なお、最後の『シブヤデマタアイマショウ』に関しては、総合演出の松尾スズキさんがもし読んだら「そこをそんなに長々と書かれても」と言うと思いますが、書きたい気持ちを抑えられませんでした。
3月16日(木)19:00 PHOENIX@Zepp Haneda(TOKYO)
数年前の『SUMMERSONIC』にこのバンドが出た時、ステージ間の移動の時間を読み間違えて出番に間に合わず、終わりのあたりのほんのちょっとしか観れなかった。でも、ほんのちょっと観ただけでも猛烈に良かったので、己の迂闊さを呪いつつ、次に来日があったら行こう、と決めたのだった。
もちろん、コロナ禍より前の話です。今、調べたら、2017年でした。というわけで、今回がその「次の来日」……ではなく、その後も何度か来日しているが、そのたびに自分のタイミングが合わなかったり、チケットを取りそこねたりして、今回ようやく観ることができたのだった。5年半も経っていますね。
それだけ待ったかいがあって、というのをさっぴいても、やはり、猛烈に良かった。DAFT PUNKの数年後、AIRなんかと一緒にパリのシーンから出て来たダンス系のグループ(実際、最初はAIRのバックバンドとして結成された)、でもロック・バンドならではのダイナミズムもふんだんに搭載している──という、最初の頃の印象は変わらないが、音もパフォーマンスも、年月が経ってもフレッシュなまま。いつ聴いてもいつ観ても新しいし、いつ聴いてもいつ観ても楽しい。
あと、ボーカルのトーマス・マーズ、ライブ巧者と言えばいいのか、オーディエンスを前にしてステージに立っている間の、ふるまいや、佇まいや、歌い方や、演奏のしかたや、表情なんかが、とにかくいちいち魅力的。いやあ、むいてる。この仕事むいてるわ、あなた。と、言いたくなりました。
3月18日(金)11:00 『LIVE the SPEEDSTAR』@幕張メッセ
毎年この時期に幕張メッセで開催されている、そして毎年オフィシャルレポの仕事をいただいている『ビクターロック祭り』、今年はビクター内のレーベル、スピードスターレコーズが設立30周年、ということで、それを祝うイベントとして、スピードスター所属のアーティストのみが出演して行われた。2ステージ制で、交互に演奏が進んでいく。
GRAPEVINE、スガ シカオ、UA、KREVA、くるり、星野源、斉藤和義、矢野顕子、SPECIAL OTHERS、つじあやの、藤巻亮太、THE BACK HORN、AA=、竹原ピストル、LOVE PSYCHEDELICO、オープニング・アクトのMaverick Mom、以上の16組が出演。
生え抜き組(くるり、つじあやの、UA、星野源、THE BACK HORN)も、移籍組(GRAPEVINE、スガ シカオ、KREVA、斉藤和義、矢野顕子、SPECIAL OTHERS、LOVE PSYCHEDELICO)も、いっぺん離れたけど戻って来た組(藤巻亮太、AA=、竹原ピストル)も含めて、キャリアの長いベテラン勢にオファーを出したんだな、という顔ぶれである。
自分はそのうちのGRAPEVINE、UA、くるり、斉藤和義、のレポを書きました。PA卓のところで観ながら書いて即アップ、という仕事だったので、慌ただしかったが、楽しかったし、自分が書かないやつもすばらしいアクトばかりだった。お世辞でなく、スピードスターっていいアーティストだらけだな、というか、自分の好みと合うんだなあ、と、改めて実感した。
スピードスターのサイト「SPEEDSTAR CLUB」で読めます。会員登録が必要ですが、無料なので、ぜひ。≫ SPEEDSTAR CLUB:LIVE the SPEEDSTARライブレポート&セットリストプレイリスト公開!
