DaizyStripper LIQUIDROOM ebisu<12th Anniversary「KISS THE FUTURE〜This is DaizyStripper GRAND FINALE〜」> 2019年6月5日(水) LIQUIDROOM
「1年前、レーベル(KISS RECORDS)を立ち上げ、事務所を離れて、1から自分たちでやろうと歩き出してみたらそれはそれはとても険しい道のりで、この5人とスタッフで必死に前に進んできました。生きてると悲しいこと、楽しいこと、いいことも悪いこともいろいろあって。不器用だから余計な荷物を抱えてしまいがちな俺たちやみんなだけど、Daizyの存在がそんなみんなの抱えてる荷物を1つでも軽くできたら思うし、俺らはみんなの笑顔で楽しくなりたい。だから、とっておきの笑顔になる魔法、置いていきます!」
ファン投票による初のベストアルバム『This is DaizyStripper』を携え、2月から始まった<DaizyStripper FAN’S BEST ALBUM TOUR「This is DaizyStripper」>に続いて、6月5日、そのグランドフィナーレを兼ね、バンド活動12周年を記念するワンマンライブ<12th Anniversary「KISS THE FUTURE~This is DaizyStripper GRAND FINALE~」>を東京・LIQUIDROOM恵比寿で行なったDaizyStripper。
アンコールの最後、万感の思いが込み上げ、ファンの前で号泣しながら冒頭の言葉を語った夕霧(Vo)。その後ろでは風弥~Kazami~(Dr)も涙を流していた。この言葉は12周年に向けて自ら新体制を築き上げてまで、常に自分たちの奏でる音楽と“トレゾア(フランス語で宝物という意味)”と呼ぶファンに正しく、まっすぐに向き合い、音楽の力で聴くものを笑顔にしてその先にある「夢」をひたすら追いかける。それを愚直なまでに信じ、守り続けてきたDaizyStripperというバンドの姿がもっとも表れたものだった。
1年前、11周年公演でマーチングバンドを迎えて初披露したミュージカルのような「ラビットファンタジーパレード」がBGMとして高らかに流れる場内。客電が落ち、BEST盤にメンバー枠で収録された「KAMAKURA」のSEに合わせて、ステージ両サイドに設置された2機のミラーボールが回転。その光をたっぷりあびながら派手なスーツを着た楽器隊4人がオンステージ。風弥~Kazami、Rei(Ba)、まゆ(Gt)、なお(Gt)の順番でソロを回したあと、ライブは「WHO KILLED THE FIGHTER?」で幕開け。夕霧はDaizyを象徴するウサギの着ぐるみを被って登場!と思いきや、じつはそのウサギはフェイクで、途中から本物の夕霧が出てくるというお茶目なサプライズに、オープニングから場内は大盛り上がり。ファンが選んだベスト盤をメインに置いた公演なので、序盤から会場には終盤並みの熱気が渦巻く。
最初のMCでは、早速夕霧がオフィシャルツイッター凍結話(なおがDaizyの12歳の誕生日を祝おうと、こっそりオフィシャルツイッターにバンドの誕生日を登録するも、13歳未満のためアカウント凍結というトラブルに見舞われる。現在は正常です!)を持ち出し、場内の笑いを誘ったあと「トラブルWelcome! めいっぱい楽しんでいこう」と叫んだ後も、BEST盤収録曲を次々と披露。客席のヘドヴァンから始まる「ジュリエットのナイフ」では夕霧が十字をきり、「色彩ヴィヴィッド」でDaizyらしいカラフルなメロディが照明とともに場内に解き放たれていくと、なおは「来たな、この凍結野郎!!」といわれながらも夕霧にどんどん近づいて、ほっぺにキス。そうして“ありがとう”の歌詞に呼応して「こちらこそありがとう」とでもいうようにファンが一斉にお辞儀をした。
夕霧のボーカルを引き継ぐように、2番から風弥~Kazami~がドラムを叩きながら歌うパフォーマンスを見せた「Shooting Star」も、ギターネックに取り付けた特製マイクで夕霧が1番では“僕がそばにいるから”というフレーズでフロアと、2番では“君を愛してる”というフレーズでメンバーとアイコンタクトをかわしていった「DERE MY SIRIUS」も、いわばDaizy最強の王道ポップロック。L’Arc~en~CielのKenをサウンドプロデューサーに迎えて制作した前作『シン世カイ』で、これまでにない新ジャンルへ振り切った楽曲に次々と挑戦した彼らはいま、改めてこの王道のDaizyサウンドを演奏することを前以上に楽しんでいて、躍動感たっぷりに「これが俺たちなんだ」と自信をもって表現しているように感じられた。だからなのか、このあと夕霧が「みんなが投票してくれた41,862票でできたこのBEST盤を聴いて、俺はこのアルバムでDaizyはもっと売れる、12年間夢見た“日本武道館”もやれるんじゃないかと思った」といったときも、場内にはその言葉を疑うような空気はまったく流れなかった。
