2016年1月24日にドラムの小林孝聡が加入して新体制となってからも、変わらぬ独特な感性と表現力を更に深化させているエンタテインメントロックバンド、LIPHLICH。前作『蛇であれ 尾を喰らえ』から僅か8ヶ月、早くもニュー・アルバム『発明』が10月19日にリリースされる。今まで彼らが創り上げてきた、“サーカスの見世物小屋のような世界観”に終わりを告げ、新たなLIPHLICHの幕開けとなる作品に!?そして10月23日東京clubasiaよりLIPHLICH史上、最も長いツアーとなる「LIPHLICH ONE MAN TOUR 2016『発明』」がスタート。TOUR FINALは12月10日・日本橋三井ホールにて。“発明”に込められた想いやツアーの意気込みなどをボーカルの久我新悟に聞いた。
──アルバム『発明』は前作『蛇であれ 尾を喰らえ』から約8ヶ月という早いリリースになりますね。
前以てワンマンツアーが決まっていたんです。それが今まででいちばんのロングツアーになるということで、たとえばシングル曲だけだと自分たちも新鮮味がなくなってしまうし、長期間廻る意味もあんまり感じられないなと思って。それで前作からスパンは短いんですけどフルアルバムを出したいなと思ったんです。
──現在(9月上旬)、制作中ということですが、どのようなヴィジョンを持って取り組まれていますか?
前作のときはドラムの小林孝聡が加入して猛ダッシュで作ったアルバムだったので、最初は手探りでちょっと実験的なところがあったんです。その『蛇であれ 尾を喰らえ』を持ってツアーを廻って終わった頃にようやく馴染んで、この4人のLIPHLICHが完成したなって感じたんですね。だから今回のアルバムは現メンバーの音が完成した中できちんとヴィジョンを持って作り始めました。
──そこでテーマとなったのがタイトルにもある“発明”ですか?
そうですね。ひとつ前のシングル『DOUBLE FEATURE』で、この6年間活動してきた中で積み重ねてきた、サーカスの見世物小屋のような世界観の集大成となる作品を作ったんです。サーカスのテイストは十分やり切ったし、これ以上、発展性がないなと思って自分の中で刺激がなくなってしまったんですよ。また同じようなものをやろうと思えばできるんですけど焼き回しみたいになってしまう。そこで自分たちの中で“発明”と感じるものを作りたいなと思ったんです。
──実際、曲作りに変化はありますか?
『蛇であれ 尾を喰らえ』と一緒でみんなで曲を持ち寄ったんですけど、手探り状態で始めた前作とは違って、今回は一人一人が“今のLIPHLICHでこれをやったらカッコいいだろう”みたいなところをちゃんと持って作ってるので手探り感はないですね。
──現段階ではセルフタイトル曲の「発明家A」のみ完成していますが。
『発明家A』の歌詞には今までの作品のテーマとなった“ペテン師”や“蛇”、“見せ物”という言葉を用いて書いているんですよ。ファンの皆さんに“次から新しいことに挑戦していきたい”と公言していたので、その気持ちを持って今までのLIPHLICHを統括した歌詞になったかなと思います。自分の中ではわかりやすく書いたつもりなんですが、やっぱり難しいって言われるかもしれないですけど(笑)
──歌詞にも変化があるんですね?
何かしら設定というかストーリー性のある歌詞を書いちゃうんですよね。それでも直結的に伝えたいなっていうのもあって、以前よりはストレートに書いてるつもりですね。
──他にはどのような楽曲が収録される予定ですか?
ベースの進藤渉くんが作る曲なんかはやっぱりプレイヤー寄りの曲だったりしてますね。あと、今回は今までにないリズムのテンポの曲が多いと思います。リズムって大きく分けるとスロー、ミディアム、アップテンポと3種類あるじゃないですか。今までのLIPHLICHは、スローなら90、ミディアムなら130、アップテンポなら190以上みたいな。それが自分たちにとって体感したときにいちばん気持ちのいいテンポ感なんですね。それが今回は“速い曲だな”と感じる曲が170ぐらいのテンポだったりしてますね。
──デモからその今までにないテンポだったんですか?それともアレンジしていく中でいろいろテンポを試してみた結果なんですか?
アレンジした段階ではいつも通りのテンポなんですよね。“ああ、いつも通りだね”って感じになった時に“なんか飽きた”ってなって。それでちょっとテンポを変えてアレンジし直してみたらハマるというか、こっちのほうがいいなと。ただテンポを変えるだけではなくて、テンポを変えることによって楽器のフレーズが変わるんですよね。あとは、1曲、小林孝聡とツインボーカルみたいな感じで歌ってる曲もあります。
──小林さんは歌もいけるんですね?
結構上手いですね。何でもできるんです、器用なので。
──さきほどこれまでテーマにしてきたものに“刺激がなくなってしまった”とおっしゃっていましたが、今は刺激や新鮮味を感じながら制作できていますか?
そうですね。いろんなものを聴いて吸収する時期なんだろうなって自分でなんとなく思ってまして。もともと楽曲にいろんな楽器を取り入れるのが好きでアコーディオンとかストリングス系はだいたいやっちゃったので、他の要素を入れたいなと思っていて。なんでもいいから柔軟に取り入れることで刺激を得られるのかなと。ただ、“それいいな”と思っても流行ってたら避けたりしますけどね。ヴィジュアル系というジャンルの良さを踏まえたうえで、自分たちのオリジナリティを出すようには考えてます。
バンド史上最長のツアーで、新しいLIPHLICHを体感!