🟦LIVE the SPEEDSTAR🟥
各アーティストのステージが終わり次第、下記サイトにてライブレポート・ライブ写真を随時アップしていきます!🎉https://t.co/tmLqIUdLtp
セットリストプレイリストも随時公開!🌟https://t.co/TVRUBGeN5Q#SP30th #スピードスターロック祭り
— SPEEDSTAR RECORDS@広報 (@SSRCstaff) March 18, 2023
3月19日(日)17:00 エレファントカシマシ@有明アリーナ
デビュー35周年アリーナツアー=横浜アリーナ×2、有明アリーナ×3、日本ガイシホール×2、大阪城ホール×2、の全9本のうちの、4本目・有明アリーナの2日目。9本のうち、行ける日は行ける限り行こう、と決めていて、自分が観たのはこの日が2本目。
で、このあと、名古屋2デイズと、大阪の2日目も行ったのだが、結果的に、この日の宮本のテンションが、もっとも尋常じゃないものだったかもしれない。
って、全公演観たわけじゃないから、決めつけるのはまずいが、でも、そう言いたくなるくらいのすさまじさだった。6曲目に「珍奇男」をやるのだが、あんなにアドリブだらけで、吠えるように暴れるように歌われる「珍奇男」、初めて観たかもしれない。鳥肌が立った。
曲の後半では、宮本、叫びながら男椅子やマイクスタンドを蹴散らした挙げ句、ステージ床のパンチカーペットを持ち上げてビリビリビリー! って剥がしてしまう。ああっ、ダメそんなことしちゃ! アンコールならいいけど、まだ序盤なのに! このあとの進行に支障が! と、ハラハラした。
初のアリーナツアー絶賛敢行中の我らがエレカシ
本ツアーではメンバーの気持ちもさることながら、オーディエンスの驚嘆と祝福と愛ある声援が彼等を更なる高みへと導く奇跡を何度も目撃しました
明日3/21はデビュー記念日有明アリーナまだお席があります ぜひお越しくださいhttps://t.co/KuqsgpVt0P pic.twitter.com/Fi3tW6VbpN— エレファントカシマシ (@elekashi_ofcl) March 20, 2023
3月20日(月)19:00 マキシマム ザ ホルモン@仙台GIGS
コロナ禍でお客さんが声を出せない間、『叫ぶペットボトルの黙る会』(7本のツアー。声を出す代わりに石などを詰めたペットボトルを振る)と、→『叫ぶペットボトルの唸る会』(名古屋公演1本。声を出す代わりに唸る)を行って来たマキシマム ザ ホルモンが、ついにお客さんが声を出していい状況になった、というので、(おそらく)急遽組んだツアーが、この『うる声やつら〜叫ぶ会〜』。2/17岡山、3/6静岡県の清水、3/20仙台、3/23札幌の4本。東京圏はなし。なので、仙台まで足を運んだ。
で、行ってよかった。仙台GIGS、地方ではめずらしいデカバコで、スタンディングで1,500人強。そのフロアをぎっしり埋めた腹ペコたちが、久しぶりに叫んだり歌ったりわめいたりガヤを飛ばしたり、一糸乱れぬきれいなヘドバンをキメたり(これは声出しNGの頃からだが)、というさまが、なんかもう、めったやたらと感動的だったのだ。
まだマスクはマストだし、ダイブ/モッシュは禁止なので(というか、ダイブ/モッシュはコロナ禍前から日本全国どこでも禁止で、でも厳しく取り締まっていなかった、ということなのだが)、本当に規制がすべて解除されたわけではない。それでも、この場にいてオーディエンスのエネルギーを浴びているだけで気持ちが浄化されていく、そんな光景だった。最初のMCでナヲちゃんが「何やだ、ちょっと、グッとこさせないでよ!」と叫んだ気持ち、よくわかりました。
3月21日(火・祝)17:30 真心ブラザーズ@中野サンプラザ
毎年この時期の恒例であり、活動休止前のバンド形態=10人編成のMB’Sでライブをやる年に一度の機会、として続いてきた、真心ブラザーズの中野サンプラザだが、7月にサンプラが休館する、という事情で、通算20回目にしてひとまず最後になったのが、この日。キーボードの小川文明が2014年に亡くなった後は、ソウル・フラワー・ユニオンの奥野真哉が後任となって続いてきた、真心のふたりとメンバーたちにとっても、ファンにとっても、とても大切な行事(そう、「行事」と言っていいと思う)である。
「EVERYBODY SINGIN’ LOVE SONG」「BABY BABY BABY」「愛」で始まり、「新しい夜明け」「ENDLESS SUMMER NUDE」「空にまいあがれ」で本編を終え、アンコールで「拝啓、ジョン・レノン」「RELAX〜OPEN〜ENJOY」を追加した、つまり「MB’Sであること」を軸に、やりたい曲・聴かせたい曲を詰め込んだ。2時間半・22曲。
堪能しました。で、ちょっとしんみりしました。が、今回で最後であることについて、桜井秀俊は「くー、悲しい」と気持ちを表したのに対し、YO-KINGは、「寂しいけど、楽しかったからいいや!」と言ったのには、思わず笑った。おかげで、何か明るい気分になって、帰途につきました。
『サンキュー・サンプラ・愛・サンサン』無事終了!
