TENSONGがぐいぐい来ている。気が付けば、もうあなたのすぐそばまで来ている。結成3年、ボーカル、ギター、DJの3人組で、3人の個性は良い意味でバラバラ。音楽スタイルはノージャンル、ポップもダンスもラップもバラードも飲み込む多様な魅力を振りまきながら、TikTokを中心にSNS総フォロワー数は100万人を突破して上昇中のニューカマーだ。「一人一人に寄り添った楽曲を届けたい」というコンセプトを掲げて突き進む、TENSONGは一体どんなグループなのか? 8月19日のファイナル公演まで続く初の47都道府県ツアーを敢行中の3人に、「ライブパフォーマンス」をテーマに話を聞いてみた。
――新人グループとしては超異例の47都道府県対バンツアー。ここまでの感想と手ごたえは?
たか坊(Vo)47都道府県を回ると決めた時には、SNSから始まった僕らが「直接みなさんにお会いして感謝を伝えに行こう」というつもりだったのに、逆にみんなから「ありがとう」という言葉をたくさんいただいて、この関係性をずっと続けていきたいなと思ったのと、僕らにとって初のツアーが47都道府県ツアーで、これ以上しんどくなることはないだろうし、この先はどんどん上に上がるしかないだろうなと。今は土台作り、武者修行だと思っているので、最後まで気を抜かず、しっかり届けていきたいなと思います。僕らは来てくれた人たちの夢も背負ってるんで、それを叶えるために、お互い頑張っていきたいなと思います。「応援してもらってるからこそ、負けないぐらい全力で応援させてもらう」みたいな関係性でありたいなと、改めて実感したツアーでした。
拓まん(Gt)僕らは大分で結成したんですけど、大分のライブは特にアットホーム感が強かったですね。お客さんの盛り上がり方もすごかったですし、「おかえり」みたいな雰囲気をすごく感じて、むちゃくちゃ楽しかった記憶があります。
たか坊大分でライブをするのは初めてなのに、なぜか「おかえり」と言われるという(笑)。全体的に、九州は情熱的で、関西は盛り上げ上手とか、県民性ってあるんだなと思いました。
拓まん北海道も熱かった。言い出したらキリがないくらい、すべての場所が良かったです。
アルフィツアーの一発目が大阪だったんですけど、たった数ヶ月前なのに「まだまだだったな」と思いますね。
拓まん今、あの時の映像は見たくない(笑)。なんなら、おととい見たんですよ。撮影OKの曲があって、YouTubeに上がってるのを見たんですけど、たか坊のMCがすごくぎこちない。
たか坊おまえもぎこちなかったよ!そもそも僕ら、お客さんの前でライブをしたのが去年の「MINAMI WHEEL」(大阪)の一回きりで、今回のツアーの初日が「二度目まして」だったんですが、さすがに緊張しすぎて…。
アルフィ楽しそうにやってるんですけど、顔がひきつってる。
たか坊それが今は、裸になってますからね。
拓まん恥ずかしいという思いもだんだんなくなって。
たか坊みんなで最高の時間を作ろう!という感じになってます。
――すごい進化じゃないですか。でも正直、まだ動員の少ないところもあったりしますよね。
たか坊もちろんあります。
――そういう時は、平常心でやり続けるのか、それとも逆にやる気スイッチが入るのか――。
たか坊僕の場合は、ライブする前に毎回動員を聞いて、スペースがこのくらい空いていると思ったら、そのぶん動けるじゃないですか、お客さんも一緒に。だから「もっと飛べ!」「もっと前に来い!」って煽ります。こっち(拓まん)が冷静かつ綺麗なMCをしてくれるんで、僕は何を言ってるかわからない、ただ上がりまくる人間になってます。そして彼(アルフィ)は何もしゃべらない不思議ちゃん。
アルフィしゃべるの苦手なんで…。
拓まん福島はホールでライブしたんですけど、「福島、盛り上がってますか!」って言おうとして、「盛り上がって…」ぐらいのところでたか坊が「暑い暑い!」とかいって服を脱ぎ出して、かぶせられて終わり。
――あらら。せっかくしゃべろうとしたのに。
アルフィじゃあもういいわって(笑)。
たか坊でも彼は一番前に出ますからね、僕らよりも。サビになったら勝手に前に出て来て、お客さんをガンガン煽ってるんで。
――アルフィさん、二人の後ろにいるDJという役割上、TENSONGのライブパフォーマンスの強みとか、客観的に見られる部分はあると思うんですね。どうでしょう。
アルフィ確かに、彼らが自分の前にいるんで、お客さんの反応は客観視しやすいですね。アッパーの曲のときには「行くぞ!」っていう感じになって、お客さんの一体感や、勢いの差はすごくありますね。そこがTENSONGのいいところかなと最近思います。僕たちにはバラード曲もあって、ジャンルが全部違うんですよ。その分ライブのときの声とか、切り替えが難しいと思うんですけど、少しずつ成長できているのかなと思います。
