──現在のAngeloは、11月14日に発売予定のアルバム『RESONANCE』を制作されている最中なのだそうですね。
KOHTA(Ba)
春くらいから曲出しをやりだして、6月中にプリプロ、7月に入ってからリズム録りを始めた感じです。
──そもそも、次のアルバムへの制作を始めるのにあり、たとえばKaryuくんの場合は曲作りの前段階から、何か意識していたことはあったのでしょうか。
Karyu(G)
そういう意味で言うと、去年出した『HETERODOX』というアルバムがちょっとこれまでとは違ったところのある作品だったんですよね。それまではずっと、勢いとかイメージを先行させながら曲を作っていたのに対して、前回はかなり理論的に作っていったところがあって、「リズムをこうするなら、ギターのアルペジオはこうするべき」みたいな感じで、まずはアタマの中で全体像を構築してからデモ作りをする、ということをやっていった作品だったんです。
今までやっていなかったアレンジ方法や、これまでにはなかったアイディアをベースに拡げていった(Karyu)
──確かに、前作『HETERODOX』は隙のない複雑で綿密なつくりとなっていました。
Karyu
そうなんですよ。作品としては、あの緻密なところが『HETERODOX』は凄く面白かったんです。ただ、そうやって作った曲たちをツアーの場に持ち込んでみると、思っていた以上にライヴもアタマで考えながら演奏していく必要があって、自分的にはちょっとノリとか勢いの部分で物足りなさを感じたのも事実だったんですね。だから、今回のアルバムに関しては当初から「作り方を変えて、また新しいかたちを見つけないとな」という思いを持ちながら、勢いを重視した曲作りを始めていました。
──そうした一連の流れについて、KOHTAくんはどのようなことを感じていました?
KOHTA
正直、詳しい経緯は後になってから言葉としてKaryuから聞いたんですけど、春に曲出しが始まった時点で「これまで以上にクオリティの高い濃密な曲を作ってきたな!」という印象は、僕も感じていました。
Karyu
今までやっていなかったアレンジ方法だとか、これまでにはなかったアイディアをベースにして拡げていったのが大きかったんでしょうね。自分でも、新しいものを作れたんじゃないかなという手応えはあります。
KOHTA
もともとKaryuの曲はリフ物が多いんですけど、今回の曲はそのリフが何時にも増してカッコ良いんですよ(笑)。
Karyu
やった、ホメられた!
KOHTA
あとは、サビのメロディも相変わらず良いですし。土台となる部分がしっかりしているので、バンドでやった時にもあんまりイジらないで済む曲を仕上げてくるのが、やっぱりKaryuの凄いところだと思います。
Karyu
そういえば、今回はシンセベースと生ベースが共存してる曲とかもありますよ。
──それはなかなか興味深いですね。
KOHTA
僕としては、シンセベースをシークエンスの一部として解釈しながら弾いてます。そういう意味では、別にそこまで特別なことをしたわけではないですね。
──ちなみに、前作ではKOHTAくんも作曲に参加されていましたけれど、今作にもまた曲がエントリーされているのでしょうか?
