──歌詞を見てみると、1コーラス目の頭が「キミのしぐさに隠れた秘密の物語を」、2コーラス目の頭が「あなたの頑張る性格に」とあって、1コーラス目が太陽目線、2コーラス目が六美目線なのかなと思いました。
私は全部、六美目線なのかなと思っていました。聴く人によって、いろいろな解釈ができると思いますが、確かに太陽くん目線にも見えますね。六美は高校生にして夜桜家の当主としていろいろなものを背負いながらも命を狙われているのに全然弱音を吐かなくて。一方の太陽くんもそんな六美ちゃんを守ると決めてから、スパイになるための努力を怠らずに、危険も恐れず任務にも取り組んで。お互いを心配し、思い合える曲なので、改めて深いなと思います。
『夜桜さん』ファンの方には六美ちゃん、太陽くん、そしてこの夫婦のことを思い浮かべながら聴いてほしいですし、聴いたら更に『夜桜さん』を好きになってもらえてたらいいなと願っています。
『夜桜さん』ファンの方には六美ちゃん、太陽くん、そしてこの夫婦のことを思い浮かべながら聴いてほしいですし、聴いたら更に『夜桜さん』を好きになってもらえてたらいいなと願っています。
──歌詞をいろいろな意味で捉えられるところは曲名の「fam!」にも表れていますね。
「fam」には、「family」よりも近しい関係性を表した俗称・造語らしくて、「brother」を「bro」というみたいな。リリースイベントを現在やっていますが、ファンの方からメッセージを直接聞く機会も増えて。「fam!」は応援してくれるみんなのことにも当てはまるんだなと再確認できたので、今後もっともっとみんなにそういう想いを伝えられたらいいなと思いました。
──歌声は温かくて、さわやかで、今までのソロ曲にはあまりなく、「みんなのうた」に流れてもおかしくないし、まるでうたのお姉さんみたいな包み込む感じもあると思いました。
基本的に笑顔要素で温かく、常にニコっとした感じで歌っていました。最初、表情をあまり入れないように歌ったところ、ディレクターから「もっと笑顔要素があると、明るい世界観になると思うから、笑顔要素多めでお願いします」と言われたので方向性を変えました。あと1番のBメロの「余計なことは眠らせてから」は、眠い感じを出すためにちょっと子供っぽく歌ってみたり。そういったアクセントはちょこちょこ付けつつ、相手を想う気持ちをメインに考えながら、ちょっとお姉さんっぽく、上から優しく見守る感じで歌いました。
──サビで楽し気なコーラスが入ることで、より温かさとfam感が出ている気がしました。
あのコーラスは、レコーディングの場にいたスタッフ陣みんな、CHiCOファミリーにブースに入ってもらって歌ってもらいました。オケにトランペットなどのブラスが入っているので、ボーカルにも華やかさが欲しいと思って、加わってもらいました。音楽ディレクターや今、横にいるマネージャーさんにも(笑)。私のいろいろなお遊びも入れつつ「もう」や「そう」、「共に笑おう」のところを歌ってもらったので、じっくり耳をそばだてて聴いてみてください(笑)。
──お気に入りのフレーズを挙げるとすれば?
お気に入りでありつつ、最初に歌うのが難しいなと思ったのがDメロの「愛の魔法は気づかないうちに 結びつけていく 続いていく 歴史をつないでく」です。特に「愛の魔法は」のところの半音下がる感じが難しくて。うまく音が当たらなくて、苦戦した部分ではあります。
──そして「fam!」のMVのコンセプトやどんな撮影だったのか、そして裏話も合わせてお聞かせください。
いろいろな私の知らない新しい撮影方法があったので楽しかったです。山梨県の河口湖へロケに行きましたが、めちゃめちゃ晴天で。きれいにくっきり見える富士山と満開の桜をバックに、ハウススタジオとお庭を借りて撮影しました。大人っぽい部分や、この撮影のために手作りしてもらった3体のパペット人形くんと一緒のかわいい分も撮影してもらって楽しい1日でした。
──あの3体の人形には何か意味があったんですか?
「fam!」です。赤とピンクがお母さんで、青いのがお父さんで、緑色が子供という家族で。外での撮影では、人形を作ってくださった方がパペットも動かしてくださって。お話によると結構コツがいるそうです。前後で遠近法を使ったり、魚眼レンズを使って撮影してもらいました。レンズをのぞきながらパクパク歌ったりして。ちなみに撮影で使ったパペットは、HMVエソラ池袋店さんに5月31日まで展示されています。HMV立川店さんでは私の動画コメントやMVのメイキング映像も見られますので、お近くにお寄りの際はぜひ!
