1st&2ndワンマンライブ、1stライブツアーを振り返って
──棗さんは2022年に現在の事務所に所属し、2023年6月に『1st LIVE 「SEEK for MYSELF」』を、2024年1月に『2nd LIVE「パラレルショット」』を開催しました。それぞれどんな思いのもとライブを企画したのでしょう?
1st LIVEは初期の頃の元気で明るい可愛い感じの曲から、最近やっているようなかっこいい曲まで披露した、それまでの活動の集大成のような内容になりました。2nd LIVEは自分の好きな「物語を作る」という要素をライブに反映させたので、MCもアンコール以外なしで、曲間を全部映像とボイスドラマで構成したんです。でもMCがないと、目の前にお客さんがいるのに同じ場所にいた感覚がしないなという物足りなさを感じたんですよね。
──その思いが、バンドセットで回った同年8月の「1st LIVE TOUR『TRAVEL2U』」につながっていくわけですね。
物語をベースにしたライブはいろんな要素を詰め込んだ結果、どれも中途半端になっちゃったかな……とは思って。だから物語の要素をライブに入れ込む案は一旦寝かせておいて、徹底的に今目の前にいるみんなと楽しむことを大事にしたいなと思ったんです。いろんな地方の会場にも行かせてもらうし、自分から積極的に交流することを大事にしたくて「TRAVEL2U」というタイトルをつけました。バンドをバックに歌うのはオケよりも難易度が上がるけど、バンドメンバーの皆さんはすごく良くしてくださるので、歌っていて楽しいんですよね。一緒に頑張ってくれる人がいる安心感や、心強さがあります。
──1日2公演のワンマンと全国ツアーでは、感覚は変わりましたか?
違いますね。その1stツアーの後、今年の1月に「Birthday LIVE 2025『Winter Gift』」を開催したんですけど、「今日しかやってないのにもう終わり!?」と思いました(笑)。ツアーを回る前は、同じような内容をそれぞれの公演でやると飽きるんじゃないかと思っていたら全然そんなことはなくて、どの会場も新鮮な気持ちでライブができたし、ずっと楽しい期間が続いたんです。
──たとえばどんなところに楽しさを感じましたか?
やっぱり地方公演は物理的に距離が近いですよね。イヤモニをしていてもお客さんの声が届いてくるし、顔もすごくよく見える。あとは1回きりじゃないので、「今回はどういうふうに楽しめるかな」と肩に余計な力が入らずにライブに向き合えたのも大きかったです。ちょびっと余裕をもって回れるのはツアーの楽しいところかな。単発のライブは「今日しかない」というプレッシャーがすごいです(笑)。
ミニアルバム『CONTRAIL』をリリース
──そして「Birthday LIVE 2025『Winter Gift』」にて、「LIVE TOUR 2025『VOYAGERS』」の開催を発表し、4月にはミニアルバム『CONTRAIL』をリリースしました。
ライブのたびにそのライブのテーマ曲を作っていただいていて、その楽曲は毎回物販でシングルとして出してきたんです。だから手に取れる人も限られているので、幅広くその楽曲を聴いていただきたくて、今までのイベントで出してきた曲のうちアルバムに入れていなかった楽曲を全部集めたのが『CONTRAIL』ですね。「Keep it real」という新曲を加えた計7曲を収録しています。
──「Keep it real」は自分の気持ちに正直に未来を切り開いていくという決意が込められた楽曲だと感じましたが、棗さんはどのような思いで作詞をなさったのでしょう?
作品を作りたいと思うときは、言いたいけど言えないことがあるときかなと思っているんです。だから絶対にポジティブなことを書かなければいけないわけではないし、MCで「この曲にはこういう思いを込めました」と語るために歌詞を書くわけでもないよなと思って。それで歌い出しの歌詞を「言えないようなこと歌ってやろうぜ」にしたんですよね。MCではとてもじゃないけど喋れないようなことも書いてしまおう!って頭の中でぐるぐる考えていることをグダグダ書いて(笑)、「でもそういう曲があっても別にいいよね」という締めくくりにしているんです。
──まさにタイトルどおりリアルな思いをしたためているんですね。
言いたいことも言えないことも全部持っていくぞ!という決意表明みたいな感じですね。今回のツアーで初めてみんなの前で歌うことになると思うので、ステージで歌ったときにどんな気持ちになるのか楽しみです。