KOHTA
僕のも1曲入りますし、今回はギルのも1曲入ります。お互い、曲出しの段階で3〜4曲ずつ持ってきてましたね。
僕はKaryuと兄さんからは出てこないであろうものをそのつど出していく立ち位置であらねば(KOHTA)
──コンポーザーが増えることにより、アルバムの幅が拡がるのは喜ばしいですね。
KOHTA
もちろん、AngeloにおけるメインコンポーザーはKaryuであり、兄さん(キリト/Vo)なんですけど、僕は僕でそのふたりが持ってこないであろうタイプの曲を作ることで、ちょっとしたスキマを狙っていきたいと思っているんですよ。逆に、狙い過ぎてボツになったパターンもありますけど(笑)。
──なるほど。バンドとしての作品となると、各曲のバランスなども大事ですしね。
KOHTA
まぁ、「ここまでやると狙い過ぎになるのか」ということは今回そういう挑戦をしたからこそ分かったことですし、ここで得たことを踏まえつつ、僕はこれからもKaryuと兄さんからは出てこないであろうものをそのつど出していく立ち位置であらねばいけないな、と考えてます。
──参考までに、『RESONANCE』に収録されるKOHTAくんの作った曲の雰囲気を、少し予告的に教えていただきたいです。
KOHTA
アタマを振れるような激しい感じとはまた違う、聴いていると自然にメロディを口ずさみながら、気持ちよくヨコにノれるような曲になっているんじゃないかと思います。自分の中では、そういうイメージです。
──Karyuくんからみると、KOHTAくんのその曲はどのように見えていますか。
Karyu
かなりキャッチーだし、いろんな人たちにとって分かりやすい曲になっている気がします。それなのに、しっかりKOHTAさんらしい個性というかクセもあるんですよ。
KOHTA
でも、裏話をするとKaryu的には今回僕が持って行った曲の中では、一番“ない”って言ってたのもその曲だったよね(苦笑)。
──それはリアルに裏話ではないですか(笑)
KOHTA
Karyuは、別の曲の方を推してくれていたんですよ。だから、最初はそっちを僕とKaryuで一緒にアレンジを練ったりしていたんです。だけど、ほかのメンバーは皆「今回のアルバムに入れるんだったら、こっちがいい」って言っていて、結果的に僕とKaryuは推してなかった方の曲が選ばれることになりました(笑)。
Karyu
ぶっちゃけ、その時は「あれ?!おっかしーなぁ」ってなりましたね(笑)。
──Karyuくんが、最初のうちその曲に対して“ない”と思っていた理由は、具体的にどんな点にあったのでしょうか。
Karyu
なんとなく、僕がその時に思い描いていたアルバム像からはちょっとズレるのかな?と思ってたからですね。
KOHTA
おそらく、KaryuとしてはこれまでのAngeloの流れから行くと「キャッチー過ぎる」って感じたんだと思いますよ。実際、作った本人としても今度のアルバムに入ることになった方の曲は、ここまで“聴き手にも歌わせたい”みたいなスタンスで作った曲は初めてでしたね。新しい一面を切り拓けたな、という感覚は強いです。
ギルの曲は僕らの歴史の中では完全にポップ、新しい一面を切り拓けた感覚(KOHTA)
──なお、今作ではギルくんの楽曲も収録されるとのことですが、それはAngelo史上・初のことですよね?
Karyu
これまでも、毎回アルバム制作が始まるたびに曲を作ってきてくれてはいたんですけど、実際に音源化するのは初ですね。
KOHTA
それも別に、ギルの作ってきていた曲が悪かったとか全然そういうことではなくて、タイミング的にたまたま使われてこなかっただけなんですよね。その点、今回はほかのメンバーたちが作ってきた曲たちとギルの作ってきたある1曲が、マッチングの面でかなりハマったんです。そこはやっぱり、ちょっと新鮮でしたね。
──Karyuくんからすると、ギルくんの初音源化楽曲に対してはどのようなことを感じましたか?
Karyu
それが、ギルの曲に対してもさっきの話に出ていたKOHTAさんの曲と近い感覚で、ちょっとキャッチー過ぎて「ないかな」と最初は感じてたんです(笑)。
KOHTA
キャッチーを通り越して、ポップだよね?あれは。
Karyu
そうそう、多分これまでのAngeloの曲の中でも一番ポップ。
KOHTA
世間でいうところのド派手に明るいポップ!とはまた少し違うのかもしれないけど(笑)、僕らの歴史の中では完全にポップだと感じます。
僕は、キリトさんの挑戦を感じてます。メロディ重視なんだけど、世界観はあくまでマニアック(Karyu)
──その一方で、リーダー・キリト氏の曲についてはどのような感触なのでしょうか。
KOHTA
今回、彼の曲は2曲なんですけど、これがまた面白いことになっていきそうなんですよ。
Karyu
僕は、キリトさんの挑戦を感じてます。曲としてはメロディ重視なんだけど、世界観はあくまでマニアックというか。良い意味でアンバランスな感じが良いんです。