あの頃の記憶がいま鮮やかに蘇る。時を越えて結ばれた“友”たちと作り上げた、「Hysteric Blue Night vol.1.5」ライブレポート

ライブレポート | 2026.10.06 18:00

Hysteric Blue Night vol.1.5 supported by SERENS
2026年9月27日(日)恵比寿ザ・ガーデンホール
出演者 : Vo.Tama / Dr.楠瀬タクヤ / Ba.中村泰造 / Gt.浜口高知 / Key.eji

9月27日、東京・恵比寿ザ・ガーデンホールで開催された“Hysteric Blue Night vol.1.5”。こちらは5月9日、一夜限りのライブとして23年ぶりに全曲ヒスブル縛りで行なった“Hysteric Blue Night”が大盛況だったため、急遽開催が決まったもの。今回も、チケットは見事にソールドアウト。待ちわびていた多くのファンが、ヒスブルの曲が始まるたびに歓喜したメモリアルなライブの模様をレポートする。

誰もが知っている平成を代表するヒット曲を始め、持ち曲は名曲だらけ。それを出し惜しみなしで披露していくセットリストは圧巻の選曲。もう1度会いたかったHysteric Blueのステージが、まさかいまの時代に見られるなんて。そんな感動が曲を演奏するたびに場内に広がっていったライブだった。

ヒスブル=青春だったファンの悲願がメンバーの気持ちを動かし、当初は一夜限りだった“Hysteric Blue Night”の追加公演として行なわれた本公演。セットリストは前回の公演に1曲新しい曲をプラスする形で行なわれた。ブルーの細い照明が交差するなか、ヒスブルのオリジナルメンバーである楠瀬タクヤ(Dr)が真っ先にステージに登場。サポートメンバーの中村泰造(Ba)、浜口高知(Gt)、eji(Key)が続いて姿を現わす中、タクヤがセンターで客席を煽ってクラップを求めたあと、最後にオリジナルメンバーのTama(Vo)が姿を見せると、客席のテンションが舞い上がる。Tamaがパーンと手を振り上げた直後、SEがタクヤのドラムに代わり、ライブはヒスブルの代名詞ともいえる大ヒット曲「春~spring~」で幕開けすると、会場の空気が一気に上昇。ファンは感極まりながらも、手を振り上げたり歓声を上げたりペンライトを振って、ヒスブルに再会した喜びを表現していく。タクヤの笑顔で歌を口ずさみながらのドラミング、Tamaの高音まですべてが伸びやかに届いてくる歌声。目の前にいる彼らは、なにもかもがヒスブルで胸が高まる。

「Hysteric Blue Night vol1.5へようこそ~!」とはつらつとしたな声で挨拶を告げるTamaは、時の流れを感じさせないほどキュート。「ウチら、リハーサルのときから楽しんでるんだけど、それを越えていこうと思うんで、最後までよろしく」と告げたあとは、Tamaがセンターから左右に動いて、オーディエンスを煽りながらロックな「DOLCE~夏色恋慕~」、タクヤが軽快な8ビートを刻む中、歌詞に合わせてステージが照明で青く染まった「ベイサイドベイビー」、片思いの恋心をメロディーと歌詞にのせた胸キュンソング「祭りのあと」を立て続けに披露していく。ヒスブルとともに青春時代を過ごしてきたと思われるオーディエンスは、演奏が始まるたびに“ハッ”としながら、夢のようなヒスブルのステージに自分の当時の思い出を重ねて、演奏を噛みしめていく。全曲ヒスブル縛りで行なうステージは、じつに23年ぶり。しっとりしたエレピの音をBGMに、Tamaがしゃべりだす。次に演奏する曲について「当時、私たちは20歳ぐらいで。歌詞が大人っぽ過ぎて、当時の私はまだ理解できなくて、悩みながらも気持ちを想像して歌った」とレコーディング当時の思いを打ち明けた。時を越えて、作り手や聴き手が、その楽曲に新たな意味を見いだすというマジックを引き起こすのが音楽の素晴らしいところ。Tama自身も、あれから時を経て「私も大人になって、当時分からなかった気持ちを理解できるようになって歌ってみたら、しっくりきた。みんなも、こういう歌詞の気持ちを思い浮かべながら聴いて下さい」といって始まったのは「カクテル」だった。

