BESPER 2026 Tour「Plan C」
2026年9月6日(日)Shibuya WWW X
2020年1月に結成された6人組バンド、BESPERにとって初となるワンマンツアー『BESPER 2026 Tour「Plan C」』のツアーファイナルが、9月6日(日)にShibuya WWW Xで開催された。曖昧さや自由さのなかにある本当に鳴らしたい音を追い求め制作された1st アルバム『Plan C』を引き連れ、福岡・大阪・名古屋・東京と駆け抜けてきた距離は往復2,400km。長い旅路の果てで、彼らは確かな成長を遂げていた。
薄暗いステージにブルーの光が射しこむなか、物語の始まりを告げるのはSEの「C=City」。1st アルバム『Plan C』を封切ったように、ファンタジックな世界観で渋谷WWWXを目覚めさせていく。メンバーが舞台上に揃うと、いよいよグッドミュージックショーの幕開けだ。
まずは、今目指すべき場所や進むべき道を歌詞にこめた「Plan C」をドロップし、ここから始まっていく『TOUR Plan C』の航路を軽やかに提示。豊潤な演奏と深い歌声を響かせ、あっという間にその場の空気を掌握した。テクニックを必要とするソロリレーだって、BESPERにかかれば朝飯前だ。SAX、ベース、キーボード、ギターと見せ場を繋ぎ、現体制ならではのアレンジで「Secret Path」へ。メンバーはお互いの呼吸を感じながら、グルーヴィーな音楽を奏でていく。その波に乗っかるように、オーディエンスもクラップで参入。音源では成しえないライブならではのサウンドが、生き生きと構築されていった。「Sunset Lover」までダダダダッと駆け抜け、圧倒的な完成度のオープニングを作り出したのである。
「ここにすべてを置いていってください。よろしく!」と声をかけ、誘われたのは都会的な音像に恋模様が浮かぶ「In The Mood」だ。SHINJIRO(Vo.)は手をクラクラと揺らしたり、色っぽい声色を煌めかせたりと楽曲に没入すれば、ARARIKU(Gt.)はロングトーンをたっぷりと使った濃厚なギターソロで魅了する。
ロマンチックに“愛”を描きだすと、都会を生き抜くすべての若者への応援歌である「HIBIYA」へ。
愚直な歌詞、哀愁を感じる音作り、ラップを巧みに取り入れた構成、それぞれの要素が絡みあい、都会に浮かぶ夢の輪郭をなぞっていく。BESPERのマインドにも色濃くリンクしていたからなのか、《君のこの先を見たい》から始まる畳みかけは、ゾクッとするほどの緊迫感を宿していた。
このままクールに突き進んでいくのかと思いきや、折り返しを前にしてムードを一変。自由な景色へ向かうドライブナンバーの「Holiday Drive」を投じ、一瞬にして場内を晴れやかなカラーに塗り替えた。なんといっても、各楽器の按配が絶妙だ。お互いの旨味を高め合うギターとサックス、上物を支えるようにしっかりと寄り添うベードラ、さりげなく厚みを足していくキーボード。
もっとコテコテに味付けできるところを、あえて軽妙に仕上げているのだろう。淡泊でなければくどくもない、体にスッと馴染むフランクなバランスが存在している。
続く「Break Down」でも、繊細な匠の技は健在だ。ベースとサックスが息のあったイントロを鳴らせば、キーボードとギターはアイコンタクトを取り、シンクロ率の高い演奏を披露。あまりの心地良さに観客も引っ張られたのか、サビになる頃にはたくさんの手が掲げられ、フロアが上下に揺れていた。生み出された多幸感を抱きしめたまま、働く人の日常アンセムである「JABD」へ。サックスが大活躍なブライトな楽曲は、華やかに会場を包みこんでいく。一方で、こちらの心情を見透かしたように「《自分なんかって 保険かけて》んじゃないの⁉」と歌詞を崩し、観る者をドキリとさせる一幕も。90年代J-POPのエッセンスをBESPERらしく昇華し、ポップシーンにも食い込める実力を示して見せた。
MCでは、気さくに声をかけながら客席とコミュニケーション。「路上ライブの動画とか見て来た人⁉」と問いかけた際には、いたるところから歓声が上がった。そんな光景を目にしたARARIKUは「路上ライブを観に行きたいので、予定を教えてくださいと言わずに、ちゃんとここに来た人は偉い! ボランティアでやってんじゃないから、こっちも」とコメント。SHINJIROも「路上バンドを始めたくてやっているわけじゃないので、こっちに来てくれると本当に嬉しいなって限りです」と、胸のうちに秘めている正直な気持ちを口にする。また、TiktTokでの「寒空」のバズについては、「ユーミンが本物のポップスは10年後に売れるって言ってたので。一過性のものじゃなくて、ちゃんと自力がある曲が出来てるんだなっていうのを体感できた」と語り、この6年間で積み上げた歩みに想いを馳せた。
ARARIKUが初めてソロボーカルに挑戦した「After Summer ~郷愁~」をきっかけに後半パートへ。全体的にシンプルなアレンジは、声やメロディーそのものの強さを引き立てる。フルートやサックスの合いの手も美しく、夏終わりに漂う切なさを掻き立てていた。
普遍的な強さを持つポップチューンで、ラストに向かってギアを踏みこむ。ライブで育てられてきた「Twilight Dive」が導かれる頃には、大団円と呼ぶにふさわしい雰囲気に。セッションを楽しむメンバーの熱量がオーディエンスに波及し、莫大な熱量を生み出していた。
ついに、ライブは最後の1曲となる。フィナーレを前に、ARARIKUは「こうやって俺らの想いをみんなにぶつけられているこの瞬間が、本当に幸せ。今回に出た1st アルバムもそうだし、今までの曲も愛して欲しいし、BESPERをずっと心の片隅に置いておいてください。バンド戦国時代だけど負けねえから。絶対にデカいステージに立つから」と力強く宣言。そして、BESPERにとって初のバラードとなる「Ballad」へと入っていった。幻想的で神々しいセッションは、壮大な映画のエンドロールのよう。音や言葉が、ひとりひとりの心に深々と降り積もっていく。教会を彷彿とさせる逆光とギターのハウリングで場内を満たし、本編は幕を下ろしたのだった。
ほどなくしてアンコールへ繋がれると、《パーティーはそろそろお開きの時間さ》と歌う「Finale」を投下。ボーカルに促されるままに、真っすぐに伸びた手が右へ左へと天を仰ぐ様は、眩しいほどに清々しい。ここで締めくくってもおかしくないものだが、まだまだ楽しませるのがBESPERのスタイル。「ありがとう!…って終わるわけないじゃん!」と声をかけ、バンド初期から愛されている「Ours」へと雪崩れこんだ。会場一体となる《Na na na na…》のシンガロンは、まさにハッピーエンドそのもの。たっぷりとソロパートを作ったって、イントロが長くたって、尺が3分超えていたって、現代でも通用する――、心血注いで磨き上げられたグッドミュージックは、リスナーの心を震わせるのだと、作り上げた景色で証明してみせたのだった。
SET LIST
1. Plan C
2. Secret Path
3. Sunset Lover
4. In The Mood
5. HIBIYA
6. Holiday Drive
7. Break Down
8. JABD
9. After Summer ~郷愁~
10. Snowfall
11. 寒空
12. Twilight Dive
13. Ballad
ENCORE
1. Finale
2. Ours


















