グソクムズ 全員ソングライターの彼らが、「おすすめの冬の曲」を紹介【前編】

──そんな堀部さんはルイ・アームストロングの「Winter Wonderland」と北島三郎の「北風小僧の寒太郎」を挙げてくれています。

堀部「Winter Wonderland」はいろんな人が歌ってる曲ですけど、ルイ・アームストロングの声のウォームな感じというか、あの温かみのある声で冬の歌を歌うっていうのが、「寒いときに飲む温かいコーヒーって美味しいよね」みたいな感じで、ほっこりするなって。ただハスキーなだけじゃなくて、ふくよかで、聴いてると安心する声なんですよね。あの声でメロディーラインのわかりやすい曲を歌ってくれるとすごく安心するし、冬の寒い中でもちょっと気持ちが楽になるので、よく聴いてます。

堀部祐介(Ba.)

Winter Wonderland / Louis Armstrong

──「北風小僧の寒太郎」に関してはどうですか？

堀部たぶん「みんなのうた」で流れてたんですよね。それを何となく覚えていて、一番好きなのは〈冬でござんす〉っていう歌詞ですね。今でもふとした瞬間に一人で歌っちゃったりして（笑）。音楽的な意味でも、起承転結がわかりやすくスッキリまとまっていて、一番最後に〈冬でござんす〉っていうキャッチ―なワードを置いてるのも、すごくきれいな構成だなって、改めて聴いて思いました。僕は自分で書く曲もあんまり複雑な曲より、メロディーが口ずさめる曲がいいと思っているので、ある意味お手本のような曲だなって。

──ちなみに、この曲は堺正章さんも歌ってますが、サブちゃんバージョンにしたのは理由がありますか？

堀部そう、今回調べて初めてそれを知って、年代的には堺正章さんの方が先で、あとからサブちゃんなんですよね。俺にとってリアルタイムでテレビで流れてたのはたぶんサブちゃんで、堺正章さんのバージョンも聴いてみたんですけど、全く覚えがなくて。

──「みんなのうた」は年代によって歌う人やバージョンが変わったりしますからね。

堀部あと「おじゃる丸」の歌（「詠人」）もサブちゃんなんだよね。

たなかあ、わかるわあ。あれ歌詞めちゃくちゃ染みるんだよなあ。

堀部だから、意外と俺ら世代はサブちゃんの声に馴染みがあるのかもしれない（笑）。

──最後に、中島さんが挙げているのはロン・セクスミスの「Maybe This Christmas」と倉木麻衣の「Winter Bells」。だいぶ振り幅広いですが、ちなみにご自身がカバーされているマライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」ではなかったんですね（笑）。

中島ではなく（笑）。僕はもともとクリスマスソングが大好きで、「赤鼻のトナカイ」とか「サンタが街にやってくる」も好きだし、「ジングルベル・ロック」とかも好きだし、いわゆる定番曲からは選びきれなくて。それでちょっと違うところから選ぼうと思ったときに、ロン・セクスミスはもともと好きなんですけど、この曲は今年知った曲で。

──コンピレーションに入ってる曲なんですよね。

中島そうですね。いろんなアーティストがカバーしてるんですけど、ロン・セクスミスのバージョンはアコースティックな感じで。公園に葉っぱが落ちてる感じ、そこを歩いてるときの肌寒い感じにめちゃくちゃ合ってて、「これだ！」と思いました。

中島雄士(Dr.)

Ron Sexsmith『Maybe This Christmas』

──「Winter Bells」に関しては？

中島僕90年代くらいのJ-POPのくさいメロディーが大好きで、勝手に「クサメロディー」って呼んでるんですけど（笑）、そういうTHE J-POPみたいな曲の中から選びたいと思って、「寒い夜だから」とか「メリクリ」とか「WHITE BREATH」とかも候補だったんですけど、倉木麻衣のこの曲は当時アニメソングとして知って。

──「名探偵コナン」のテーマ曲でしたよね。

中島そうですね。その曲を改めて聴いたら、ポップス心をくすぐられるというか、モータウンビートっぽいけどクリスマスっぽいリズムでもあり、Bメロでクリシェ入ってて、サビで転調してて、「ポップスのクリスマス感、全部入れました」みたいな感じにキュンと来たんですよね。

倉木麻衣『Winter Bells』