kobore、メンバー全員インタビュー!結成10周年を迎える2025年、フレッシュな新譜『FLARE』を携えて大規模な全国ツアーを開催

インタビュー | 2025.01.20 18:00

「結成10年目にして1年目みたいなアルバムが作れた」――。前作から1年8か月の時間をかけ、初期衝動に立ち返った原点回帰と新たな音楽的挑戦の二兎を得た、koboreの最新アルバム『FLARE』。格段に包容力と表現力を増した佐藤赳のボーカルを中心に、4人の個性が伸び伸びと翼を広げる演奏、3人のソングライターが持ち寄る多彩な16曲(CD盤)は、間違いなくバンド史上最高傑作と呼ぶにふさわしい。1月末からは、ツーマンとワンマンを組み合わせた大規模な全国ツアー「FLARE TOUR 2025」も始まる。結成10年を迎える2025年、koboreはかつてない高みへと飛躍する。
──最新アルバム『FLARE』。どんな作品になったと思いますか。
安藤太一(Gt)全員の気持ちが一致していて、原点回帰ということと、今までの僕らの良さをブラッシュアップして、その中で新しいこともやってるし、再スタートじゃないですけど、あらためて「koboreってこういうバンドだよ」って知ってもらえる1枚になったかなと思ってます。
伊藤克起(Dr)出すものを出しきったなって感じ。アレンジもそうだし、プレイとか音色とかも。今回からプロのテック(音を作る専門家)さんも入れて、色々やったのもあるし、みんなが持ってきたフレーズに対して、自分のベストを出せたかなって思ってます。これがダメならもうわかんない、ぐらいのものを出したんで、たくさんの人に届いてほしいなと思います。
田中そら(Ba)個人的には、時代と、流行と、自分が音楽に対するエゴとの、ちょうど真ん中ぐらいで作れたかなって思ってます。今までは結構極端で、気持ち的に尖ってる時は「世間には合わせない」とか、逆に「みんなが好きなものに寄せてみよう」とか、そういう気持ちがあったんですけど、その一番ちょうどいい真ん中を、穏やかな気持ちで作れました。いろいろ迷った挙句、5枚目にしてkoboreを代表するアルバムができたんじゃないかなって思ってます。
佐藤赳(Vo)制作は、めちゃくちゃ疲れました。でもやっぱり、これぐらい時間をかけないとなって思ったし、結成10年目にして1年目みたいなアルバムが作れたかなと思います。それは初心者みたいなアルバムという意味ではなくて、1年目の時に作りたかったアルバムをようやく10年目にして作れた印象がすごくあるし、10年やってきた自分たちの意思疎通が、この16曲であらためて通じ合えたというか、「俺らがいいと思うからいいアルバムだ」というものがようやくできたのかなと思います。
──間違いないです。
佐藤ベース(田中)とギター(安藤)の作った曲が入ってるんですけど、そういうのがあると楽曲に振れ幅ができるというか、「16曲も」じゃなくて「16曲あって良かったね」っていうまとまり方をしたんで、それもやっぱり10年やってきたから、ここに来てようやく1本の道になったかな?と思いましたね。おのおのが持ってる個性を詰め込んだり、足し算引き算したりして、それが散り散りになるんじゃなくて、みんなの曲が入ることでまとまったのかな?と思ってます。

佐藤赳(Vo)

──太一くん作詞作曲の「メリーゴーランド」。いい曲です。
安藤ありがとうございます。半年以上ずっとレコーディングしている中で、だんだん全容が出来ていった時に「こういう曲があったらいいな」って思ったのと、大幅なチャレンジじゃなく、手に届く範囲のチャレンジで今までやってないドラムのビート感をやりたくて。それと、最近は何も考えずに聴ける曲が少なくなってきちゃったなと思っていて。
──それは世の中的に?
安藤世の中もそうだし、うちのバンドの良さって、赳とそらが作る曲の雰囲気も違うし、歌詞の意味も全く違うところにあると思うんですけど、今回は曲数が多いから、1曲ぐらい何も考えずに聴いてもらえる曲があったらいいなと思ったので。頑張れ!とか、詩的なメッセージとか、いろんな曲がある中に、こういう愛だの恋だのじゃない可愛い曲ってないなと思って、入れたら面白いかな?と思ったんですよね。
佐藤16曲のど真ん中(8曲目)にあることに意味があるよね。そこに安藤の、何も考えなくていい曲が入ることが。

安藤太一(Gt)