これまでのヒスブルのタクヤ節にシティポップをフィーチャーした曲調、“旦那”が出てくる歌詞設定も、1周回って、いまのヒスブルにピッタリで、Tamaはここでは歌詞の心情をなんともいえないアンニュイな歌声にのせて歌唱していたのが印象的だった。オーディエンスが手を左右に振るなか、歌が会場を包み込んでいったミディアムバラード「ふたりぼっち」に続いて「Paradox」が始まると、Tamaは繊細に歌をコントロールしながら、ドラマチックにこの曲を歌い上げ、観客の胸を締め付けていく。この曲はバラードでありながら、曲間でタクヤの激しいドラムを合図にアンサンブルが激しくバースト。演奏でも心の叫びを表現して、サウンドでも観客の心を魅了。歌も演奏も深みを増して響いてきた「Paradox」のパフォーマンスは、この日の前半戦のハイライトとなる名演だった。

「Paradox」を歌い終えたTamaは、一息ついたあと「この曲は5月9日、“Hysteric Blue Night vol.1”で久しぶりに歌って。当時よりも歌の抑揚が理解できるようになって、私のお気に入りソングになった」と告白し、「ぜひとも音源と比べて楽しんでもらえたらなと思います」と観客に呼びかけた。そのあと「次の曲は、5月9日にやらなかった曲」と伝えると、客席のファンは「おぉー!」と声を上げながら喜びを爆発させていく。それを受けて「いまは9月」と曲のヒントを出したあと、この曲に関しても「当時の私には、曲も歌詞も大人すぎて”この歌詞、私のなかにないねんけど、どうしたらいいんだろう?“という曲だった」と曲と向き合った当時のことを振り返った。けれども、今回歌ってみたら「それがなかった。9月だからやります」といって、始まったのはもちろん、この日に歌われることが必然だったような「September」。陽気にはっちゃけるのではなく、ラテンフレーバーを大人っぽく、情熱的なムードに落とし込んだこの曲。Tamaはその音と重なるように身体を色っぽく揺らして、ドキリとするような仕草を入れながら濃厚な歌を届けていく。演奏が終わると、場内は彼らからのプレゼントに盛大な拍手がわき起こる。タクヤが「曲書いた僕も、よくこんなの書いたなって思った。背伸びしてたんですよ。当時は」と回想すると、続けざまにTamaが「今日初めてヒスブル観たって人いる?」と不意に会場に問いかける。数人の観客が手を上げると、それを確認したTamaは「これがヒスブルだとは思わないでね」と笑いながら言葉を添えた。そうして、「では次の曲」といったあと、始まったのは「なぜ…」。前のMCを受け、ここにヒスブルのど真ん中をいく王道ソングを用意する流れがなんとも痛快で、最高だった。彼らの代名詞である胸がキュンとするようなせつなさをメロディーと歌詞にのせたこの曲では、Tamaは少女のように衣装のすそをヒラヒラ揺らめかせながら、当時の歌唱に寄せたような歌い方でこの曲をアクト。タクヤのパワー全開のドラムソロに、骨太なベースがうねりながら重なり、強靱なグルーヴを生み出したあと、そこに他の楽器が加わったあとは「Midnight Rave」からライブはロックゾーンへ入ってく。激しく攻めてたてるロックバンドならではのアンサンブルにのせられ、オーディエンスはこの曲では手を振り上げて、歌いまくる。エンディングまで大いに盛り上がったあと、そのパッションを「旅路」へと繋いでいくと、さらにサウンドはスピードを上げて加速。Tamaはアクティブにステージを動き回り、オーディエンスは飛び跳ねて、ジャンプを繰り返す。最後まで激しく疾走していくバンドサウンドに、客席からは大歓声が巻き起こっていった。

