このままもっとすごいところまで連れてってくれることは間違いない。「いまもっともライブが観たいバンド」というふれこみを証明するかのように、2017年から続いた旅ツアー<PENGUIN RESEARCH LIVE TOUR 2017-2018 PENGUIN QUEST〜お台場に導かれし者たち〜>は全公演見事SOLD OUT。導かれし者たちが最後に到達した初のZepp DiverCity(TOKYO)では、めちゃくちゃ手の込んだ演出も含め、この旅で進化したPENGUIN RESEARCHを見せつけ、会場のキャパを楽々超えるバンドのエネルギー、ポテンシャルを見せつけた彼らが7月8日、日比谷野外大音楽堂の舞台に立つ。ペンギンのあの圧倒的ライブはどんな風に生まれてくるのか、野音公演<LIVE 2018「PENGUIN GO YAON」-ペンギンゴーヤオン->のことも含め、メンバーに話を聞いた。
──先日ファイナルを迎えたばかりのツアー<LIVE TOUR 2017-2018 PENGUIN QUEST〜お台場に導かれし者たち〜>。みなさんはどんな手応えを感じていますか?
生田鷹司(Vo)
これまでがむしゃらにライブをやってきましたけど、僕らは今後どういうライブをやりたいのか、どんなものを求められているのか。そういうことを今回のツアーを通じていろいろ試したツアーでもあって。例えば、いつも僕たちはアッパーな曲でドンと始まるライブが多かったんですけど、今回は「旅人の歌」という、アッパーな曲ではないものを僕が弾き語りでサビだけを歌って、そこから別の曲が始まるというオープニングを作って。本編が終わり、アンコールラストでまた「旅人の歌」に戻るという演出をやったんですね。ステージに立って僕が弾き語りっぽいことをやるのはこのバンドでは初めてだったんで、すごい緊張して。
神田ジョン(Gt)
最初はガッチガチだったよね?「ウソ!?」っていうぐらい(微笑)。
生田鷹司(Vo)
僕自身が新しいことにすぐに対応できる器用な人間じゃないので、体に入るまでは大変でした。あと、楽曲面でいうと、今回の公演で「アジテーション・パレード」というまだ音源化されてない曲をやったんですけど。これは、いままでやっていなかったタオルを回したり、曲中にコール&レスポンスを試してみた曲で。これもさっきジョンさんがいったように…。
神田ジョン(Gt)
最初はガチガチで(笑)。
生田鷹司(Vo)
こっちがそうやって新しいトライをするなか、お客さんにはいつもと同じように自由に楽しんでもらって。そのなかで、最後まで誰一人嫌な思いをせずに笑顔で帰ってもらうにはどうしたらいいんだろうというのは今回はツアー中、結構メンバーと話しましたね。
神田ジョン(Gt)
全公演SOLD OUTだったんで会場がパンパンだったんですよね。そうなったとき、バンドがどう対応するかはアーティスト次第で。
──そこは、バンドによってライブ空間のカラーがでるところですね?
新保恵大(Dr)
ペンギンのお客さんはアニメや鷹司の声優の活動から入ってくる人もいれば、(堀江)昌太くんが好きで来てくれる人、神田さんとか、俺とか、よーよー(柴崎洋輔)がサポートでやってる現場から入ってくる人、いろんなところからお客さんが集まってるんで、暴れたい人もいればバンドのライブに行くのは初めてっていう人もいるんで。
──この客層の広さは、ペンギンのライブの特徴ですからね。
新保恵大(Dr)
そういう人たちみんなに楽しんでもらうにはどうしたらいいかというのは、毎回僕らもテーマとして向き合ってきたツアーでした。昔から鷹司は自由に楽しんでといってきたから、そことのせめぎ合いがいろいろありました。
神田ジョン(Gt)
だから、自由にといってるけど、そのあとにカッコがあって。( )のなかに何かが入ってるんだよ。
──ああー。思いやりをもってとか、人に迷惑をかけないようにとか。
神田ジョン(Gt)
そうそう。
生田鷹司(Vo)
僕自身、なにかに縛られるのは嫌なタイプだからファンに楽しみ方の強制はしたくないんですね。なので、自由に楽しめというんだけど。いまは「みんな思いやりはもって楽しもうね」という気持ちも込めて、それをいってます。
──さっきジョンさんがおっしゃったように今回のツアーは、「いまもっともライブが観たいバンド」といわれてることを証明するように、全公演SOLD OUTしました。そのことについては?
堀江晶太(Ba)
気づけばって感じですからね。
神田ジョン(Gt)
すぐにSOLDしたところもあったけど、どの公演も公演日の1週間前ぐらいにSOLDだったんですよ。
堀江晶太(Ba)
でもこれは観たい人が「観たい」と思ったタイミングでチケットを買って遊びに来れるってことだから。個人的には一番いい感じのチケットの売れ方だったなと思ってます。
──ではそうしてお台場に導かれし者たちが迎えたファイナルステージ。初のZepp DiverCity(TOKYO)公演はいかがでしたか?