拓まん説明がよくわからん(笑)。「盛り上がる曲だったら、たか坊と拓まんがめちゃくちゃ煽って、お客さんが飛んでくれて、一体感出てます」とか、もっと具体的に言わないと。
たか坊しかも「バラードとアッパーな曲と、声の切り替えがうまく出来てる」とか、それは普通にボーカルが言う内容だろ(笑)。
――しゃべりにダメ出し(笑)。
アルフィしゃべるの苦手なんで…(笑)。
たか坊でも彼はうちのエースですから。みんな彼の動きの真似をするんで、彼がキーマンです。お客さんがどういう反応をするか、さっきは県民性とか言ってましたけど、ぶっちゃけ彼の動き次第です。彼が動くとみんな動くし、彼が動かなかったらお客さんは動かない。だから今後のライブでお客さんが動いてなかったら、彼が悪いです。(笑)
アルフィ県民のせいではないです(笑)。
たか坊ここ(たか坊&アルフィ)は二人三脚で、ライブ中のMCで僕が煽って、彼が形を作るという意味で、パートナー的な役割を果たしてるんで。僕だけ煽ってるのに彼が飛ばない時とか、マジでブチ切れます。ライブが終わって「ありがとうございました~」って、舞台裏に下がった瞬間に「おまえ、もっと飛べよ!」って、その瞬間に反省会が始まります。そしたらうちの社長がすっと寄って来て、「あとで話そう」って、僕を外へ連れて行く(笑)。
アルフィ物販があるんで。
たか坊今はそれが出来てるんで、毎公演少しずつ成長できているなって、身に沁みて実感できてます。
――その意味で言うと、拓まんさんは、ライブの中ではどんな役割ですか。歌いながら煽る人がいて、それをお客さんに伝える役割の人がいて、自分は?
拓まん僕はたぶん、一番ギャップを狙いやすい位置にいるんですよ。(たか坊は)欲望のままに突っ走るタイプで、(アルフィは)見た目通りの不思議ちゃんで、僕は真面目っぽいキャラになってるんですよ。冷静に周りを見るタイプだと思われてるんですけど、盛り上がる曲の時に、彼(たか坊)が急に「飛べよおまえも!」とか言ってくるんですよ。本来のキャラであれば、無視してギターを弾いていればいいんですけど、そこで「よし、俺も飛ぶぞ!」って、ギターを放してバーン!と飛ぶと、その時のお客さんの反応がやっぱり良かったりするんですよね。最初は恥ずかしがっていたお客さんも、僕が飛ぶことによって思い切って飛べたりとか。そういう意味で言うと、お客さんの恥じらいを捨てさせてあげられるのが僕の役割なのかなと思います。
たか坊そもそも彼が冷静でいてくれるからこそ、僕らがハッチャケられるということがあって。拓まんが縁の下の力持ちで、彼(アルフィ)はキーマンで、僕がフロントマンであるという、それぞれの役割を果たしながら、アイコンタクトで「ここは行けよ!」とか。
拓まんそれも、お互いに全然気を使ってないんですよ。「アルフィのキャラを立てよう」とか、そういうことでもなくて、そもそも根本的な性格が違いすぎて、ただそれを出してるだけ。
たか坊本当に等身大です。ありのままです。
――奇跡のバランスじゃないですか。
たか坊そこに関しては本当に奇跡のバランスだと思います。二人が何考えてるか、今でもわかんないし。
拓まん今、3人でシェアハウスしてるんですけど、(アルフィは)物音立てずに急に家からいなくなったりするんですよ。彼の行動は逐一読めないです。
たか坊何でそういう発想になるんだろうな?という、人とは違う変な感覚がある。逆に(拓まんは)どんな時でも冷静で、僕は欲望のままに生きてるタイプなんですけど、やりたいことを勝手にやって、(二人は)それをすべて肯定してくれる。背中を押すわけではなく、ダメだよと言うわけでもなく、「おまえのやりたいようにやれよ」という人たちなんで、僕はやりやすいです。この3人でいると。
――素晴らしいですね。ベストパートナー。
たか坊47都道府県とか回ってると、ケンカとかするだろうなと思ってたんですけど、なんと今まで一回もないです。音楽の話でぶつかる時はありますけど、それ以外はないですね。そもそも18歳から一緒にいて…。
拓まん気を使う、ということがないんです。思ってることを言うだけで、たとえ口調が強くなっても、そもそもケンカとも思ってない。
たか坊口調が強くなるのは僕だけなんで。感情の隆起が激しいのが僕で、彼(拓まん)は一定で、彼(アルフィ)はマジわかんない。
アルフィもういいよその話(笑)。
たか坊いや、このキャラをみんなに知ってほしいのよ。