レトロリロン、急速成長を続ける彼らにこれまでのライブ遍歴とこれからの活動プランを聞いた

インタビュー | 2023.10.01 18:00

コロナ禍でのバンド冬の時代に産声を上げたバンドが、ライブシーンをリードする若きリーダーを目指して奮闘中だ。新曲「ヘッドライナー」も好調なレトロリロンは、夏フェスから秋冬のイベントまでを駆け抜ける、今最もライブ出演の多いバンドの一つ。昨年末の大型フェス初出演から始まったフェス/イベント出演は、4人のミュージシャンをどのように成長させていったのか? 1本のライブごとに急速成長を続けるレトロリロンの4人に、これまでのライブ遍歴とこれからの活動プランを聞いてみた。
──今年は初ワンマンライブもありましたし、季節が進むにつれてどんどんイベント出演も増えて、すごいことになりつつあります。
涼音(Vo&Ag)去年末の「COUNTDOWN JAPAN 22/23」のステージから見える景色が、人生史上最多のお客さんで、5000人くらいだったのかな? オープニングアクトだったんですけど、たくさんの人が見てくださって、ここで初めて広いステージでのライブ感がわかってきたというか、お客さんと数メートルしか離れていないライブを3年間ずっとやってきたんですけど、去年末に初めてそういう経験をさせてもらったのはすごく大きかったです。そして今年5月の「METROCK 2023」は初めての野外、初めての大阪でのフェスで、一番手のアクトだったんですけど。
miri(Key)けっこう人が来てくれて、盛り上がって。
涼音でも外でライブをするのが初めてだから、勝手がわからず。
飯沼一暁(Ba)僕らはエキシビジョンステージみたいなところで。
永山タイキ(Dr)メインステージが横にあったんですよ。
涼音それでも僕らのことが気になって、見に来てくださるお客さんがいて。フェスでハンドマイクで歌うのも初めてだったので、お客さんの煽り方とか、楽しませるための方法も、あそこで感覚的につかめた気がします。あとは、余談ですけど、フェスっておいしいものがいっぱい食べれるんだなと思いました(笑)。
永山楽屋のご飯がめちゃくちゃ豪華だった(笑)。
涼音「COUNTDOWN JAPAN 22/23」はオープニングアクトだったので、終わったらすぐに出る形だったんですけど、「METROCK 2023」は普通にアクトとして、(アーティストの)みなさんと楽屋の場所が一緒で、ご挨拶させていただいたり、自分たちのステージを前に進めていけてる感覚はありました。その1か月後が「ミリオンロックフェス2023」ですね。ここは屋内で、1500人ぐらいの広さでしたっけ。二番手だったんですけど、一つ前のバンドのお客さんの入りがすごかったので。
飯沼けっこういたよね。最初から。
涼音初めての金沢で、初めての「ミリオンロックフェス2023」で、ヤバいかもしれないねという話はみんなでしてたんですけど、(お客さんが)徐々に増えていって。この時になんとなく、自分たちの音楽がちゃんと東京から全国に広がっているんだな、ということを実感しましたね。東京でもお客さんが2、3人というライブをしていた頃から考えると、初めての土地で、これだけ見に来てくださる人がいるというのは、3年間で積み上げてきたものが届いているという実感があったのは、ここらへんかもしれない。
永山うん。
涼音SNSではいろんな地方の方が反応してくださるんですけど、実際に目で見ると…まだまだ目指すところは先だけど、確実に届いていってる感覚は、年末から6月までのフェスを通じて、すごく感じられました。
永山やっぱりフェスは特別な経験だって、全部の場所で感じてました。
涼音誰でも出られるものではないので、すごく貴重な経験でもありましたし、それが自分たちの次の成長にも繋がるというか、言い方を選ばずに言うと、フェスでさえも自分たちの経験値の一つであって。最初はたぶん、そこをゴールにしてスタートしていたんですよね。「3年以内にフェスに出よう」って。
飯沼言ってたね。
涼音「3年で出られなかったら解散しよう」みたいな話もしていたので、そういう意味では有言実行できたし、いろんな方の力添えもあってのことですけど、ちゃんとたどり着けてるなと思ったし、そこから初めてのワンマンライブへと繋がっていったので、この流れで良かったなと思っていますね。
──6月の初ワンマンは、東京と大阪で3日間。7月には東京追加公演もありました。
涼音フェスで知ってくださった方が、ワンマンに見に来てくださったりとか、ちゃんと繋がりが感じられたワンマンライブでした。初めてのワンマンだったので、そもそも2時間のステージができるのか?とか、歌えるんだろうか?とか思っていたんですよ。それまで最長で7曲ぐらいしか歌ったことがなかったのに、14曲と言われて、「なんて酷な」と思ってたんですけど(笑)。でもそこに向けてみんなで話し合ったり、あらためてバンドの演奏を見直したり。
miriよりバンド力を考えるきっかけになったよね。
涼音フェスからのワンマンということで、あらためて自分たちの音楽的価値というか、自分たちを必要としてくれている人とは?という、勝負の流れだったので。そういう意味では、東京追加公演まで行けて、大阪はソールドにはならなかったですけど、(チケットが)残り数枚という状態だったし、自信には繋がったかなと思います。そこに甘んじてはいけないと思いますけど、3年かけて自分たちの居場所を作れたのかな、とは思いました。最初は誰も見向きもしなかったし、自分たちの居場所がなかなか見つけられずに、ライブハウスでも浮いちゃったり、居場所はどこにあるんだろう?という3年間だったんですけど。それを見つけられた期間だったのかなと思いますね。
──そのへんの熱い思いは全部、8月に出た新曲「ヘッドライナー」に入っているように思います。
涼音そうですね。バンドとして3年を区切りとして、次のステージへの決意表明の曲になったと思います。もともとシングル用に違う曲を用意していたんですけど、今となってはなんでこんなにするっと書けたんだろう?と思うぐらい、記憶がないんですよ。衝動的に書いて、「新しい曲できちゃったんだけど、こっちをやりたいかも」ってメンバーに言って。あとあと読み返すと、「ここはこういう意味もあったのかな」とか、あらためて自分で読解し直すところがありました。
永山本当に覚えてないんだね。