──こうなったら、克起くんの曲も聴きたくなりますね。
伊藤まぁそう言われるよなっていうのはちょっとあって。一応打ち込みソフトもあるし、今回も陰でこそこそやってたんですけど、何も出て来ない(笑)。でも自分の好みの音楽性を、別にkoboreで出さなくてもいいかなって思うんですよ。今の、ドラマーの目線で「こういうことをやってみたいんだよね」って言ってるぐらいのバランスがちょうどいいっていうか、もちろん、いいのができたら提案してみたいなとは思うんですけど。でも歌詞だけは絶対書けないです。本当にみんなすごいなって思うんですよ。三者三様で。
──そらくんの自作曲は5曲。さっき言ったみたいに、時代や流行を意識した曲と、音楽的エゴを出した曲と、バランスを考えながら?
田中そうですね。エゴが2曲ぐらいかな。
伊藤どれ?
田中「愛が足りない」と「BABY」。「パノラマガール」は、TikTokとかやってる女の子に受けたらいいなという、やましい曲(笑)。でも僕は別に、世間に対するヘイトとかは全くなくて、全てのコンテンツに愛を感じるっていうか。馬鹿にしてるわけじゃなくて、そういう人たちにも聴いてほしいんで、そこは受け入れてみようかなって。こういうことはあんまり言わないほうがいいんでしょうけど。
伊藤言ってこうよ。
田中あと「突然閃光少年少女」「リボーン」は完全にライブチューン。ライブと、バンドのことを意識して書きました。

田中そら(Ba)

──「愛が足りない」もある意味ライブチューンじゃないですか。サビの大合唱で盛り上がりそう。
田中これはやるのが怖いです。
安藤こういう曲、あんまりやったことないんで。お客さんがついてくるか?って、まだ想像できないから。
伊藤こっち側は完全に楽しい。
田中安藤くんのギターソロも、ライブでたぶん10分以上やります。それを楽しめるほどの音楽的ボキャブラリーがお客さんの中にあるのか、全くこっちはわかんないんで。何かの記事で読みましたけど、今はギターソロの需要がないとか、イントロは短めで、サビは30秒以内で、アウトロはなくてもいいとか。そんな悲しいこと言わないでよっていう感じでもあるし、そういうふうに世間を気にした結果の真逆を取ってるんで、この曲は本当にできて嬉しかったです。だいぶ楽しみです。このツアーでしかやらないかもしれないけど。長いし。
安藤フェスでやりたいけどね。
田中そしたら、これと合わせて4曲ぐらいしかできない(笑)。ソロが15分あるから。
伊藤さっきより増えてない?
田中10分がギターソロで、5分がドラムソロ。
──「BABY」は、先日の名古屋ライブで初披露したそうで。ライブでめっちゃ気持ちいい曲だって、SNSにポストしてましたよね。克起くん。
伊藤何て言うのか、むき出しだったんですよ。もう全部出すものを出そうと思って、細かいこと考えないで、野獣みたいになっちゃったんですけど、めちゃくちゃ楽しかった。もうちょいみんなの中で、「こういう演奏しよう」っていうイメージが固まると、もっと良くなると思います。音源以上の魅力をライブで出したいから、そのためにどうするか?っていう話をしたいです。

伊藤克起(Dr)

──「BABY」は、赳くんの歌が最高。優しくて強くて、切ないような嬉しいような、細やかな感情が伝わって。いい歌歌うなぁって思います。
佐藤(音源で)いいものができすぎてしまって、ライブで表現できないから悔しいんですよ。でも頑張ります。
伊藤これからでしょ。
──こういう、ミドルテンポのメロディアスな曲は、ライブですごく生きると思います。
田中意外とライブ曲なんで。
伊藤元来こういう部分を、うちらはやってたわけだから。俺は元々みんなの後輩で、後入りだからこそ思うんですけど、お客さんとしてライブを見ていた時の印象が、「BABY」とかそっちのイメージだったんで。何て言うのか、そんなハッピーハッピーじゃないっていうか、包容力のあるライブだったんで。ギンギンに尖ってるわけでもないし、みんなでほっこりしようよみたいなイメージだったから、こういう曲を今、自分がやれてて嬉しいなって思いますね。こういうことがしたかったんで。
──そういうことも含めて原点回帰。なるほど。その時代を知らないけど、それは大事な指摘かもしれない。アルバム推し曲の「ドーナツ」も近い系統というか、ミドルテンポの包容力あるポップチューン。これはもうライブでやってますね。
安藤ガンガンやってます。
伊藤だいぶまとまってきたね。板についてきたというか。
佐藤今回のアルバムは、勢いがある曲っていうよりかは、むしろ聴かせる曲のほうが大事だと思ってるんで。歌い方とかは、何回もライブでやっていかないと気づけない部分もあるし、アレンジを変えていったりもしていて、そういう要素が大事だからこそ、緊張感を持ってやれてるなっていうのはありますね。慣れてしまうとあんまり響かなくなっちゃうんだろうなと思うんで、ヒリヒリした感じが伝わるように、お客さんを引き込むというか、その世界観にどうやって持っていけるか?というところは非常に大事にしてます。でも「ドーナツ」は、歌っててすごく気持ちいいです。息継ぎする時間がないんで、疲れますけど。

kobore - ドーナツ (Official Video)

