18歳の頃、東京で初めて組んだバンドでライブハウスのステージに立ちました。渋谷にあった「屋根裏」ですね。お客さんは全員、友達。20人弱程度しか集められなかったし、自分でブッキングしてライブをやったけれど、嬉しかったですね。当時はお客さんを集めるのが大変で、顔見知りの友達が友達を連れてくるパターン。あとは情報誌のライブコーナーにバンド名は載せられるけれど、知らないバンドは誰も見に来ない。手書きのフライヤーをコピーしてライブハウスの壁に張り付けたりしていました。そこから徐々に動員も増えていきましたけど、最初はやっと東京のライブハウスに出演できるというだけで、もうデビューしたような気分でしたね。
ステージでやっていたのは10曲ほどで、半分はオリジナル、半分はアメリカのファンクミュージックでした。ジョージ・クリントン、リック・ジェームス、あとはディスコで流行っていた曲とか。屋根裏の初ステージは嬉しかったですけど、ライブ後は考えますよね。月に1回ぐらいできても、2回目やると、また友達しか来ない。これ、意味ないなっていうことになるし、ここから先、大変だなという想いになりました。だから、コンテストに出たり、デモテープをレコード会社に持っていったりしていました。ライブハウスに出演できても、そこからすぐ何かが始まるわけじゃないので、喜びの直後に現実に直面したのが屋根裏時代でしたね。
でも、何度目かの屋根裏でのライブで、ある土曜日にアドリブで“座りっぱなしでいいのかい~”って歌ったら、友達じゃないお客さんたちが椅子から立ち上がって楽しんでいた時のことは覚えています。バンドのギターの奴と2人で、ステージで目を見合わせて感動しました。特にやっている音楽が、座ってじっくり聴くものじゃなくて、踊ってもらってナンボの曲ですから。そこで、体で反応してくれたわけですから、よけい嬉しかった。
若き日の原体験がずっと進化しながら息づいているのを感じました。
久保田さん、貴重なお話をありがとうございました!