人間の人生は12年周期ともいわれている。Daizyは12周年を迎えたいま、バンドとして再びスタート地点に立っているのかもしれない。それを再確認するように、次に演奏したBEST盤投票で1位を獲得した彼らの1stシングル「ダンデライオン」は、このツアーから新しいアレンジを加えてアクト。曲中、夕霧のハイキックがきまった後は、間奏でまゆがギターソロを弾いている間じゅうReiとなおがおでこをくっつけて仲良くプレイ。観客たちはDaizyとの出会いを回想しながらこの曲を大合唱していった。BEST盤には未収録となった「ARREST」でオーディエンスが見せる心臓マッサージの振り付けを着火地点に、フロアを半分に分けて折り畳みとoiコールで観客同士がぶつかりあった「NAKAYUBI」、夕霧の「壊れてくれませんか」というコールを合図にフロアにヘドヴァンの波が広がった「キューソネコカミ」など、後半は前半とは打って変わって激しいDaizyサウンドが炸裂。フロアを揺らして、会場の温度をどんどん押し上げていく。
そうして「じつはツアーをやるまで、この曲の“ 熱量”に負けそうで歌うのが怖かったんだけど、ツアーを通してこの曲が大好きになりました。この曲に一番成長させられた。目を見開いて、夢をみようぜ!」という夕霧の宣言から突入した本編ラストの「AGAIN」。変わるものと変わらないものーー?自分たちは12年間、その間に時代が変わろうがひたすら夢だけを一直線に追いかけてきた。だからこそ、ここからもう1度みんなで夢を見よう。そう語りかける歌に答えるように、観客たちは人差し指を立ててAGAINを誓い、気迫のこもった歌声を届ける。それを見ようと椅子から立ち上がった風弥~Kazami~をはじめ、ステージにいたメンバーがフロアの合唱に聴き入ったあと、その熱量をマックスに注ぎ込んで演奏をリスタートしていった場面はこの日最大の名演となり、感動的なフィナーレを作り上げていった。
アンコールはアコースティック編成で「トレゾア」、オーディエンスが素敵なシンガロングでDaizyの誕生日を祝う「BIRTHDAY SONG」など、周年ならではの楽曲を届けて最高の祝祭空間を作り上げていったDaizy。メンバーが挨拶をする場面で、まゆは「いろいろあるなかで、このメンバー、このチーム、みんなと感情がバーッと膨れ上がる瞬間を共有できてうれしい」といい、なおは「俺にとって“This is DaizyStripper”っていうのは“笑顔”。これからもみんなの大切な“光”でありたい」とエモーショナルに語りかけ、Raiは「俺のDaizyStripperって、ウチら5人を包んでくれるこの温かい空間なんだよね」と伝えたあと「しかも、ウチはいいメンバーばかりなんだよ」と自分以外のメンバーの自慢ポイントを解説。風弥~Kazami~は「すごく辛い1年ですごくキツかった」とバンドのこれまでを感慨深げに振り返ったあと「でも、ライブ空間は笑顔に包まれてた。僕らの味方でいてくれてありがとう。これからも綺麗な音楽を作り続けます」とバンドの未来を語り、そうして最後に夕霧が冒頭に書いた言葉をファンに届けたあと「SMILE WORLD」を熱唱。場内には惜しみない拍手喝采が沸き起こり、ダブルアンコールまで飛び出した。こうして、ステージ上もフロアも最後まで笑顔に包まれたままライブはクロージング。
このライブを通じて、今年の下半期は伝説となったあの企画ライブ、メンバープロデュースによる5Daysワンマン<EGOIST COLORS 2019>開催をはじめとした様々な活動スケジュールを発表したDaizyStripper。13年目に向け、これからもまっすぐ「夢」に向かって彼らは進んでいく。
SET LIST
01. WHO KILLED THE FIGHTER?
02. MISSING
03. Reincarnation
04. ジュリエットのナイフ
05. 色彩ヴィヴィッド
06. リリカルナイト
07. 罪な罰
08. Shooting Star
09. DEAR MY SIRIUS
10. ダンデライオン
11. ARREST
12. NAKAYUBI
13. キューソネコカミ
14. aquarium
15. AGAIN
ENCORE
01. トレゾア(※Acoustic ver.)
02. BIRTHDAY SONG
03. decade
04. STAY GOLD
05. SMILE WORLD
W ENCORE
01. endorphin.
02. Bremen