日比谷野外音楽堂という特別な場所で演奏することについて
──日比谷野音という会場はやはりシンボリックな舞台だと思いますので、みなさんそれぞれの野音に対する想いをお伺いしたいです。
玉田僕はソイルやフラワーカンパニーズを野音で見ていて、やっぱりバンドマンの聖地みたいな感じはありますよね。よく願い事が叶うと言われる京都の鈴虫寺のお札には「野音でいつかライブができますように」みたいなことを書いてるので、今回終わったらお札を返しに行こうかなと思ってます(笑)。
──ADAM at主催の「INST-ALL FESTIVAL」も会場は浜名湖ガーデンパークで、やはり野外は特別ですか?
玉田「INST-ALL FESTIVAL」に関しては、先ほどのGottiさんのお話じゃないですけど、いろんなジャンルの方々に名前が耳に届くようにやっていきたいと思ってます。身内の中の一つのトピックスになるのではなくて、音楽業界全体に対しての一つのトピックスにならないと意味がないと思ってますので、その意味でもライブハウスよりも野外の方がいいのかなと。ライブハウスに行かないけどフェスには行くっていう方も結構いるので、そこに向けても発信していきたいと思ってますね。
──「Instrumental festival」を日比谷野音で開催するということは、まさにインスト界隈だけじゃなくて、音楽業界全体のニュースになる出来事ですよね。
YUKI僕は上京したのが19年前とかなんですけど、上京してきてすぐに先輩ベーシストのお手伝いで野音に行ったことがあったんですよ。ステージの裏でベースのチューニングとかしてたんですけど、「ここでいつかやれたらいいな」ってぼんやり思ってたのは間違いなくあって、今回「あのステージに立つのか、感慨深いな」と思って。
──日比谷野音に今回初めて立つ方、手を挙げてもらっていいですか?
(TSUUJII以外手を挙げる)
──そうなんですね。ちょっと意外かも。
TSUUJIIでも僕も野音に立ったのはNegiccoのサポートなんですよ。インストというか、楽器演奏者はこういうことってよくあるじゃないですか。「誰かのバックで武道館に立った」とか。それはそれで素晴らしい経験になるし、すごいことだと思うと同時に、やっぱり自分たちの名前で出るのとは全然違うことだと思うんですよね。例えば、年末にfox capture planが自分たちの名前で「紅白歌合戦」のグランドオープニングを担当・出演っていうのは本当にすごいことやなと思って。今回の日比谷野音に関しては、ここのメンバー全員が自分たちの名前で日比谷野音のステージに立ったバンドになるんだと思ったら、そこがめっちゃ熱いなと思ってます。
井上僕もこれまで野音は憧れでしかなかったですね。毎年フェスをやってるROVOと、ZAZEN BOYSの「MATSURI SESSION」のイメージが強くて、あとTHA BLUE HERBとか、みんな野音でやってるその回が全部伝説の回になってるイメージがあって、神聖な雰囲気をすごく感じるんですよね。しかも今回はまたなかなか経験できない真冬の野音っていうのもあって、いろんな意味で伝説が起きるかもしれないし、楽しみです。
Gotti僕は一番好きなアーティストが尾崎豊さんなんですね。中学生ぐらいからずっと大好きで、尾崎さんの本とかもすごい買って読んだりしてたんですけど、尾崎豊イコール日比谷野音っていうイメージがあるので、それこそすごく神聖な場所だし、そこでできるのは特別な気持ちにはなりますね。
YUKIよし、ジーンズに白いTシャツでいこう!
──真冬の2月に尾崎スタイルだったら伝説ですね(笑)。岸本さんはいかがですか。
岸本YouTubeですけど、SUPER BUTTER DOG主催の「ファンキー大百科」を野音でやってるのを見て、たくさんのバンドがフェス感覚でやってて、すごく楽しそうだと思ってたので、今回もそういう雰囲気が作れたらいいなと思います。あとインスト系だと、菊地(成孔)さんのDC/PRGのライブ映像を見たことがあって、丈青さんがメンバーにいた頃で、キレキレのソロを弾いてて、それも伝説の雰囲気が漂っていて。やっぱり伝説が生まれる場所だなってイメージはありますね。
──玉田さんが最初におっしゃってくれたように、2021年の「TOKYO INSTRUMENTAL FESTIVAL」からはちょっと間が空きましたけど、ひさしぶりにこういうフェスが開催できること自体にもすごく意義がありますよね。
玉田そうですね。各地にロックフェス、パンクフェスは多いんですけど、インストフェスっていうのは皆無で。ジャズフェスはあるんですけど、ジャズフェスは基本的に無料だったりするので、ちゃんとお金を取ってやるフェスは本当にこれ唯一ぐらいなんじゃないかな。なので、これでまた音楽業界に自分たちの存在を、ジャンルの存在をアピールできるのかなと思うし、厄災が明けた一つの証になるのかなと思ったりします。
──TSUUJIIさんも地元でフェスを主催されていますが、今回改めてフェスを開催することの意義についてはどう感じていますか?
TSUUJII私の主催する「CoFuFunFES.」には玉田さんにも1年目から出ていただきまして、まさに脈々と続くフェスという文化のバトンが回ってきていると思っていて。もともと玉田さんの「INST-ALL FESTIVAL」にCalmeraで出させてもらったときに感銘を受けて、「よし、自分もフェスを立ち上げよう」ってなったんですけど、もともと玉田さんはJABBERLOOPの「Mother Lake Jazz Festival」に感銘を受けて、「INST-ALL FESTIVAL」を立ち上げたんだよってことを教えてくれて、バトンがどんどん回っていってる感じがめっちゃいいなと思って。その系譜の中に「TOKYO INSTRUMENTAL FESTIVAL」があったということは、無意識的な部分含めて、絶対影響は受けているので、それがコロナを経て復活するのは、すごく意味があるんじゃないかと思います。