HIMEHINA、東京凱旋公演で魅せた全身全霊のパフォーマンス。ワールドツアーファイナルはSGC HALL ARIAKE 2Days

ライブレポート | 2026.08.24 18:00

HIMEHINA WORLD Tour 2026『LIFETIME is BUBBLIN』
2026年8月11日(火・祝)Zepp DiverCity(TOKYO)

田中ヒメと鈴木ヒナによるバーチャルアーティストユニット、HIMEHINAの東京凱旋公演「HIMEHINA WORLD Tour 2026『LIFETIME is BUBBLIN』in Tokyo」が、8月11日にZepp DiverCity(TOKYO)で開催された。

2025年7月にリリースされたフルアルバム『Bubblin』を引っ提げた「LIFETIME is BUBBLIN」は、非常に規格外の経過をたどっている。昨年11月22、23日にパシフィコ横浜 国立大ホールで開催された2Daysライブ「HIMEHINA LIVE 2025『LIFETIME is BUBBLIN』」の最終日に、国内外を回る「HIMEHINA ASIA Tour 2026『LIFETIME is BUBBLIN』」の開催が発表され、「LIFETIME is BUBBLIN」は実はツアーであったことが明かされる。

さらに後日、韓国・ソウルとアメリカ・サンノゼでの追加公演が決定し、それに伴いツアータイトルは“ASIA Tour”から“WORLD Tour”に変更される。それだけにとどまらず、初となる東京凱旋公演と、10月にツアーの集大成となるグランドフィナーレ公演2Daysを発表したのであった。終わりかと思えばまだ次がある、まるでマトリョーシカだ。だが、ふたりのライブに向けるエネルギーは小さくなるどころか増すばかりである。パシフィコ横浜の後、国内5ヶ所と海外3ヶ所を回り迎えた東京凱旋公演は、彼女たちならではの野心的で多彩なエンターテインメントと、真心のこもったメッセージを、ライブハウスという至近距離で存分に堪能する3時間だった。

開演の10分前に田中ヒメと鈴木ヒナの影アナ、もとい小気味よいフリートークが始まった。コミュニケーションを取りながら声出しやコール&レスポンスを行い、観客の期待感を高めた。するとオンタイムで暗転し、ステージにかかる幕にオープニングムービーと、民族音楽風のイントロダクション「楽園」が流れる。ムービー内のHIMEHINAが幕を落とすと80のカウントダウンが始まり、なめらかに「V」へとつないだ。

ライブハウスゆえに、HIMEHINAのゴージャスでスケールの大きい映像演出やダイナミックなパフォーマンス、溌溂とした歌声は、ダイレクトにこちらの視覚や聴覚などを刺激する。大勢のダンサー、巨大ロボットによるダンス、瞬時にチェンジされる豪華絢爛なステージは細部まで緻密なディテールで作り込まれ、ジェットコースターのように爽快でスリリングだ。ツアーアレンジ版のオリジナルのラップからなだれ込んだ「LADY CRAZY」では、アッパーでキュートかつ息の合ったボーカルを響かせ、「ヒトガタ」ではゲストにホロライブEnglish所属のハコス・ベールズが現れる。3人で織り成すラップやボーカルの迫力は、さらに観客を熱くさせた。

ポジティブかつ無敵感たっぷりで「WWW」を歌い切ると、ヒナは「最初から幸せだよ!」と会場の熱気に敬意を示し、ヒメは「帰って来れたぞー!」と国内外を回った充実感と達成感をあらわにする。そして「今までのどこの会場よりも声出していけるか!?」とフロアを煽り、カバー曲メドレーのセクションに入った。

ステージングではメドレーのノンストップで展開する特性を活かし、画面内に閉じ込められたふたりが画面を破壊して外に出たり、曲が変わるタイミングで衣装チェンジをしたり、巨大化したり、シルエットでしなやかな身のこなしを見せたり、ハンドマイクパフォーマンスをしたり……などなどアクションゲームを攻略するように次々と様々な情景をつなぐ。星街すいせいの「灼熱にて純情」では画面内に上がる火の玉がふたりのハーモニーを際立たせ、花譜の「過去を喰らう」では向かい合って歌う姿が彼女たちの固く結ばれた信頼関係を象徴していた。

ふたりによる朗読「The Past and God」を挟むと、威勢よく必殺技を繰り出す先ほどまでのステージから一転、楽曲の世界へ没入させるセクションへと入る。エモーショナルな「密命」の後、ステージはサイバーパンク風のデザインが施され、ポエトリーリーディングの「ElectronⅢ」から「琥珀の⾝体」、「棄てられた鉄の王国」「魂にひそむ」と歌の力で会場の空気を掌握した。

先ほどまでのフランクなムードからは対極的なほど威徳が備わり、楽曲内の台詞なども影響して、その楽曲の世界で生きるパラレルワールドのHIMEHINAを観ているような感覚に陥る。ただ楽しいだけではなく、様々な感情に向き合う時間を与えてくれるのは、HIMEHINAの創造するエンターテインメントの重要な要素のひとつだろう。インタールード「わかれのうた」とロックバラード「遺言」は言葉一つひとつに熱を宿すように大切に届け、会場に広がるミラーボールの明かりもふたりの誠実な気持ちを清らかに照らした。

ふたりは観客の優しい表情に感極まったのか涙ぐむような様子を見せ、「そのときどきのいろんな思いを込めながら歌っています」と話すヒメに、ヒナは「いろんな人にこの歌(遺言)が届いてうれしいね」と語り掛ける。そして言葉にならない思いを伝えようと客席に向かって遠隔ハグをした。その後は東京凱旋公演オリジナル企画としてお互いの通知表を作り合う「ヒメヒナ 夏の通知表」で、和気あいあいとエピソードトークを繰り広げる。最後に“2学期の目標”としてヒメは「全体的に整ったかわいい部屋を作る」、ヒナは「作詞をがんばる」と宣言し、観客も激励を送った。

