Charaの26年目のあいのうた【横山シンスケのライブオアダイ】連載:第3回

コラム | 2017.09.10 17:00

Chara
朝、テレビを見てたらCharaが出てきて、デビュー25周年についてのインタビューを受けていた。
それでマイベストソングは?という質問に、Charaは「やさしい気持ち」と答えていたんだが、その時に「この曲はダンナとケンカした時に作った曲で、恨み節が入ってる」と、Charaが聞かれてもいない事をいきなり言い出して、それを聞いた女性レポーターもリアクションに困り苦笑いしていた。
ふつう、女性アーティストが自分の曲(しかも一番有名な代表曲)の事を聞かれて、そんなプライヴェートなエピソード言わないだろう(しかもその元ダンナ、みんな知ってるし)と、思ったが、ああ、でもCharaらしいよなあと、朝から笑わせてもらった。
更に、テレビの話ばかりで申し訳ないが、深夜の音楽番組を観てた時も、同じくCharaがデビュー25周年で出ていて、食事の話しになった時に、「若い彼氏がいた時は深夜に一緒に美味しいもんとか食べちゃってたけど代謝が違うんだよね~」とか話してて、またもそのあからさまなトークに司会のバカリズムと一緒に僕も爆笑した。

■Chara 『やさしい気持ち』

Charaのイメージって変わらない。昔からこんな感じだ。自由奔放で、自分をさらけ出しながら、26年もの間ずっと愛について歌い続け、いつも愛について語り続けてきた。
でもそのさらけ出されたものが全部カッコよくて、何をやっても結局Chara(Chara言うところのCharaプロ)として成立していて、昔も今も沢山の女性からシンパシーを得て支持されている。それにはあの驚異的に今も全然変わらないキュートなルックスと、同世代の女性も若い女のコもみんな憧れる永遠のガーリーアイコンな存在による部分もきっと大きいだろう。
Chara自身も、見た目は凄く大事とどこかで言っていたが、確かに前述したような発言や色んなパフォーマンスをもし老けて太ったCharaがしてたら全くイメージが違うよな。

去年、Charaがデビュー25周年と知った時に、えっ、もうそんな前だっけ?と少し記憶が混乱し、つい色々調べてしまった。
確かにデビューしたのは25年前の1991年で、ZARDやスピッツや電気グルーヴが同じ91年デビューで、なんとSMAPも91年デビューの同期だった。興味深かったのは、オリジナル・ラブも同じ年にメジャーデビューしていて、野宮真貴がピチカート・ファイヴに加入したのもこの頃だった。
そう思うと、初期のCharaが、そのオリラブやピチカートとかと同じ「渋谷系」という枠の中で当時語られる事が多かったのも今は何となく納得できる。
それにしても、91年というのは宇多田ヒカルがデビューする7年も前なのだ・・・。
調べていると、Charaがその後の音楽シーンのメインストリームとなるガールズポップというジャンルを誰よりも先に切り開いてきたという事がよくわかる。
まさにCharaはクイーン・オブ・ガールズポップという存在なのだ。

僕は昔からCharaの書く歌詞が大好きだ。あの、あまりにも個性的な日本語か英語かそのどちらでもないようなボーカルスタイルのせいもあるのか、あまり頻繁には語られないが、独特の言葉選びや、不思議な言語感覚は、誰にも真似できなく、誰にも似ていなく、もう天性としか言いようのないイマジネーションがめちゃくちゃ刺激される素晴らしい世界感で、Charaの新譜が出る度に、僕はまず歌詞カードを詩集の本を読むように全部読んで、頭に入れてから音を聴くようにしている。
そうすると、その読んで頭に入れた歌詞にあのCharaの唯一無二のウィスパーボイスが乗っかってきて、音楽の魔法が始まるのだ。

■Chara 『Tiny Dancer』Music Video

ニューアルバムの「Sympathy」は、Charaのその音楽の魔法が詰まった傑作だった。
くるりの岸田繁とコラボした、くるりエッセンスも最高な「Tiny Dancer」。広瀬すずのポスターを見てるとメロディが浮かんできたという、広瀬すず出演のCM曲でもあるキュートな「Sympathy」。Charaが大好きだったプリンスへのオマージュを込め、Charaの息子でモデルとしても活躍するHIMIが英語歌詞を書いたカッコいい「Funk」。そして、Charaが自分の元を去っていった人の事を赤裸々に歌っていて、聴いていると胸に突き刺さる「小さなお家」。アルバム13曲その全てに最新型のCharaの愛が最大限に盛り込まれている。
きっとCharaは、音楽だけでなくプライヴェートの色んな経験なども経て、26年目にしてまた新たな愛を歌うフェーズに入ったのだろう。

■Chara 『Sympathy』Music Video

Charaは今『Chara Live Tour 2017“Sympathy”』全国ツアーの真っ最中だ。
最新曲はもちろん、往年の名曲も沢山披露されていて、観に行った知人も「神セットリストだった」と興奮していた。
Charaは26年目のまた新たな“あいのうた”を今歌っている。

Chara Live Tour 2017 "Sympathy"

9月1日(金)LIQUIDROOM 
9月3日(日)福岡・DRUM LOGOS
9月8日(金)名古屋・Zepp Nagoya
9月17日(日)大阪・Zepp Namba
9月24日(日)昭和女子大学人見記念講堂

チケット NOW ON SALE!

〈Musicians〉
Drums: 白根賢一 Guitar: 名越由貴夫 Bass: キタダマキ
Keybord: 皆川真人 Chorus: 竹本健一 Sax&Flute: 庵原良司
※東京・福岡・名古屋公演のみ小学生(12才まで)対象のキッズエリアあり

関連リンク

RELEASE

NEW ALBUM「Sympathy」
(Ki/oon Music)
NOW ON SALE

[通常盤初回仕様](CD)、[初回生産限定盤](2CD)

<参加ゲスト>KanSano / 岸田 繁(くるり) / kensukeushio(agraph) / ケンモチヒデフミ(水曜日のカンパネラ) / mabanua / BASI(韻シスト) / TAKU(韻シスト)

横山シンスケ

渋谷のイベントライブハウス「東京カルチャーカルチャー」店長・プロデューサー。その前10年くらい新宿ロフトプラスワンのプロデューサーや店長。イベント企画、司会、ライターもやってます。
Charaが昔、前歯矯正の金属ブラケットを堂々とつけてたら、それがファッションとして女性達に流行りましたよね。あれは衝撃だったなあ。
横山シンスケ ツイッター:https://twitter.com/shinsuke4586
東京カルチャーカルチャー:http://tcc.nifty.com/