ヘッドライナー(Official Music Video)

──「今すぐここから這い上がって 魅せつけてやりたいよ」とか。フェスの経験も入っている歌詞だと思って聴いてました。
涼音願望になってるんですよね。「やる」じゃなくて」「やりたいよ」って。断定よりは願望をどう叶えていくか?という、歌詞の内容的には自信がないんですけど、サウンドは自信があるような感じになっているのが、レトロリロンらしさかなと思います。歌詞とサウンドがうまくハマったと思います。
永山僕の個人的な思いだと、この曲には「METROCK 2023」のイメージがあるんですね。あの日のヘッドライナー(トリ)がMrs.GREEN APPLEさんだったんですよ。それが凄すぎて、僕の好きな神田リョウさんというドラマーが叩いてるのもあって、すごい衝撃を受けて、鳥肌立ちまくりで。
涼音あの日、一番大きいステージでのアーティストの演奏を見ていた時に、「全然足りないんだな」ということを痛感して、現在位置と、目指す場所との距離感が明確に見えてしまった体験だったので。言われてみると、(「ヘッドライナー」は)そういうところから着想が生まれたのかもしれない。呆然としましたね、あの時は。
miri圧倒されました。
涼音悔しいとかじゃなくて、現時点ではかないっこないやと思って、でもかなわないからあきらめるんじゃなくて、だったらここからどういうふうに進めていくのか?ということを、より真剣に考えるようになったので。去年、Official髭男dismさんを見せてもらった時も同じように感じたものがあって、音楽性は様々ですけど、トップに君臨している人たちの説得力が見えた気がして、(「METROCK 2023」は)あんまりはしゃいで帰れなかったよね。今思うとその日の天気は象徴的で、自分たちが出た時はカンカン照りに晴れてて、それから雨が降って来て、最後は霧みたいになって、フェスに出られた喜びは晴れだけど、それによって感じた課題が雨だったのかな?みたいな、感慨深いものがありました。たった4~5か月前なんですけど、すごい昔のような気がします。

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