神田ジョン(Gt)
最高でした(笑顔)。
柴﨑洋輔(Key)
過去最高!
──演出も過去最高レベルの内容で。
神田ジョン(Gt)
セットからして「ここはどこだ?」っていうレベルでしたから。
堀江晶太(Ba)
俺ら自身、ここまで実現するとは思わなかったぐらいまでスタッフさんが準備してくれて。
神田ジョン(Gt)
今後俺らが大きくなったとき、こういうこともああいうこともできる可能性があるバンドなんだというのは、あのライブでしっかりみんなに提示できたかなと思ってます。
──なかでも印象的だった演出は?
神田ジョン(Gt)
「冀望」の演出はツアーの途中に思いついたんですよ。
──真っ暗にして演奏するというアイデアを。
堀江晶太(Ba)
何回か公演でやるうちに、中途半端に暗くするぐらいなら全部消したほうがいいっていう意見が出て。
柴﨑洋輔(Key)
「冀望」にはキーボードソロがあるんですけど。ツアーでも暗い中でソロを弾いてたんですけど、Zeppはあまりにも真っ暗すぎて(笑)。あんな真っ暗な中でソロを弾くことはなかなかないだろうなと思いながら弾いてました。真っ暗だからこそ、リハとは全然違うフレーズが思い浮かんだりして。個人的にいいソロが弾けたなと思ってます。
──真っ暗な中で歌うというのも特別な感覚がわきあがるものなんですか?
生田鷹司(Vo)
そうですね。「冀望」だからよけいに。
ペンギンは“それでもやってやるぜ”という反骨精神を歌うものが多いんですけど、「冀望」に関しては堕ちるところまで堕ちちゃいたい、みたいなところがあって。そこがすごい昔の自分に重なって感情がわきあがりますね。
ペンギンは“それでもやってやるぜ”という反骨精神を歌うものが多いんですけど、「冀望」に関しては堕ちるところまで堕ちちゃいたい、みたいなところがあって。そこがすごい昔の自分に重なって感情がわきあがりますね。
堀江晶太(Ba)
このライブの3日前ぐらいに、全員でご飯にいって。Zeppのこととか今後のことを話したんですけど。そのときに、鷹司に「一番歌いやすい曲は?」って聞いたら「冀望」っていってて。こっちなんだねと、そこで発見しましたね。
生田鷹司(Vo)
僕自身が憧れてた人物像は明るくてわーって感情を出してる人だけど、元々の自分は人としゃべるのは苦手だし、感情を表に出すのもすごい苦手でマイナス思考なんですね。その自分にすごく「冀望」が重なっちゃってて。歌ってるときは、元からある自分をすべてをさらけ出してる感じなんですよ。「敗者復活戦自由形」を歌ってるときの「俺、もうこれで喉が終わってもいいや」の“いいや感”と、「冀望」を歌ってるときの「俺、もう終わってもいいや」の“いいや感”は僕のなかで違うんですよ。表現の仕方が。だから、これを歌って自分の表現の幅がさらに向こう側までいけた気がします。
──でもZeppクラスで、しかもロックバンドが場内を真っ暗にして歌う人はなかなかいないですよ。
生田鷹司(Vo)
だから、終演後に関係者の挨拶してるときも。
神田ジョン(Gt)
半分ぐらいの人には「あの暗闇は事故?」といわれました(笑)。
柴﨑洋輔(Key)
最後まで事故だと勘違いしてた人がけっこういたよね。
神田ジョン(Gt)
真っ暗にすることで、より音と歌詞、歌の世界に集中して入ってくださいという意図でやったんですけど。かと思えば「boyhood」のように演出いっさいなしで、人対人でやる曲もあったり。ペンギンは多岐に渡ってる。それができるバンドってところが魅力だと思うんで。ファイナルはそこを全部見せられたなと思います。
堀江晶太(Ba)
あと、僕らがPENGUIN RESEARCHというバンド名にしようと決めてから、最初のステージがじつはZepp DiverCity(TOKYO)だったんです。それは普通のライブではなくて、レコード会社が関係者向けに行なった新人発表会みたいなイベントで。ボーカルは地元から出てきたばかりだし、僕らも結成したばかりだから何もわかってなくて。そこで1曲の1コーラスぐらい?
新保恵大(Dr)
「スポットライト」をやって。
堀江晶太(Ba)
すぐ終わっちゃったんですけど、悔しい感じだったんですよ。終わってから冗談半分で、いつか自分のワンマンでここに戻ってこれたらいいねという話をそのときメンバーとしていて。それをZeppやってる最中に思い出したんですよ。2年越しに叶ってよかったなというのもありました。