声出しで会場のテンションを高めた後はロック色の強い楽曲を続けざまに披露する。華やかなレーザーのなかで「マザードラッグ」「相思相愛リフレクション」をたたみかけ、「アダムとマダム」ではステージをまるまる覆うくらいに勢いよく噴射したジェットスモークも彼女たちのパワーを引き立てた。「絶望を翔る恒星」ではミリタリー調の衣装にチェンジする。全身全霊で希望に向かっていくようなひたむきに突き進むパフォーマンスは、会場を隅々まで明るく照らしていた。

シンギングタイムとコール&レスポンスを挟んで「バブリン」になだれ込み、ライブは佳境に入る。ポップでキュート、かつパンキッシュなふたりに導かれるようにフロアもさらに持ちうる力を解放し、キツネの衣装で魅せる「キスキツネ」、ゴージャスでカラフルな演出とともに披露した「愛包ダンスホール」とポップで元気なパフォーマンスで魅了すると、「Lemonade」では観客とともに夏の思い出を作るような煌びやかな空間を作り出し、「うたかたよいかないで」「涙の薫りがする」では愛を伝えるように丁寧に歌声を届ける。観客のシンガロングを全身で浴びるふたりの姿は、幸せを噛み締めているように見えた。

夕暮れの公園を描いたインタールードを挟んで「しゃぼんだま」へとつなぐと、アルバムのラストを飾る楽曲「生と詩」で本編を締めくくる。お互いの声を編み上げて音楽を作るように歌う姿は、HIMEHINAの未来に続く道を切り開くように見え、その繊細で誠実な歌声に観客もじっくりと思いを馳せた。

オルゴールアレンジの「涙の薫りがする」に観客が歌声を乗せると、このツアーで初披露された「フランケンシュタインの怪物」でアンコールをスタートさせる。合いの手や振り付けで楽しむフロアにふたりは、「完璧すぎだよ!」「みんな天才!」と喜びをあらわにし、ツアーでファンとともに楽曲を育てられたことへの感慨に浸った。

“特報”としてカバーアルバム第3弾となる全10曲収録の『ヒメヒナウタミタ参』を12月23日にリリースすることを発表した後、ライブが終盤に近付いていることに触れたふたりは、「次のライブは10月のSGC HALL ARIAKEでのグランドフィナーレ! アチアチな状態でそこにつなげるためには、今日をツアーでいちばん熱い空間にしなければいけないじゃないか!」「“ハオ”=80度の熱い空間にしよう!」と呼びかける。するとスロットマシンが出現し、それが指し示したオリジナル曲の「藍の華」と「Hello, Hologram」、Gigaの「劣等上等」カバーの3曲を躍動感に満ちたボーカルで届けた。

独白のようなポエトリーリーディングから「お台場の思い出を背負って、未来に向けて歌います」と告げ、最後に「風編み鳥」を歌唱する。晴れやかなサウンドに乗るのびやかなふたりの歌声も、ラスサビで宙を舞った銀テープも、まさに風を編む鳥を体現するように優雅で凛々しかった。

「最高の8ヶ月ありがとう!」「夢のような日々だったよ、幸せだった!全部全部みんなのおかげだよ!」と感謝を告げたふたりは、「次は有明グランドフィナーレで会おう!」と告げ、ジャンプで凱旋公演のラストを華々しく飾った。その後もふたりは名残惜しそうにステージに残り続け、ヒナは「グランドフィナーレの練習も頑張ってます」、ヒメは「でっかいライブするぞ!」と意欲を見せる。そして観客とともに「ごきげんよう!」と高らかに叫んでステージを後にし、影アナで再度この日感じた幸せをまっすぐ言葉にしてファンに届けた。

グランドフィナーレは10月3、 4日にSGC HALL ARIAKEで開催され、Day1は前夜祭として初の全曲カバーソング縛りライブ「ヒメヒナウタミタ祭 ~負けないでもう少し最後まで走り抜けて~」を、Day2は「LIFETIME is BUBBLIN -GRAND FINALE-」として約11か月にわたるワールドツアーのファイナルを盛大に彩るという。ツアーで育んできたパフォーマンスが観られるだけでなく、これまでのツアーでは味わえなかったプレミアムな体験もできるかもしれない。SGC HALL ARIAKEというオープンして半年ほどの時代の最先端の会場で、HIMEHINAはどんなエンターテインメントを我々と分かち合うのだろうか。そんな期待に胸が躍る、堂々たる凱旋公演だった。

SET LIST

01. Introduction:楽園
02. Opening:80Bubbles
03. V
04. LADY CRAZY
05. ヒトガタ(ゲスト:ハコス・ベールズ)
06. WWW
07. ECHO
08. ヒビカセ
09. UNDEAD
10. 神っぽいな
11. CQCQ
12. 灼熱にて純情
13. 過去を喰らう
14. Int:The Past and God
15. 密命
16. Int:ElectronⅢ
17. 琥珀の身体
18. 棄てられた鉄の王国
19. 魂にひそむ
20. Int:わかれのうた
21. 遺言
22. マザードラッグ
23. 相思相愛リフレクション
24. アダムとマダム
25. 絶望を翔る恒星
26. Int:試される合唱の大地
27. バブリン
28. キスキツネ
29. 愛包ダンスホール
30. Lemonade
31. うたかたよいかないで
32. 涙の薫りがする
33. しゃぼんだま
34. 生と詩
35. Encore Calling
36. フランケンシュタインの怪物
37. 藍の華
38. Hello, Hologram
39. 劣等上等
40. Int:Flying Bubbles
41. 風編み鳥

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