ないんで(笑)。ベスト盤の収録曲の中から、さらに寄りすぐった代表曲と思っていただけるような曲ばかりを演ろうと思ってます。あと、個人的にすごく嬉しかったんですけど。セトリを決める会議をした時、みんな忙しいやろうから、「こんな曲がやりたい」ってある程度、僕がピックアップして出したんですけど。PAKshinとかが、「ゴウシくんがどんどん引っ張ってやってくれてるのは嬉しいけど、セットリストくらいはみんなで考えません?」って言ってくれて。そこから、全員でああだこうだ言って、「これで完璧や!」って8人が納得するセットリストになったという経緯があるので、間違いないです。
辻本あと今回の会場が大阪がBIGCAT、東京がリキッドルームっていう、僕らにとってはどちらもターニングポイントになったライブハウスで。今回、『カルメラ成人式』ってタイトルですけど、カルメラが上京が決まって東京に拠点を移した2013年に『大阪卒業式』ってタイトルでライブをやったのがBIGCATで。あの時、ファンの方々も涙ながらに観てくれて、「東京行っても頑張ってきてね」って送り出してもらったのを強く覚えてて。リキッドルームはさらに昔の話になるんですが、まだ上京も決まっていない時、数少ない東京でのライブの中でSOIL&"PIMP"SESSIONSのツアーのオープニングアクトをやらせていただいて。quasimodeとの対バンに大抜擢してもらったんですが、パンパンの会場で演らせていただいたので、「これは獲りに行かなあかん!」ってすごい気合いの入ったライブをやったんですが。その時にソイルが渡してくれたバトンは確実にあって、そこで観てくれた人たちが上京するキッカケになったライブの時も応援に駆けつけてくれたり、いまでも応援してくれていたりしていて。大阪・BIGCATも東京・リキッドルームも、ここで我々が20周年ライブをやること、観ていただけることにすごく意味があると思っています。
──いま、ターニングポイントという言葉も出ましたが、ゴウシさんは20年を振り返って、特に印象的な出来事とか、ターニングポイントってどこでした?
ゴウシこれは本人がおるから言うわけじゃないですけど、間違いなく辻本の加入ですね。もともと彼が別のバンドをやっていた時、たまに対バンをしていて。その頃、僕らはもっと哀愁のメロディを感じる、速いジャズが演りたかったんですけど。それには哀愁に支配されないような、めっちゃ激しいサックスが欲しいなと思っていて。対バンした時に、「あの辻本くんって人みたいなサックスがあれば、俺の作曲の最後のピースがハマるのにな」と思ってたら、「バンドを辞めた」って情報が入ってきて。辻本とはなんの面識も無かったんですけど、「俺のバンドに入ってくれ!」って連絡して加入してもらったという経緯がありまして。その後、カルメラはメンバーが入れ替わり立ち替わりしましたけど、大きなターニングポイントになったのは辻本の加入でした。

現場が最前線ですから。我々のサウンドを生で感じて、生で楽しんでいただけたら嬉しいです!(辻本)

──今日は照れずにいろんな話をしてくれて、いい話満載ですね(笑)。では最後に直前に控えたワンマンライブ『カルメラ成人式』に向けて、それぞれメッセージを下さい。
辻本いっぱい話させてもらいましたが。なによりこうして、直接コミュニケーションを取れる場所を用意出来たので。大阪、東京の2箇所ですが、ぜひ足を運んでいただきたいです。なにせ、現場が最前線ですから。我々のサウンドを生で感じて、生で楽しんでいただけたら嬉しいです!あと、この3年間でカルメラを知ってくれた人も結構いて、「出会った時には活動休止していたんで、ライブ観たかったんです」と言っていただいたりもするので。初めてライブに来るという方も大歓迎いたします。次、いつ会えるか分からないので、観れる時に観といて下さい(笑)。
ゴウシそうですね。活動休止の間にロッテの石川慎吾選手の応援曲に「鍋屋横丁の夜明け」が選ばれたり、カルメラを初めて知ってもらえる機会も結構あったので、新規の方も大歓迎ですし。3年間待ってくれてたファンのみなさんに同窓会みたいな感じで集まっていただいて、「久しぶり!」って実際の成人式みたいに楽しんでもらえたらいいなと思いますし。「今後どうするか?」っていうのは、本当にまだ決めていなくて。「カルメラめっちゃ良かったから、これからもやって欲しい!」っていうみんなの熱い想いを感じ取ったら、「また、すぐやろうか」みたいなことになるかも知れなくて。8人でやってきた20年ですけど、ファンと共に歩んできた20年でもあって。ファンのみなさんも「これからのカルメラはどうするのか?」っていうのを決める要因の一人でもありますので……。
──なんで、そんなファンにプレッシャー与えるようなこというんですか(笑)。
ゴウシあはは。とにかく!僕らも全力で演りますので、みなさんにも全力で楽しんでいただきたいです。みなさんにお会い出来る日を楽しみにしてます!!

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