GOOD BYE APRIL、3rdフルアルバム『Xanadu』で「80’sジャパニーズポップス」を体現。どんなマインドで音楽と向き合ったのか、メンバー全員に訊く

インタビュー | 2020.11.25 12:00

明確にリファレンスがある制作は初めてで。今回はみんなで作っていったんです(倉品)

──アレンジはどのように定めていったのでしょう?
延本リファレンス曲をみんなで聴いたりしました。「この曲のギターは80年代のアイドルっぽい歌謡曲で」とか、「この曲のここのフレーズは山下達郎さんみたいな感じで」みたいにオーダーして、それをそれぞれ持ち帰って自分なりに消化して、それをスタジオで出していく……という流れで作っていきましたね。
倉品明確にリファレンスがある制作は初めてで。あと、各パートそれぞれが考えたフレーズを使っているので、僕の作ったデモを忠実に再現した前作と真逆なんですよね。曲を作り始める段階から4人でスタジオに入って、そこで意見をもらいながらメロディを作り始めた曲もけっこうあって。だから今回は分業制というか、みんなで作っていったんです。
つのけん「こういうリズムパターンにしてみたい」という意見をもらって、自分の好きな洋楽の80’sの感じに落とし込んでいきました。古き良きシティポップをどう今風にアレンジするかを考えましたね。「こういうふうにして」と具体例を出されたうえで、「じゃあどうしよう?」と考えるのは楽しくて。おまけにそれぞれが持ってきたフレーズを合わせるたびにバンドがどんどんグルーヴを増して、パズルがはまっていく感じが明確に見える瞬間が多かったんです。
倉品リファレンスという大きなスケッチがあるぶん、目指すべき方向がわかりやすかったのかもね。
つのけんうんうん。迷いなく叩けたぶん、いつも以上に集中もできました。
吉田そうやね。とことん詰めきることもできたし。良くない言い方かもしれへんけど、ラクやった(笑)。「こうしたらこういうふうになんねんな」って勉強にもなって、面白かったですね。
延本王道のポップスを10年やっていると、気付かないうちに固定観念とかマイルール、マイセオリーがどんどん増えてきてしまうんですよ。それが凝り固まっていたことが「飽き」の原因やったのかなと思って。でもリファレンスがあることで、それを壊さざるを得ない状況になったというか。それが良かった気がしますね。
──それでいてGOOD BYE APRILの空気感も残っているし、パロディになっていないところも『Xanadu』のポイントですよね。
延本「山下達郎さんを目指してたのにそうはならなかったね」みたいな(笑)。それが「10年やってきた」ってことなんだろうなと思います。それぞれにちょっとずつ残ったマイルールのおかげで、自分たちの匂いも消えず、真似にならなかったのかなと思ったりしましたね。影響を鏡のように反射させるのではなく、ちゃんと栄養として吸収して出すことが重要なので、影響を受けていることは感じてほしいけど、あの時代からタイムスリップしてきたようなものになってはいけないなとは思っていて。エンジニアの中村(フミト)さんをはじめEndhits Studioのみなさんとのタッグが神懸かってたのも、そういう作品になった理由だと思いますね。
倉品でも曲を作る前に「こういう曲をライブでやりたい」とリファレンス曲を渡されることも多くて、それで真似にならないように曲の土台作りをしていくのはすごく大変でしたね……。
──それはそうですよね。正解がひとつ、そこにあるんですから。
延本「まんまやん!」ってデモもありました(笑)。
倉品どう自分たちのものにしていくのか、バランスが難しくて。でも「これなら本家を聴けばいいじゃん」と言いたくなるようなものを作りたくはない、というプライドもありました。ここまでとことんリファレンスありきの曲作りをしたことがなかったので、やりがいはありましたね。
延本「plastic」や「人魚の鱗」はわたしのアイデアから作り始めた曲で、「サマーレインと涙の跡」や「Xanadu」はもともとあったデモをほとんどぶっ壊して、試行錯誤して大手術をしながら80’s感が出るように仕上げました。壊して作って壊して作ってを繰り返していたら出来た……というアルバムなんです。
倉品今まではパッと自然に生まれてきたものがいいと思っていたので、ここまでテコ入れにテコ入れを重ねたのは初めてですね。

GOOD BYE APRIL「恋がはじまる」MV

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