昨年9月より結成30周年イヤーに突入したcali≠gari。以降はプロレス団体とのコラボ・イベントをはじめとする毎月30日の定例ライヴ、そして真冬に開催された日比谷野外大音楽堂公演など、趣向を凝らした企画で走り続けてきた三人が、ニュウアルバム『17』を完成させた。リリースの直前からはツアーもスタート。ツアーファイナルのLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)公演まで、まだまだ止まることを知らない彼らが、アルバムの全曲とツアーについて語る。
06.暗い空、雨音
──続いての「暗い空、雨音」は作詞が石井さん、作曲が研次郎さんとエンジニアの白石元久さん、編曲が白石さんと青さんというクレジットですが……。
桜井青(Gt)これはみんなで作りました。
大元は研次郎君の曲を白石さんがアレンジする予定だったんですけど、白石さんが仕事量過多でテンパっちゃったので、それならいま、余裕があるから僕がいじってみますよって。で、これまで研次郎君が作ってきた「鐘鳴器」とか「夜陰に乗じて」とかとかぶらないような、爽やかな曲に持っていけないかなと思って、メロも構成も大胆に切って貼ってとかやってみたんです。それを白石さんに送ったら、「どうしようか迷ってたけど、これなら何か見えるかも。ここからブラッシュアップしてみるね」ってことで、最終的にこんな感じに。最初の研次郎君のデモから僕のところで爽やかな……爽やかって言うのかわからないけれど、曇り空な感じのデモになって、それが白石さんに渡って気が付いたら少しトランシーな感じになっていて、ほお~みたいな(笑)。そこに石井さんが歌詞を乗せて、っていう流れですね。
大元は研次郎君の曲を白石さんがアレンジする予定だったんですけど、白石さんが仕事量過多でテンパっちゃったので、それならいま、余裕があるから僕がいじってみますよって。で、これまで研次郎君が作ってきた「鐘鳴器」とか「夜陰に乗じて」とかとかぶらないような、爽やかな曲に持っていけないかなと思って、メロも構成も大胆に切って貼ってとかやってみたんです。それを白石さんに送ったら、「どうしようか迷ってたけど、これなら何か見えるかも。ここからブラッシュアップしてみるね」ってことで、最終的にこんな感じに。最初の研次郎君のデモから僕のところで爽やかな……爽やかって言うのかわからないけれど、曇り空な感じのデモになって、それが白石さんに渡って気が付いたら少しトランシーな感じになっていて、ほお~みたいな(笑)。そこに石井さんが歌詞を乗せて、っていう流れですね。
──元の研次郎さんのデモはどういったものだったんですか?
村井研次郎(Ba)前のアルバムのときに途中まで作ってたものが保留になってたんですよね。上領さんにドラムを叩いてもらっていて。第一段階の仮タイトルは〈村井バレエ〉でした。SOFT BALLETみたいな感じ、と思って作ってたんですけど、秀仁君にいろいろアドバイスをもらってるうちに前のアルバムには入らないことになったから、今回引っ張り出してきて。〈だったら白石さんに投げちゃえば?〉ってことで渡したんですけど、悩ませちゃって反省してます。結局、青さんが切り貼りしたデモのおかげで白石さんが〈閃いた!〉ってなって、シンセを入れたあたりからコードが変わりはじめて。曲の雰囲気もだいぶ変わりましたね。
桜井最初は全体的にメジャー展開のキーだったのが、気づいたらマイナー展開になってたっていう。
村井もともとはピーカンではないにしろ晴れてる感じだったんですけど、白石さんのところでちょっと曇りになったのかな。
──歌詞はその曇った曲調からですか?
石井秀仁(Vo)そうですね。普通にいい曲だと思ったんで、曲調と歌詞が合致してたほうがいいだろうと。絶対誰も使わないだろうなって単語をわざと突っ込んだりはしてるけど。
──「ケルビンホルムホルツ」あたりですか?
石井まあ、そうですね。それもさっきの「バケラッタ」と同じで、研次郎君が昔よく「バンドを辞めたら気象予報士になるんだ」ってことを言ってたから。
──初めて聞きました(笑)。
村井だいぶ前ですよ。
石井そういうのがどっかに残ってるんですよ、自分の中で。研次郎君からもらった曲でこういう曲調だし、どうしようかな?って考えてたらだんだんそういうことを思い出してきて。
村井天気の話っていうか、サイエンスの香りのする歌詞ですよね。
石井そうそうそう(笑)。
──ただ、「ケルビンヘルムホルツ」は普段の暮らしのなかでは出会わないワードだと思うんですけど。
石井まあ、出会わないですよね。歌詞を書いていると、途中で何かを調べたりするじゃないですか。そうすると調べてることに近しい単語が出てきて、「何これ?」って。だから「ケルビンヘルムホルツ」ももともと知っていたわけじゃなくて、気象的なこと──「こういう空模様のことをなんて表現したらいいのかな」とか、そういうことを調べてたときに出てきたんだけど、もしかしたらこれまでの日本語の歌詞のなかにこの単語が出てきたことはないんじゃないかと思って、どうにか使いたいなと(笑)。そんなふうに、自分が意図してなかった言葉に引っ張られて歌詞が変わってくのもの、書いていておもしろいんですよね。
07. ナイナイ!セブンティーン!
