
清春(Vo)のメジャー・デビュー30周年を記念したツアーの一環として、2025年2月に10年ぶりに再始動を果たした黒夢。彼らは東京ガーデンシアターで開催された復活ライブを皮切りに、全国ツアーや『ARABAKI ROCK FEST.25』『SUMMER SONIC 2025』といった大型フェスへの出演、ぴあアリーナMM単独公演など、精力的な動きを見せた。充実した'25年を経て、今年に入ってからは黒夢が7月から9月にかけて<THE PERFECT DAYS TO DIE>と銘打ったアリーナ・サーキットを実施することがアナウンスされた。7月17日・18日・19日にTOYOTA ARENA TOKYO、9月6日に東京ガーデンシアターというスケジュールが組まれた<THE PERFECT DAYS TO DIE>は黒夢史上最大規模のライブということもあり、大きな注目を集めた。
7月に開催されたTOYOTA ARENA TOKYOは3夜揃って大盛況となり、続く東京ガーデンシアターのチケットも瞬く間にソールドアウトとなった。このことからは黒夢が今なお多くのリスナーから強く求められる存在であることを実感させると共に、TOYOTA ARENA TOKYOのライブが素晴らしいものだったことがわかる。7月15日に2枚同時リリースされた初のセルフ・カバー・アルバム『DrugTReatment 2026』『CORKSCREW 2026』がiTunes Storeのアルバム・ランキングで1位、2位を独占したことも含めて、黒夢に対するリスナーの期待がさらに高まっていることを感じさせる中9月6日がやってきて、<THE PERFECT DAYS TO DIE>を締め括るライブが東京ガーデンシアターで行われた。
暗転した場内にオープニングSEの「Last Caress」が流れ、サポート・メンバー達に続いて黒夢の2人がステージに姿を現した。客席から湧き起こる大歓声を圧するように轟音が鳴り響き、ライブは「FAKE STAR」や「SPOON & CAFFEINE」「DRIVE」といったパンキッシュなファスト・チューンを続けて聴かせる流れから始まった。アクティブにステージを行き来して力強い歌声を発する清春と激しいステージングを展開しつつファットなベース・サウンドを轟かせる人時に目を奪われるし、音圧とキレの良さを併せ持ったサウンドが全身に心地いい。ライブが始まると同時にアクセル全開で突き進む黒夢に応えてオーディエンスも熱いリアクションを見せ、場内のボルテージは一気に高まった。
3曲聴かせた後、最初のMCが入った。
「皆さん、集まってくれて、ありがとうございます! 待っていてくれましたか? 楽しみにしていましたか? ありがとうございます。僕らも、すごく楽しみにしていました。やっぱ、いいね。楽しいです。今日は1フレーズでも、一瞬でも、“グッ”とくるものがあればいいなと思ってここに来ました」(人時)
「TOYOTA ARENAを3日間やって、今日はアリーナ最後の日です。楽しんでください」(清春)
続くセカンド・ブロックでは、どっしりとしたミディアム・テンポの「MIND BREAKER」や晴れやかな「Spray」、シャッフル・チューンの「Walkin' on the edge」などで幅広さを披露。アグレッシヴな黒夢はもとより華やかな彼らも魅力的だなと思う中、翳りを帯びた「NITE & DAY」が届けられた。曲を始める前に清春の憂いを湛えた歌声で場内の空気を“スッ”と一変させる辺りは見事だし、抑揚を効かせた清春のボーカルを軸にした「NITE & DAY」の洗練された味わいは非常に聴き応えがある。ライブが始まった瞬間から熱いリアクションを見せていたオーディエンスもこの時ばかりは静まり返って、「NITE & DAY」の世界に深く惹き込まれていることが印象的だった。
その後は、人時のベース・ソロへ。人時はアッパーなシーケンス・リズムに合わせてパーカッシブなプレイや多彩なフレージング、豪快な速弾き、そして客席への煽りなどで、オーディエンスを大いに沸かせてみせた。ベース・ソロというと“ベーシストに向けたマニアックなもの”というイメージを抱く方も多いかと思うが、人時のベース・ソロは全く違う。ベーシストとしてのスキルの高さを示したうえで、誰もが楽しめるエンターテイメントに昇華するという優れた手腕が光っていた。
刺々しさを放ちながら疾走する「MASTURBATING SMILE」やパワフルかつキャッチーな「ROCK'N' ROLL」などを経て、ライブは後半へ。ここでは「C.Y.HEAD」を皮切りに、「CANDY」や「後遺症 -aftereffect-」といった超高速チューンが畳みかけるように演奏された。爽快感を放つサウンドとメンバー全員が織り成すフィジカルなパフォーマンスが相まって生まれる気持ちを引き上げる力は絶大で、オーディエンスは熱気と一体感に満ちたリアクションを見せ、何度となく大合唱を繰り返す。本編のラストを飾った「Sick」で場内の盛り上がりは最高潮に達し、「Sick」が終わると同時に客席からはアンコールを求める熱烈な声と手拍子が湧き起こった。
