ASKAが語る。ASKA×バンド×ストリングスが融合するアンコール公演と新作「笑って歩こうよ」

インタビュー | 2021.08.03 18:00

ASKAのコンサートツアー『Get The Classics ASKA premium concert tour-higher ground-アンコール公演』が10月9日の府中の森芸術劇場からスタートする。アンコール公演として位置づけられているツアーだ。前回ツアーではコロナ禍によって、大阪と熊本公演が延期ののちに中止という事態になってしまった。そうした状況を踏まえて、音楽を繋いでいこうとする意志から生まれたのが今回のツアーなのではないだろうか。いやそんな説明すら不要なのかもしれない。前回のツアーではASKAとバンドとストリングスの融合の妙に何度も胸を揺さぶられた。音楽の楽しみが満載のツアー。とっても楽しいことだから、もっともっとやろう、どんどんやろう。そんなシンプルな動機に基づいたアンコール公演でもあるのだろう。ツアーに先駆けてリリースされたASKAのニューシングル「笑って歩こうよ」も音楽のパワーが詰まった作品となった。懐の深さ、優しさ、繊細さ、そして美しさが染みてくる。笑うこと、歩くこと、そして音楽を楽しむこと。生きることのかけがえのなさ、瑞々しい生命力が1曲の中に凝縮されている。これは希望そのもののような曲だ。ニューシングルのこと、ツアーのアンコール公演のことをASKAに聞いた。
──6月23日に行われた初の配信ライブ『すべてのことには理由がある』、とても密度の濃いステージでした。ASKAさんの歌によって過去・現在・未来を繋いでいくようなステージだと感じましたが、実際にやられての手ごたえはいかがでしたか?

自分たちにとっての最高の喜びの時間にしようということだったんですが、思う存分、楽しませていただきました。昔の仲間と共演できたのが最高でした。二十何年ぶりに一緒にやるミュージシャンもいたんですが、感触はしっかり覚えていたんですよ。

──素晴らしいミュージシャンが一堂に会したのも配信ライブならではだったのでは?

スケジュールを調整して集まっていただいて、うれしかったですし、ありがたかったです。

──ニューシングル「笑って歩こうよ」がリリースされました。この曲を作ったきっかけはありますか?

僕らがかつて聴いてきた70年代のメロディを意識して作りました。バカラック・サウンドに代表されるように、70年代はメロディの宝庫だったと思うんですよ。80年代になって、コンピューターの登場により、音楽の作り方そのものが変わってきましたが、70年代は人間のなせる技が最高に発揮されている時代でした。その感覚で作ってみたかったんです。70年代の頃は1度レコーディングしたら、やり直しができなかったじゃないですか。スタジオを取り直すところから始めなければいけなかった。今は簡単に編集で差し替えられますが、人間の声って翌日になると違うので、一部分だけ変えると、「てにをは」だけが違って聴こえたりする。70年代の感覚をイメージして、妥協のないメロディと妥協のないボーカル録りにこだわって作りました。

──いつ頃に作ったのですか?

実は7年ぐらい前に作った曲なんですよ。それからアルバムを3枚出していますが、その中には入りませんでした。

──なぜ入らなかったのですか?

ただ単に入らなかったんです(笑)。

──それは縁みたいなことでしょうか。

入らない理由はあったんですが、その理由を取っ払ってしまえば、いつでも入れることはできたんですよ。実際に歌ってみると、これはシングルにするしかない曲だなと思ったので、今年2月の時点でシングルで行くと決めました。ヒット曲を出したいとか、そういうことではなくて、長く聴いてもらいたい曲になったので、「歌になりたい」がそうであったようにシングルにしました。今回、ミュージックビデオに尾野真千子さんが出演してくれまして。彼女の演技が素晴らしいんですよ。ヒット曲を出すために利用しているのではなくて、みなさんに紹介したいビデオになりました。

【全編公開】「笑って歩こうよ」 (Official Music Video)