──円の中にいるCHiCOさんがのぞき込むようにカメラを見て360度回転するカットもおもしろかったです。
「円=縁」で、曲の温かさを表現していて、丸の中にいる私がぐるぐる回ったり、シルエットでポーズをとってみたりとか、丸をモチーフにしたセットでの撮影など、いろいろなパターンで撮っていただきました。
──『夜桜さん』のED映像の中で、太陽と六美が丸い地面を歩いているシーンにもつながっているのかなとも思いました。
確かに回ってますね(笑)。あとDメロの「結びつけていく 続いていく 歴史をつないでく」も家族の絆がぐるぐると回りながら次の世代へ、また次の世代へと関係がつながって、続いていくことともリンクしているのかなと。
──あとバックに映っている桜も、「夜桜さん」に掛けているのかなと思ったり。
なるほど(笑)。MVには桜がどんと映っているわけではありませんでしたが、私がGoPro(360度カメラ)で撮った映像に、満開の桜が映っていたのも嬉しかったです。GoProはお誕生日プレゼントにいただいたんですけど、ほとんどライブや仕事で使うことなく眠っていました。でも今回の撮影で久しぶりにGoProを手に取ったんですけど、めちゃめちゃおもしろい映り方になっていて。平面にすることもできれば、ぐるっと円状にすることもできておもしろかったです。角度的に上からの画角でカメラで映すと出てくるシュールさもありますし、このMVではいろいろな映り方をしているCHiCOを楽しんでもらいたいです。
──カップリング曲「SURVIVOR」は、「fam!」とは対照的なゴリゴリのバンドロックですが、どうしてこういう楽曲を収録しようと思われたのでしょうか?
音楽ディレクターが、昨年の9月に行われた「アニメ『NARUTO-ナルト-』20周年記念 NARUTO THE LIVE」に私が出演した時に来てくださって、その時に初めて私のライブパフォーマンスを生で観たそうで、「こんなにCHiCOさん、カッコいいんですね」とすごくほめてくださって。そして「ロックな曲を歌っているCHiCOさんはめちゃめちゃカッコいいし、EP(『PORTRAiT』)」ではいろいろな曲にチャレンジしてきたけど、CHiCOさんがライブや音楽活動するにあたってはやっぱりロックな曲が欲しいですよね」と言ってくださって。そしてソロ活動を始めるタイミングにあって、今まで温めていたこの曲を今回やっと解禁できました。
──曲名にふさわしく、歌詞もパワフルな強さを感じる内容ですね。
たくましく今を全力で生き抜くという感じです。今回発表するにあたって、作詞・作曲していただいた山本恭平さん(Arte Refact)に歌詞を改めて書き直していただきました。この歌詞は今の私だから歌えるし、刺さるなと思っていて。ソロデビュー曲の「光のありか」の時は、これから新しい環境で、ゼロではないけど、知らない世界に飛び込んでいく自分を鼓舞する気持ちもあるし、私と同じように新しい環境に飛び込みたい人の背中を押せるような、「ここから新しい一歩を踏み出そう」という歌詞になっていました。そこから1年経って、今もなおしんどい時もあるけど、振り返ってはいられないから、「SURVIVOR」は、「この世を生き抜くためにもがいてやるぜ」という歌詞になっているし、1年の間にいろいろな壁にぶつかってきた自分を踏まえた上で、「もっともっと踏み出して、これからもやり続けるぞ」という気持ちで歌いました。
──確かにCHiCOさんとお会いするたびに、自信とたくましさが増している気がします。
本当ですか?(笑)。今もデビューした時のように、新鮮な気持ちで、いろいろなところに視野を向けて、頑張っていくぞという気持ちは忘れていませんが、最初の「頑張るぞ!」から、「生き抜いてやるぞ!」に変わったタイミングかなと思うので、「生き抜く」というワードは自分の中でしっくりきたし、歌詞と肩を組んでいる感じがすごくします。
──でもCHiCOさんの歌声と、「Rock you! で乗り切って」や「だから楽しもうよ」の歌詞からはポップさも感じて、生き抜くといっても、必死というよりは、笑顔で軽やかに跳び越えてみせる、みたいなイメージが浮かんできました。
これから頑張る人に軽い気持ちで聴いてほしいですし、歌詞に「シンドイけれど ツラくてもさ Don’t Give Up 私のために」とあるように、「今佳境で、逃げ出したいけど、エナジードリンクは欠かせません」という人たちに、ラストスパートをかけられるような曲になってくれたら嬉しいです。
また『夜桜さん』がスパイ一家のお話ということで、「出し抜く情報戦」などリンクする部分も入っています。だからアニメで太陽くんたちが潜入捜査する時など挿入歌として流してくれないかなと密かに期待しています(笑)。
また『夜桜さん』がスパイ一家のお話ということで、「出し抜く情報戦」などリンクする部分も入っています。だからアニメで太陽くんたちが潜入捜査する時など挿入歌として流してくれないかなと密かに期待しています(笑)。
──また(いつだって)や(なんだって)など、お客さんに合いの手を入れられるパートも入っていて、まさにライブチューンですね。
みんなにはライブで声を枯らすくらい歌ってほしいです。できるなら( )の部分は全部歌ってほしいけど、たくさんあるから大変かも(笑)。でもみんなは優秀で、いつもステージから参加してくださいとお願いすると完璧にできてしまうので、毎回驚かされるのできっと大丈夫でしょう。