1番手に登場したのはドミコ。形態だけで言えば、初期のストレイテナーを想起させる2人編成で、さかしたひかる(Vo&G)と長谷川啓太(Dr)は登場するなり「マカロニグラタン」「こんなのおかしくない?」と、小気味良いオルタナチューンを連発! “ありがとうございます、ドミコです。よろしくお願いします”と簡単に挨拶を済ませた後も、ひたすらマイペースで演奏に没頭することで、オーディエンスをじわじわ沸かせていく。
アンニュイさを纏いつつも鋭く尖った歌い回しが魅力のさかした。セッションっぽく始まった「まどろまない」はラップ調で迫り、リリックの隙間にパキッと滑り込む長谷川のシャープなドラムも痺れる。リフをその場で録って音を重ねまくるトリッキーなループマシン使いを全編で披露しながら、「ミッドナイトネオン」では暴発するギターを鮮やかな照明とともに突如浴びせたりと、ドミコのパフォーマンスは視覚的にも楽しい。
ガレージ、ローファイ、サイケ、ロックンロール・リバイバル、ヒップホップなどをない交ぜにした“おーまいがー”なドミコ節で、オルタナの底なし沼にズブズブ浸れる楽曲を最後まで畳みかけたドミコ。MCはほとんどなし。しかしながら、初見の観客も大いに興味を持たされた様子だった。
続いては、きのこ帝国。佐藤千亜妃(Vo&G)によるひんやりとした単音弾きから、あーちゃん(G)の轟音ギター、そして谷口滋昭(Ba)と西村“コン”(Dr)のリズムが雪崩れ込む「ユーリカ」で幕を開けると、引き締まった空気が辺りを覆う。歌もサウンドも独特の響きを有しているという点ではドミコと通じるけれど、情感豊かな「愛のゆくえ」などを聴くと、結成10年を越えた風格を感じざるを得ない。
“tricotとは何気に長い付き合いでして、うちのドラムのコンちゃん曰く、私たちとデビューの年が一緒らしいです。赤い公園と3組でツアーを回ったりしたこともあるんで、今日こうやって呼んでもらって本当に嬉しいし、ドミコもめちゃくちゃカッコ良かった!”と、佐藤がtricotへの感謝を語る場面もあった。
あーちゃんがピアノを弾く「猫とアレルギー」からはポップでほの明るいトーンも発揮し、曲ごとにきのこ帝国のバンドアンサンブルがスケールとふくよかさを増していく。中でもメロディアスで緩急の効いた展開、コーラスが華やぐ「東京」は圧倒的だった。悠然とした佇まいを含め、思わず観惚れてしまうステージ。アッパーな「Telepathy/Overdrive」でラストを盛り上げて、主催のtricotへとつないだ。