──尾野真千子さんが泣きそうになる瞬間にASKAさんの「笑って歩こうよ」という歌声が入ってきて、グッと来てしまいました。

あそこ、いいですよね。というか、尾野真千子はすごいわって思いました(笑)。

──ASKAさんが海岸で歌っている時の空の色が歌と見事にマッチしています。明るくもなく、暗くもなく、夜明けなのか、それとも雨が降るのか、微妙なトーンですよね。

撮影はあの日しかなかったという感じですね。いつものとおり撮影が終わったら、雨が降ってきました(笑)。

──曲と映像のマッチングも見事です。

「笑って歩こうよ」に関してはもちろんヒットするに越したことはないんですが、たくさんの人の耳に触れて、存在を知って欲しいというのが素直な気持ちです。

──“笑って歩こうよ”ってとてもシンプルなメッセージですが、歌が一緒に寄り添って歩いてくれていると感じました。このフレーズはどんなところから?

やはり70年代サウンドを目指したことがきっかけですよね。メロディが歌詞を呼ぶところがあって。そういう流れで出てきた言葉なので、大きなメッセージを込めようとか、そういうことは考えていなかったです。寄り添っている歌と感じてもらえたのだとしたら、きっとコロナ禍によって、誰もがやられているからなんじゃないでしょうか。人類はみんな、やられているじゃないですか。そんな中で強がりでもいいから、「笑って歩こうよ」という言葉を口にすることが何かのきっかけになるかもしれないですし。

──笑って歩くという状況をイメージするだけでも、気分が少し明るくなります。

希望だけはどんな時も忘れてはいけないと思っているんですよ。どんなことがあっても、希望だけは失ってはいけないものですから。

──ASKAさんの歌声も包容力があります。ダブルで歌うことで深みを出しつつも、細やかなニュアンスも維持されているところも見事です。

実はダブルじゃなくて4つなんですよ。ダブルで歌ったものを新しいエフェクターを使って4本にしてある。さらに下ハモもダブルを4つにしてある。8本でひとつの歌になっています。普通だったら、ここまで重ねると深みが出ても、言葉はわかりずらくなってしまうんですが、重なりすぎないようにわずかにずらしいているので、よく聴き取れるんだと思います。

公演情報

DISK GARAGE公演

Get The Classics ASKA premium concert tour-higher ground-アンコール公演

2021年10月9日(土) 府中の森芸術劇場・東京
2021年10月16日(土) 熊本城ホール・熊本
2021年10月24日(日) 静岡市民文化会館大ホール・静岡
2021年11月5日(金) 岡山市民会館・岡山
2021年11月6日(土) 広島文化学園HBGホール・広島
2021年11月10日(水) 相模女子大学グリーンホール・神奈川
2021年11月16日(火) LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)・東京
2021年11月17日(水) LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)・東京
2021年11月23日(火・祝) 高崎芸術劇場・群馬
2021年11月26日(金) 東京国際フォーラムホールA・東京
2021年11月30日(火) フェスティバルホール・大阪
2021年12月9日(木) ロームシアター京都・京都
2021年12月17日(金) 仙台サンプラザホール・宮城
2021年12月22日(水) 名古屋国際会議場センチュリーホール・愛知
2021年12月28日(火) 福岡サンパレスホテル&ホール・福岡

出演:
ASKA 
ASKA BAND:澤近泰輔(Pf、編曲)、江口信夫(Dr)、鈴川真樹(Gt)、是永巧一(Gt)、荻原基文(Bs)、SHUUBI(Cho)、一木弘行(Cho)
弦楽アンサンブル:Get The Classics Strings

チケット一般発売日:2021年9月4日(土)

RELEASE

「笑って歩こうよ」

ASKA約1年半振りとなるCDシングル

「笑って歩こうよ」

(DADA label)
2021年7月14日(水)SALE
  • 取材・文

    長谷川 誠

SHARE

ASKAの関連記事

アーティストページへ

最新記事

もっと見る