第2部のトップバッターを担ったのは、V.W.Pのメンバーの音楽的同位体ユニット・V.I.Pである。アナウンスされていなかった5人の登場に、会場も大きく沸き立った。自己紹介ソング「V.I.Pエンジョイ」で、ユニットとしては現在充電期間中のV.W.Pに代わり会場を盛り上げる。ソフトなボーカル、キュートなダンスと笑顔は、終始会場に癒しを振りまいた。
ステージがマゼンタ色の照明で染まると、昨年4月にデビューを果たし、「KAMITSUBAKI FES」には二度目の出演となる琶舞が現れる。デビューシングル曲「Symbiotic Dominion」をミステリアスなボーカルで届け、耽美でありながらも危うさも持ち合わせた世界へと導いた。ライブ初披露となる「ファーストエイド」では洗練されたサウンドに乗せ、声の奥行きを活かした歌唱で楽曲の世界を描く。すると彼女に代わりオレンジ色の光に包まれるなか明透がステージに登場し、「ファーストエイド」と同日にリリースされた「ルートキュア」を歌い始めた。
明透と琶舞はソロアーティストでありながらもそれぞれ“光”と“闇”で“愛”を描くという対照的かつ連動した活動を行っており、明透は琶舞の作り出した空気感を継承しながらグラデーションで自身のカラーを解き放つ。まさに運命共同体とも言うべきふたりによる連携だからこそ作れるドラマチックなステージだ。ブラックミュージックとシティポップを融合させたグルーヴィな「ブルーナイトダーリン」では華麗にステップを踏みながら柔らかに歌を届け、「illumina」では彼女の十八番でもある見事なレイバックを見せる。純粋で溌溂としたイメージが強い彼女だが、この日はリズム感の良さを活かしたスタイリッシュなパフォーマンスを披露し、デビューからの5年間で育んだ実力で会場を心酔させた。
アーティストごとのステージのラストを飾ったのはもちろんKAMITSUBAKI STUDIO設立のきっかけとなった花譜である。「皆さんわたしともっともっと楽しんでくれますか!?」と笑顔で呼び掛けると、代表曲のひとつでありライブのキラーチューン「過去を喰らう」でエネルギッシュに観客を盛り上げた。すると「エラーソング」では等身大の気持ちを歌に乗せて内省的な空気感を作り、「代替嬉々」では一転、内向きだった矢印を外へと全開放するようにパワーむき出しの歌唱で圧倒する。高く掲げる拳は生きることへ魂を燃やすことへの意思表示のようで、なかでも全身を振り絞って届ける迫真のポエトリーリーディングは圧巻だった。3曲それぞれで異なる表現で魅せ、あらためて彼女が楽曲に込められた感情を拡張するシンガーであることを思い知らされた。
ここからは3人編成のコラボレーションによるカバーセクションに入る。理芽、明透、氷夏至はEmpty old Cityの「Chronicle A」を歌唱し、快活という共通点を持つ3人ならではの晴れやかな空間を作る。春猿火、琶舞、佳鏡院はVALISの「天命系メルト」を歌唱し、楽曲とダンスが放つ蠱惑的なムードを存分に表現した。
V.W.Pの派生曲である幸祜×花譜の「歯車」を歌唱した幸祜、Sooda、御莉姫は一見異色コラボレーションであるが、それぞれのユニット内で切り込み隊長を担いがちの幸祜と御莉姫にソフトなSoodaが加わることで、小気味よいバランスが生まれた。歌で楽曲の世界を深く掘り下げることに長けたヰ世界情緒、硝子宮、美古途は花譜×MONDO GROSSOの「わたしの声」でその手腕をそれぞれが遺憾なく発揮する。花譜、CIEL、夕凪機はGuianoの「スーパーヒーロー」で自身の持つ純粋な情熱を爽やかに歌に乗せ、カラフルなライティングもその空気をより高めた。
そして最後に、V.I.P以外のこの日の出演者全員がステージに登場する。「それぞれの思いを込めて歌います」という花譜の言葉の後に披露されたのは、V.W.Pの「歌姫」だった。TVアニメ『神椿市建設中。』のオープニングテーマ曲を、KAMITSUBAKI STUDIOの歌姫たちがそれぞれの解釈を声に乗せて彩る。ヰ世界情緒と美古途がハイタッチをしたり、理芽と明透が歌う氷夏至に向かって手を振りかざしたりと、それぞれが自由に楽しむという非常にピースフルな空間が広がり、すがすがしい大団円を迎えた。
エンドロールの後のインフォメーションでは、既出情報のCIEL、理芽、春猿火、幸祜の年内のワンマンライブ、明透と琶舞の合同無料3D配信ライブに加え、MY FIRST STORYのShoが手掛けた幸祜の新曲「共回線」がリリースされることなどが発表された。そしてさらにKAMITSUBAKI STUDIO擁するTHINKRの大型再編や、独自のライブ配信プラットフォームの設立、オーディションの開催なども発表され、組織全体でより良いクリエイティブを追求するために動き出すことを示唆した。さらなる未来へと動き出した歌姫たちは、今後我々に新しい体験を与えてくれるに違いない。そう確信する一夜となった。
SET LIST
第一部
01. 心世紀 雑几帖
02. 心世紀 FantastiQ
03. 罪十罰 アウフヘーベン
04. 罪十罰 大罪
05. 少女革命計画 主人行路
06. CIEL 僕たちの群青
07. CIEL 君と旅風
08. 空爽 透明流星ラプソディ
09. 春猿火 (A)letheia
10. 春猿火 Deep Invite
11. 春猿火 META
12. 理芽 ピルグリム
13. 理芽 ノマネ
14. 理芽 ぷれいや
15. 幸祜 the last bullet
16. 幸祜 僕は願うことをやめたんだ
17. 幸祜 切り咲く
18. ヰ世界情緒 そして白に還る
19. ヰ世界情緒 FARAWAY
20. ヰ世界情緒 永久に枯れぬ花
第二部
21. 音楽的同位体 V.I.P VIPエンジョイ
22. 琶舞 Symbiotic Dominion
23. 琶舞 ファーストエイド
24. 明透 ルートキュア
25. 明透 ブルーナイトダーリン
26. 明透 illumina
27. 花譜 過去を喰らう
28. 花譜 エラーソング
29. 花譜 代替嬉々
30. 理芽・明透・氷夏至 Chronicle A(Cover)
31. 春猿火・琶舞・佳鏡院 天命系メルト(Cover)
32. 幸祜・Sooda・御莉姫 歯車(Cover)
33. ヰ世界情緒・硝子宮・美古途 わたしの声(Cover)
34. 花譜・CIEL・夕凪機 スーパーヒーロー(Cover)
35. ALL ARTISTS 歌姫(Cover)