──そして次は前編でも話題に上がった「ナイナイ!セブンティーン!」です。
桜井これは曲が「ナイナイ!セブンティーン!」なんです(笑)。制作時間はそれこそ10分とか。突貫で作りました。
──この曲を聴いて「ミッドナイト!ミッドナイト!ミッドナイト!」を思い出したんですが、あの曲の制作も突貫だったような。
桜井そういうノリなんですよ。世界観的にも近しいものがあって、どちらも「特攻の拓」です。
──チェッカーズ+シブがき隊みたいな。ツイストを踊りたくなるみたいな。
桜井そうです、そうです。パーッと作った割にはかなり気に入ってるんですよ(笑)。
──覚えてらっしゃるかわからないですけど、青さんが当時のインタビューで「ミッドナイト!」のことを「昭和88年の曲」って表現してたんですよ。じゃあ、今回は「昭和99年の曲」だなあと。
桜井カッコいいじゃないですか!10年ぶれてない!
──カッコいいですよね。だけど、実際は曲が「ナイナイ!セブンティーン!」だったっていう(笑)。
桜井リリースまであと2か月ぐらいの時点で3曲しかなくて、何曲のアルバムを出すのかもわからない状態だったんですよ。石井さん、ここからあと3曲とか出せるの?みたいな。歌詞はともかくとして、自分は全曲出し終わっていたから、じゃあ何でもいいからとにかく保険で1曲作っとこうってことで、出来たのがこの曲。『17』の曲がないから「ナイナイ!セブンティーン!」って、ただの駄洒落ですよ。「マグロ」とか「トイレでGO!」とか、そういう路線です。
──で、そこから「ミッドナイト!」に繋げていったと。
桜井そうそう。タイトルありきで歌詞をバーッて作っていったら、「これは“ミッドナイト!”といっしょにやったらおもしろそうだな」と思って、じゃあ世界観はそっちにしようと。でまあ、「ナイナイ」って言ったらやっぱり「NAI・NAI 16」だろって。となると、これはもう森雪之丞さんですよ。靴箱にラブレターとかじゃなくて、「授業中に 手を挙げて 俺を好きだって もし言えたら 抱いてやるぜ」とか、ぶっちぎりでヤバい歌詞ですから、あれ(笑)。そんな曲にオマージュするからにはぶっちりぎりの歌詞を書くしかないってことで、もう曲がナイ! 冗談じゃナイ! ざけんじゃナイ! ×(バッテン)じゃナイ! この×は……(自主規制)ってね、ホントにノリだけで書きました(笑)。
08. 恣
──この曲も歌い出しが衝撃でしたね……「コラージュにモンタージュにソバージュ/大体同じだからよろしく」って(笑)。
石井だいたい同じじゃないですか。
桜井これ、石井さんが「ラブロケ(ラヴ&ロケッツ)みたいな感じのを作る」って言ってたから、デモを聴いたときは「ラブロケね……ああ、はいはいはい」って思ったんです。そうした突然、「コラージュにモンタージュにソバージュ」が始まるっていう(笑)。
石井そういう淡々としたメロディー……それこそラブロケなんだけど、それっぽいのを歌いたくても日本語の歌詞を乗せると変なふうになっちゃうから、だからもうまるっきり意味がないもののほうがよかったっていうだけなんですよね。
──音(おん)を重視しただけですか?
石井「意味がないよこんなものは」ってことを歌ってるっていう。さっき(前編参照)の「ワンチャン/ネコチャン」と何ら変わらないですよ。
──研次郎さんはこの曲を受け取ったときにいかがでした?
村井最近の秀仁君のこういう乾いた感じの曲、いいなあって。「100年の終わりかけ」って曲が前のアルバムにあって、あれみたいで好きなんですよね。
──私もこの曲を聴いて「100年の終わりかけ」を思い出しました。
桜井なんか、ネオアコグラムって感じですよね。
──そうですね。「100年の終わりかけ」もそうでしたけど、この曲は石井さんのボウイ感覚が滲んでいるようなイメージです。
石井「ボウイ」ってデヴィッド・ボウイ?
──はい、デヴィッド・ボウイ。石井さんがボウイ感を出すとこういう曲になるような。
石井ああ~、そうですね。
村井ほかに「夢遊病」って曲もあって、あのへんから秀仁君、アルバムに一曲だけこういう曲を作ってくるんです。どれもいいなあって思いますね。