インタビュー/武市尚子
──8月から9月にかけて全国10ヶ所13公演で行われた『TOUR OF GEHENNA 17-18』は、配信限定シングルとしてリリースされた「Live to Die」を引っさげてのツアーでもあったの?
タイミング的にはそういう時期のツアーでしたけど、特に「Live to Die」を引っさげてという意識ではなかったですね。オリジナルアルバムを作って、ツアーしたかったんですけど、ちょっと間に合わなかったというか。
──製作中ではあるの?
そうですね、来年のツアーまでには出したいなと思ってますね。
──オリジナルアルバムとしては、2014年12月にリリースされた『THE OMNIGOD』から出ていないから、ファンとしては待ち遠しいところではあるだろうね。
意気込み的には(笑)。でも、来年のツアーまでには作りたいですね。
──昔は、毎年1枚ずつアルバムをリリースするのが当然くらいの間隔ではあったけど、それだど本当に1本のツアーでしかそのアルバムの音をじっくり聴けなかったりするから、少し長いスパンでのリリースにして、じっくりと世界観を伝えていく間隔を持てるのが理想的だったりするよね。
そうですね。本当にそれはあると思います。実際、今、足元を固めている感じではあるんですよね。そんなにアルバムを作る上でネタ切れしてるというわけでもないし、デモ音源もメンバーからはいろいろと出て来てはいるので。
うん。それはあるね。今年の3月に新木場スタジオコーストでライヴをやったんですけど、そのライヴの前にベストアルバム(3月8日にリリースされた『THE BEST ‘09~’17』)をリリースしたんですよ。なので、『TOUR OF GEHENNA 17-18』は、ベストを持っての全国ツアーという感じだったんです。
──NOCTURNAL BLOODLUSTは結成から8年よね?周年でもないのに、何故このタイミングでベストアルバムを出そうと思ったの?
ウチって、あまり周年とか意識してなかったりするんですよ。5周年とかも、特別周年ライヴをしたりしなかったですし。でも、音源も増えてきたし、ちょっとこのあたりでまとめてみるのもいいんじゃない?っていう感じでしたね。
タイミング的にも、ハード・コアとかメタル系、ラウド系のイベントライヴにもちょこちょこ呼んでもらって出るようになったことで、最近NOCTURNAL BLOODLUSTを好きになってくれてライヴに来てくれているなっていう実感があったので、ここでベストを出して、新しいお客さんにも、改めて“NOCTURNAL BLOODLUSTとはこういうバンドだよ”というのを提示したいという意図もあったんです。
──なるほど。それはすごくいい時期でのベストでもあったね。洋楽の入りとかって、ベストアルバムから入ることが多かったりするもんね。
そうですね。それありますよね。いいなと思ったバンドの全部のアルバムとか音源を聴くのは大変だし、まずベストから聴いてみようかなっていう。
そうだね。そういう意味でも、このタイミングなんじゃないかなって感じだったんです。ベストアルバムを意識したツアーをして、改めて自分たちの音と向き合ってみて、ここから新たな自分たちを発信していけたらなと思っている段階ですね、今は。
ベストアルバムは、自分たちを見直す機会にもなったと思いますね。今までは音源を出しまくって、ツアーしまくって、っていう感じで、もっと上へ、もっと先へ、っていう気持ちで突っ走ってきたので、ちょっと足元をしっかりと固めたいなという時期にきてるというか。もちろん、今も、もっと上へ、もっと先へ、っていうハングリー精神はあるんですけど、ずっと目標でもあった新木場スタジオコーストでライヴが出来たということを節目に、更なる高みを目指すという意味でも、落ち着いて周りを見て、お客さんがNOCTURNAL BLOODLUSTというバンドをどういうふうに見ているのか、メンバーがNOCTURNAL BLOODLUSTをどういうふうに見ているのか、というところを、じっくりと見直す時間があってもいいのかなと思っているんです。
──ベストと、それを引っさげたツアーを経て生まれた「Live to Die」や、今現在新たにメンバーから生まれてきている音源というのは、どういう方向性になってきていると感じる?
好きなものを好きなようにそれぞれが吐き出していってる感じもありますけど、いままでのNOCTURNAL BLOODLUSTに足りなかったものを補う感じなのかなって思いますね。
──NOCTURNAL BLOODLUSTに足りなかったものって?
ライヴでもうちょっとこういう景色を作りたいな、とか、流れ的に、こういう曲がほしいなっていうとこですかね。新しいノリが欲しいなと思うところを、音源にしていってるみたいな。お客さんが待っててくれる楽曲に加えて、“こう来ると思ったのに、来ないんかいっ!”っていう、いい意味でそこを裏切っていくようなものも作っていかないといけないと思っているので。最近はちょっとそういう意地悪な曲も作っていきたいなと思ってるんです。
──やっぱり昔は、“待ってました!”みたいなところにストレートに投げてあげたかった?
そうですね。最初はそこを狙いたいという思いがありましたね。でも、最近はちょっと違うとこも狙いたいなって思うようになって。
──NOCTURNAL BLOODLUSTの音って、すごくいい意味でクラッシックなメタル要素も持っているから、音としての厚みを感じるし、音が熟してるんだよね。そこに現代を生きるメンバーの新しいエッセンスが入ってきているから、それがNOCTURNAL BLOODLUSTの唯一無二な音になってきているというか。新たに取り入れていきたいと思っている音はあったりする?
ありますね。今現在、シンセで表現しているところを、生の楽器を使ってバンドサウンドと融合させてみたいなとか。
鍵盤を入れてやったことはいままで1回もないんですよ。やっぱり機械の音と生の音では違いますからね。ライヴとかとくに、間だったり、空気感だったりは特に伝わるところでもあると思うので。
そこが変化したら、ライヴの魅せ方もおのずと変わってくると思いますからね。次のツアーのファイナルとか、大きめなハコのときには、そういうのが試せたらいいなって思ってますね。なかなかいままでは、そこまで手がまわらなかったりしてましたからね。
自分たち的にはそこまでメタルを意識しているわけではないんですけど、なかなかスタイルが合う鍵盤の人も見当たらなかったりするし。難しいところではありますけどね。いつかは実現したいなと思ってます。
──自分たち的には、メタルをやってるという意識はないの?
あまりないですね(笑)。たしかに、音的にはメタルではあると思うんですけどね。
意識なくメタルを聴いて育ってきたのもあるから、わざわざ意識してる感じでもないんですけど、自然とそういうのが出てるって感じかもですね。俺、普段メタル聴かないしなぁ~。
たしかに(笑)。好きは好きなんだけど、僕も今日、ここに来るときHIP HOP聴いて来ましたからね(笑)。
俺は、普段EXILE聴いてます(笑)。歌モノがすごく好きなんですよ。
メタル愛はあるんですよ。もともと好きなので。ジャンルではなく、“音楽”が好きなんだと思うんですよね。だから、ジャンルというところではなく、もっと広い意味で聴いてる気がするんです。
俺もそうですね。純粋に、聴いてて、いいなと思うものが好きだったりするんで。やっぱり歌メロは、メロウなものが好きだったりしますからね。
──そういうメンバーの音楽性がNOCTURNAL BLOODLUSTの音楽を形成しているのかもね。「Live to Die」は、イントロではアラビア音階が使われていたりするけど、本編に入っていってからは、そういう雰囲気をいっさい感じさせないヘヴィさを放っていくし。
そうですね、ちょっと中東的なニュアンスですからね、入りは。そこは、今の俺のブームでもありますね(笑)。そんな感じで、作る人の好みとかが入っているのも大きな特徴だと思いますね。