アンコールは、清春と人時による感謝の言葉から始まった。
「僕は50代後半で、人時はもうすぐ50代中盤でね。そういう中で、これだけ集まってくれるというのは良い人生だなと思います。応援してくれる人達、再始動に向けてがんばってくれて、今もがんばってくれているスタッフの皆さん、番組とかに僕を呼んでくれる皆さんといった総ての人に感謝しています。ありがとうございます。
最近は日々肉体が朽ちていくことを感じていますが、もう少し身体に無理をいわせてぶっ放していきたいと思っていますので、これからもよろしくお願いします」(清春)
「僕も感謝しています。ありがとうございます。僕らが皆さんの笑顔のもとになるといいなと思っています」(人時)
リラックスした表情で話す2人の姿に、客席からは温かみに満ちた拍手や歓声が起こっていた。
その後はスリリングかつスピーディな「LAST PLEASURE」や心に強く響く「少年」、メロディアスな「BEAMS」などをプレイ。本編の後半に続けて激しくいき上げるパターンではなく、短い時間で気持ちを落ち着かせて、それぞれの楽曲の情緒をしっかり表現するのはさすがの一言に尽きる。上質なアンコールはオーディエンスの気持ちを一層駆り立て、さらに黒夢を求める声に応えて黒夢はダブル・アンコールを披露。アグレッシヴな「カマキリ」、良質なメジャー感を纏った「NEEDLESS」、メロディアスかつ爽やかな「Like @ Angel」が届けられた。東京ガーデンシアターの場内は笑顔で溢れ返り、心地いい余韻を残してライブは幕を降ろした。
今回の<THE PERFECT DAYS TO DIE>で、変わることのないモンスターぶりや唯一無二の魅力を余すことなく見せつけた黒夢。長いキャリアを持つアーティストならではの円熟味と若いバンドを思わせる攻めの姿勢を兼ね備えた現在の彼らは本当に魅力的だ。昔の楽曲をそのまま再現するのではなく、現在の音楽にふさわしい形にアップデートする姿勢が奏功して、総ての楽曲が眩い光を放っていたし、超高速チューンで畳みかけるライブ後半の突き抜けた突進力には圧倒されずにいられなかった。まだまだ深化していくことを感じさせただけに、今後の黒夢にも大きな期待を寄せずにいられない。
最後に、ダブル・アンコールで清春が語った言葉を記しておこう。
「時代はだんだん変わって、音楽性もそうですね。僕らにはちょっと理解不能なものが続いていますが、我々も含め、ここにいる人達がですね、そんなものは関係ないと言い切れる文化がここにあります。僕らは10年間お休みして……お休みというか、ほぼ解散でしたが、それを経てちょっと活動して、その後また10数年間やめて、今ここに立っている。そういう中で、僕と人時さんが大好きな曲達や音楽性、メッセージ性だったりを求めてくれる人が消えないでいてくれて、本当に良かったなと思っています。皆さんが僕らのDNAを殺さずにいてくれたんだなとライブをするたびに思います。
もっと大きい会場とか、もっと沢山売れるといったこともありますが、そういうことよりもここにいる人達が夢中でいてくれることのほうが大事です。それがロックンロールだと思います。この会場の外に出たら黒夢の“く”の字も知らない人なんて、いっぱいいます。でも、関係ないです。全く関係ない。皆さんも、皆さんの人生以外は全く関係ないです。我々はそういう思いのもとに生きてきました。みんなもぜひ、これからの残りの人生そうしていきましょう。他は関係ありません。ありがとう。また会いましょう。愛しています」(清春)
黒夢キャリア初のアリーナライブ4デイズ、参加してくれた皆さんの熱狂と笑顔こそが我々の想うロックンロールでした、心からの感謝と愛を@fc_satoko @koki_bonez_tor @toddyphantom @hitokill@ki_spring pic.twitter.com/WoGR292xt2
— 黒夢 (@KUROYUME2025) September 6, 2026
SET LIST
01. FAKE STAR
02. SPOON & CAFFEINE
03. DRIVE
04. MIND BREAKER
05. Spray
06. Walkin' on the edge
07. NITE&DAY
08. MASTURBATING SMILE
09. FASTER BEAT
10. ROCK'N'ROLL
11. C.Y.HEAD
12. CANDY
13. 後遺症 -aftereffect-
14. Sick
ENCORE
15. LAST PLEASURE
16. 少年
17. BEAMS
W ENCORE
18. カマキリ
19. NEEDLESS
20. Like@Angel