皆さまのおかげで、メンバー、スタッフ共にサイコーのライブとなりました。
ご来場ありがとうございました!!
近日中にお写真含めレポ公開予定です。
どうぞお楽しみに☺︎☺︎☺︎ pic.twitter.com/ozgyDVyq0m— Magokoro_official (@magokoro_bros) March 21, 2023
3月26日(日)18:00 奥田民生@広島上野学園ホール
2年ぶりの全国ツアー『奥田民生2023 ラビットツアー 〜MTR&Y〜』の、地元広島で迎えたファイナル。このツアーの初日の1/28市原市市民会館、オフィシャルのライブレポを書きましたが(こちら ≫ SPICE:奥田民生、2年ぶり全国ツアー開幕 初日公演のオフィシャルレポート到着)、この最終日もオフィシャルのレポを書きました。ぜひ。≫ DI:GA ONLINE:奥田民生、地元広島の地で満員御礼のツアーファイナル!
ラビットツアー完結🔚✨
ありがとうございました❗️#MTRY #ラビットツアー #ファイナル #上野学園ホール pic.twitter.com/fKMdItGMSi— 奥田民生 Official (@OT_staff) March 26, 2023
3月31日(金)19:00 『シブヤデマタアイマショウ』@シアターコクーン
ミュージカルというか、レビューというか、コンサート+演劇+コントの合体形というか、とても説明が難しい、松尾スズキの総合演出による、歌って踊って笑わせるエンタテインメントショー。2021年4月に『シブヤデアイマショウ』を上演して、今回はそのパート2。松尾スズキ、多部未華子、猫背 椿、村杉蝉之介、近藤公園、秋山菜津子、等が出演。プラス、生田絵梨花や小池徹平や森崎ウィンやソニン等の10名から、1公演につき2名が、歌のゲストとして登場。
で、この公演を最後に、松尾スズキが芸術監督を務めるシアターコクーンが休館になるので(隣の東急本店の閉店→解体→その跡地にどでかいビルが完成する2027年まで、閉まるのだった)、タイトルの『シブヤデアイマショウ』に『マタ』が入ったのだと思います。
3月30日から4月9日まで、昼夜2公演の日も含め、計13公演行われたうちの、2公演目を観た。その回の歌のゲストは、笠松はると廣瀬友祐だった。で、頭から最後まで、全身がくたびれるくらい笑ったし、歌やダンスにも魅了されたり、やっぱり笑ったりもしたし、つくづく「こんなのできるの松尾スズキだけ」な、すばらしい時間だった。以下、そのすばらしい時間の中で、個人的に超ツボだったポイントについて、書きます。
この公演、8人編成の生バンドが入っていた。で、終盤、この舞台のテーマ曲「シブヤデアイマショウ」をみんなで歌い踊って、感動的にフィナーレ、と思ったら、突然次の曲が始まる。「は? なになに?」となる客席。え、この曲、globeの「DEPARTURES」じゃない? どういうこと? するとKEIKOのボーカルが始まるところで、いきなりバイオリンの女性が立ち上がって歌い始める。客席、爆笑。で、間奏、マーク・パンサーのパートは、ギタリストの男性がマイクをつかんでラップを始め、客席、さらに大爆笑──。
というくだりがあったのだが、この「ギタリストが突然ラップ」のところで、客席でいちばん笑ったの、たぶん僕だと思う。ギタリストの彼、元ニューエスト・モデル→元ソウル・フラワー・ユニオンの河村博司なのだ。
このバンドは、ピアノの門司肇がバンマスで、彼は松尾スズキの舞台の音楽を長年手掛けている。特に、生バンドが入る時は、この人の仕切りになることが多いのだが、10年くらい前からかな、そのバンドに毎回参加しているのだ、河村博司。「あ! あれ河村博司だ!」と、最初に発見した時は驚いたが、今回のラップはもっと驚いた。で、めちゃめちゃ笑った。
ソウル・フラワー・ユニオンのキーボードの奥野真哉、ひっぱりだこのサポートミュージシャンで、あとフラカンと仲がいいのもあって、普段、現場で出くわす機会が多いので、次に会ったら知らせようと思います。
サイコーでした。。
夢のコクーンにも立てました。。。
感謝。
本日同じくゲスト出演した#笠松はる さんと
お人柄も歌声も本当に素敵で、
共にデュエットできて光栄でした。観劇の皆様、
ありがとうございました!#僕こそ音楽#オペラ座の怪人 pic.twitter.com/uMKefBGJT2
— 廣瀬友祐(Yusuke Hirose)&スタッフ (@hirose_yuusuke) March 31, 2023