いっきにヒートアップしていった場内に向け「体温まってきましたか? 私は熱を持ちすぎて」と興奮気味に話すTama。気持ちを落ち着けた後「次の曲は我々のデビュー曲。この曲があったから我々の物語がスタートして、いろんな人たちに出会えた。だから、みんなにも歌って欲しいんです。歌ってもらわないと成立しないから。いいですか?」と観客に話しかけると、客席は大いに盛り上がる。そうして、このあとはTamaが観客が歌うパートをレクチャーしながら、観客に歌唱指導を行なっていく。観客が歌うのは、サビでTamaの歌と掛け合いなるコーラスの部分だ。歌詞を伝えながら、Tamaが冷静な口調で「なんせ18歳の時の曲。青春が大爆発してるわ」というと、これにはタクヤも大ウケ。何度か練習をしたあと「早口になるところが難しいのと、意外と高いけど、本番もその調子で歌って!」と励まして、いよいよ本番。「RUSH!!」が始まる。カラフルな照明が場内を明るく照らすと、タクヤが刻む“ターンタタン”のビートに合わせて、客席はまずハンドクラップで1つになる。そうして、サビが始まると、さっきの練習の成果を発揮するように、オーディエンスはここでも一丸となってコーラスを大合唱。こうして、ステージと客席が1つになったあとは、タクヤが「ワン、ツー、スリー、フォー」とカウントを叫んで「フラストレーションミュージック」を投下。ここではTamaがペンライトを持ち出し、ペンラと照明で場内を真っ赤に染め上げる。その勢いのまま「メーデー」を演奏したあとは、メンバー紹介を挟んでライブはいよいよクライマックスへ。ライブのキラーチューンでもある高揚感を煽る「グロウアップ」で場内に今日一番の盛り上がりを作り出していって、最後は「Reset me」をパフォーマンスして本編を締めくくった。

鳴り止まないアンコールに応えて再びステージに現れたメンバーたち。Tamaは「楽しかったですか? 私達も楽しかったです」とライブの感想を伝えたあと、アンコールは「Dear」で始まった。この曲を演奏する前に、Tamaは19歳の頃に上京して、一人暮らしをするようなって実感した母親のありがたみを綴った曲だと話していた。時間が経っても、この気持ちはいまも変わってないよと伝えるように「Dear」の言葉一つ一つを大切に届けていったあとは、タクヤがしゃべりだす。「聴きたかった曲、聴けましたか? 今日はキックのドーンっていう音の響き、1つでもなにかの元気になってくれたらいいなと思って演奏してます」と観客に伝えたうえで、全曲ヒスブル縛りのライブをやろうと決心したのは「ヒスブルを知ったときには解散してた」とか「当時ライブに行けなかった」というファンの声が背中を押してくれたからだと明かした。それを踏まえて「俺ら、みんなのこと今日から“友”って呼びたい。友の会のLINE作るから、繋がろう。この舞台(“Hysteric Blue Night”)は、地元に帰ったときに気の合う、趣味が合う仲間、友だちと寄り合いをするようなみんなのホームだから」というと、Tamaが絶妙なタイミングで「“こういう夢ならもう一度逢いたい”ということで、“Hysteric Blue Night vol.2”決定しましたー!」と叫んで、2027年5月1日に東京・EX THEATER ROPPONGIにて“Hysteric Blue Night vol.2”を開催することを発表すると、ファンは跳び上がって歓喜。「みんなに背中を押してもらったからこその開催。来年の春、もう1度みんなで逢いましょう。最後は宴、みんなで歌いましょう」といって「春~spring~」の演奏が始まると、エメラルドブルーのテープが場内にひらりひらりと舞い降り、そのテープを手に観客たちはこの曲を一丸となって大合唱。Tamaがそのエネルギーを一手に引き受けて“私…歌が好き…”と歌って、感情を爆発させていったところでライブはフィニッシュ。Tamaの歌唱はもちろん、ステージ上の存在感、タクヤがひっぱるバンドサウンド。すべてのパフォーマンスがパワーアップした状態でHysteric Blueを歌い、演奏して、オーディエンスを魅了し続けた多幸感溢れる夜だった。

2027年5月1日、EX THEATER ROPPONGIで行なわれる“Hysteric Blue Night vol.2”はTama、楠瀬タクヤのオリジナルメンバーに加えて、優(Gt/BugLug)、中村泰造(Ba)、大橋英之(Gt)、重永亮介(Key)がサポートメンバーとして集結。ヒスブルの友はもちろん、まだヒスブルを観たことがない人にとって、これは絶好の機会。このチャンスを逃さないよう、早めにチケットをチェックしてみて欲しい。

SET LIST

01. 春〜spring〜
02. DOLCE〜夏色恋慕〜
03. ベイサイドベイビー
04. 祭りのあと
05. カクテル
06. ふたりぼっち
07. Paradox
08. September
09. なぜ…
10. Midnight Rave
11. 旅路
12. RUSH!!
13. フラストレーションミュージック
14. メーデー
15. グロウアップ
16. Reset me

ENCORE
17. Dear
18. 春〜spring〜

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