──確かにこのアルバムは、しっかりとじっくりと、聴かせる曲が多いんですよね。アタマ4曲が、アップテンポの曲でガーッと行くから、そういうアルバムかと思いきや、意外に懐が深いというか。
佐藤ガーッと行く時は行っていいんですよ。思いのままにやったらいいんですけど、思いのままにやるだけのライブだと本当につまんなくなっちゃうんで。聴かせるような曲はそのために存在していて、それをライブで見せていかないと意味がないんで。アルバムの中の曲も、「これ、ライブで聴くとヤベェんだよ」とか、ライブを重ねるごとにもっと増えていったらいいなって思います。だから「ドーナツ」とか「BABY」とかは、自分の中でもっと楽しみたいなっていう気持ちでやれてますね。ライブでは。
──逆に言うと、「熱狂」とか「エール!」とか、ストレートで激しい応援歌みたいな曲は、お茶の子で。
佐藤さいさい、ですよ。「エール!」とか、もう普通にやれるからって感じでやったらいいし、それがあるから聴かせる曲が際立つというか、ライブの中でいい関係が出来上がるだろうし。お客さんがついてこれないとか、そんなのは僕はもうどうでもよくて、みんなの思う楽しみ方をしたらいいと思うし、さっきも言ってたけど、「俺らが楽しいのは確定」だけでいいと思うんですよ。そのほうがいい演奏ができると思うし、そういうライブを作っていけたらいいなっていう感じですね。ガッ!と行って、グッ!とこらえて、 そういうセットリストにできたらいいと思うし、お客さんにもいろんな感情を抱いてほしいなって思います。今回のツアーでは。それには、もっと練習しないと。
伊藤練習しないとね。
佐藤本当に難しいんだ、再現するのが(笑)。いい歌が録れたぶん、プレッシャーが凄いから。しかも隣に、歌詞を非常に大事にしている方がいるので。感情の込め方も、余裕があるぐらいにはなりたいなと思ってるんで、練習しないとですね。

──隣の、歌詞を非常に大事にしている方は、赳くんの歌に何を求めてますか。
田中いやもう、僕はとんでもなく歌が下手なんで、言える立場じゃないのをちゃんと心に留めながら、「こう歌ってほしい」とは言ってます。
佐藤今回のレコーディングで、「こう歌ってほしい」が見事にはまっちゃったんで。たとえば「BABY」の歌い出しの“僕たちは”の“ぼ”とか、1個1個の音がお気に入りなんですよ。「これは決まった」というポイントが1曲1曲にあって、「ここのしゃがれた声が好き」とか、そういう細かい部分をどうやってライブに変換していくか。正直ムズイですけど、俺らがムズイって言ったら誰がやるんだ?って話で、やるしかないんですけど。そういうところも込みで、曲が一緒に成長していく姿を見せれたらなと思います。
──ですね。
佐藤しかも16曲あるんで。対バンだと持ち時間が足りなさすぎて、聴けない曲も出てくると思うんで、セットリストの組み方も慎重に、かつ大胆に。今回のアルバムは、ライブを想像した時にいろんなビジョンが見えて面白いですよ。空気感はそんなに変わんないかもしれないけど、セットリストは場所によって変えていこうかなと思ってるし、本当に楽しみですね。

公演情報

DISK GARAGE公演

「FLARE TOUR 2025」

2025年1月25日(土)千葉 LOOK
GUEST : カネヨリマサル
2025年2月1日(土)F.A.D YOKOHAMA
GUEST : キュウソネコカミ
2025年2月6日(木)静岡 UMBER
GUEST : オレンジスパイニクラブ
2025年2月8日(土)神戸 太陽と虎
GUEST : オレンジスパイニクラブ
2025年2月9日(日)岡山CRAZYMAMA 2nd ROOM
GUEST : reGretGirl
2025年2月11日(火祝)山口 LIVE rise SHUNAN
GUEST : reGretGirl
2025年2月12日(水)鹿児島 SR HALL
GUEST : Brown Basket
2025年2月15日(土)松本 ALECX
GUEST : SHE’ll SLEEP
2025年2月16日(日)新潟 CLUB RIVERST
GUEST : プッシュプルポット
2025年2月22日(土)高知 X-pt
GUEST : KALMA
2025年2月24日(月祝)京都 MUSE
GUEST : SHE’S
2025年3月1日(土)水戸 LIGHT HOUSE
GUEST : Sunny Girl

<ワンマン>
2025年3月7日(金)仙台 MACANA
2025年3月9日(日)札幌 cube garden
2025年3月15日(土)金沢 vanvanaV4
2025年3月20日(木祝)高松 DIME
2025年3月22日(土)福岡 BEAT STATION
2025年3月23日(日)広島 ALMIGHTY
2025年3月29日(土)梅田 CLUB QUATTRO
2025年3月30日(日)名古屋 CLUB QUATTRO
2025年4月5日(土)渋谷 Spotify O-EAST

RELEASE

『FLARE』

5th ALBUM

『FLARE』

(Nippon Columbia)
2024年11月27日(水)SALE
  • 宮本英夫

    取材・文

    宮本英夫

    • ツイッター
  • 近藤宏一

    撮影

    近藤宏一

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