LAMP IN TERRENの初めての野外ワンマンライブが8月19日(日)、日比谷野外大音楽堂で開催される。松本 大(Vo&Gt)のポリープ手術のために4月から活動を休止していた彼ら。復活のライブとなる野音公演に向けた思い、今年配信リリースされた「花と詩人」「Dreams」「New Clothes」、バンドの現状などについてメンバー4人に語ってもらった。
──松本さんのポリープ手術のために4月から活動休止。この期間はどんな思いで過ごしていましたか?
松本大(Vo&Gt)
何もできないもどかしさはありました。もちろん歌えないし、声も出せない。俺の権化みたいなものが全部なくなった状態だったので。ライブ活動もできないし、活動が止まっているなかで、どうやって自分たちの音楽を広めていけばいいか、ずっと考えてましたね。俺たちはキャラクターで売れるタイプではないし、やっぱり音楽だと思うんですよ。だから、ずっと曲を書いてました。
大屋真太郎(Gt)
かなり不安でしたね。バンドの命とも言える大の声が危機に陥ったわけだし、最初は手術の内容や術後どうなるかがわからなかったので。いまはこうやって声を出して話をしているので「良かったな」と思うけど、やっぱりいろんな心配がありました。ライブが出来ないということは、バンドの流れが止まってしまうということだし。
中原健仁(Ba)
まず、大の健康面が気になりました。手術のことはもちろんですけど、術後のストレスもかなりあるだろうし、大丈夫かなって。ただ、仮に大の声が変わったとしても、僕は彼の表現力、歌い方が好きなので、それがあればいいと思っていたんです。大が楽しそうに歌えるようになったらいいなと。あとはもう「活動休止中に何をやればいいか」というところに頭がいってました。3人(大屋、中原、川口)でスタジオに入るのもそうだし、いろんなバンドのライブを観に行って、つながりを作ることもそうだし。バンドを大きくできる機会にしなくちゃいけないという気持ちもありましたね。
川口大喜(Dr)
不安な気持ちと「チャンスだ」という思いが同じところにあるというか。以前から自分がどこに向かっていけばいいかわからない感じがあって、プレイヤーとして自信が持てない状態だったんです。だから活動休止することになったときは「これを自分の気持ちをまとめる期間できないだろうか」と思って。大のポリープ手術による活動休止なので「あの時間があって良かった」とは言えないけど、「どうにかチャンスにしなくていはいけない」というところに考えを強引に持っていった感じです。
中原健仁(Ba)
そうだね。
川口大喜(Dr)
いまも答えは見つかってないし、スタジオに入りながら自分と向き合い続けている状態なんですよ。必死で活動休止をやってるというか。
──ライブ活動は止まっていますが、2018年に入ってから「花と詩人」「Dreams」「New Clothes」が配信シングルとしてリリースされました。この3曲を聴くとLAMP IN TERRENの音楽が次のフェーズに入っていることが強く感じられます。
中原健仁(Ba)
そうですね。サウンド的には大のなかに「こうしたい」というイメージが強くあって。それに見合うようなプレイが出来ていたらいいなという感じですね、いまは。これまでのアレンジとぜんぜん違うし、めちゃくちゃシンプルなんですよ。ベースのラインについてもかなり大に助けてもらいました。もともとは動き回るラインが好きなんだけど、「それだけじゃダメなんだ」という話をして。特に「花と詩人」「New Clothes」にはシンプルなカッコ良さが出ていると思います。
大屋真太郎(Gt)
新しいサウンドに挑戦する意思が顕著なんですよね。大を中心に「音楽的な挑戦をしたい」という気持ちが強い時期だし、彼が目指しているものを探りながら、「こういうフレーズはどう?」という提案もして。ずっと変化を続けているし、その方向性の最初の到達点が「New Clothes」なのかなと。
川口大喜(Dr)
俺は大きな変化だとは捉えてなくて、「これが自然な流れなんだろうな」と思っているんですよね。LAMP IN TERRENの楽曲は大の感性から生まれたものばかりだし、大の変化を止める気はまったくなくて。どんどん新しい方向に行ってほしいと思うし、実際、サウンドメイクやアレンジに関しても「前はこんなこと言ってなかったな」ということが増えてるんですよ。
松本大(Vo&Gt)
「花と詩人」「Dreams」「New Clothes」に関しては、自分の憧れを具現化したところが大きくて。たとえば最近だとFoster the People、Coldplayもそうですけど、影響を受けてきた海外のアーティストを自分なりに昇華させたというか。最近書いている曲は、また違う感じなんですけどね。
──さらに新しい変化が生まれている、と。
松本大(Vo&Gt)
はい。いままでのLAMP IN TERRENの楽曲は、ひと言で言うと“願い”みたいなものだと思っていて。「こういうふうに世界があったらいいな」という感じで曲を書くことが多かったんだけど、最近はもっと小規模というか、自分の生活が歌に結びついている感覚があるんですよ。よりリアルになってるというのかな。たとえば「これはどういう曲ですか?」と聞かれたら、「こういう出来事があって、こういう気持ちを歌にしました」と全部説明できるんです。実際に言うかどうかはわからないですけど(笑)、そこは大きな違いですね。僕の人生のなかで見つけたものを歌にしているというか……それがどう届くかはわからないけど、曲を作るのが楽しくなってきましたね。以前はきついことが多かったんだけど。