2019年6月にデビュー20周年を迎える松本英子が、自身の誕生日である6月16日(日)神田明神ホールで「20th ANNIVERSARY LIVE ~Coloring Book~」を開催!今年1月にニューアルバム『Coloring Book』をリリース充実した音楽活動を継続。「デビューから20年経って、ようやく歌うことがおもしろくなってきました」と語る彼女にアニバーサリーイヤーの展望について聞いた。
──2019年はデビュー20周年のアニバーサリーイヤー。まず1月にはアルバム『Coloring Book』がリリースされました。
フルアルバムは15周年のときにリリースした『I'm home』以来ですね。デビューの頃から関わりのあった方々、ずっとお願いしたかった方などに楽曲を提供していただいたり、ライブでずっと歌っていたけれど、CD化されていなかった楽曲もあって。いろいろな楽曲を詰め込んだアルバムになりました。
──1999年デビュー曲「涙のチカラ」を手掛けたスウェーデンのプロデューサー、ダグラス・カーが参加したことも話題を集めています。
デビュー当初のレコーディングの記憶はいまも鮮明に残っているし、私の音楽にとってダグラスは欠かせない存在ですからね。20周年のタイミングで、ぜひダグラスと一緒に曲を作りたいと思って、Facebookで連絡を取ったんです。「松本英子を覚えていますか?」とつたない英語でメッセージを送ったら、「もちろんだよ!」とすぐに返事が来て。
──レコーディングはスウェーデンで行ったそうですね。
はい。ダグラスとお会いするのは18年ぶりくらいだったんですが、会った瞬間に当時の雰囲気が蘇ってきましたね。いまの彼の音楽性はダンスミュージック寄りなので、「あの頃のような曲を作ってもらえますか?」とお願いしたら、「Coming Home」のデモが送られてきて、「まさにこれです!」って。コーラスの重ね方も独特で、素晴らしいんですよ。彼がその場でコーラスのフレーズを歌ってくれて、それをマネして歌って、重ねていって。「次はこれ、次はこれ」という感じでライブのコール&レスポンスみたいにどんどん歌ったんですけど、すごく楽しかったですね。デビュー当時だったら、「え?え?」ってパニックになってたかもしれないし、ダグラスもそこまで要求しなかったんだろうなって。
──いまだから生まれた楽曲なんですね。“大切な人にとって「いつか帰る場所」が自分でありたい”という思いを込めた歌詞も印象的でした。松本さんの音楽活動に縁のあるクリエイターが集結したアルバムの内容にもピッタリだなと。
ダグラスのデモに“Coming Home Now”というフレーズが入っていて、それを活かしたかったんですよね。日常の生活のなかで感じることをシンプルに書いたんですが、もしかしたら潜在的に20周年を意識していたのかも。この作品を作ったことで、久しぶりに会えた方も多かったし、“ただいま”という気持ちが自然に生まれてきたので。
──アルバム全体を通し、生楽器を活かしたオーガニックな雰囲気があるのもいいなと。音の好みは一貫してますよね?
そうですね。好きなものって変わらないんだなって(笑)。音楽の作り方はどんどん変化していますが、いまだに生楽器の音が好きだし、その場で鳴っている音をパッケージしたいなって。歌もそうで、出来るだけ直さないようにしているんです。むしろ20年前のほうが気になって、「ここを直したい」ということが多かった気がしますね。年月を経て、きれいに整っていることだけが音楽のすべてではないと思うようになって。そのとき、その場所で鳴っているものが真実だと思うし、たとえ声が掠れたりしていても、そこには必然があるんだなって。もちろん「直したい」と思うこともありますけどね(笑)。
──12曲のうち7曲が松本さんの作詞。松本さん自身の思いが伝わってくるのも、このアルバムの聴きどころだと思います。
「できるだけ自分で書きたい」というタイプではないんですよ、じつは。「ツキミ」は提供曲だし、「メリーゴーランド」はライブのために書いた曲なんですけど、気が付いたら、自分の歌詞が増えていた感じですね。「おせんたく」は詞先なんですよ。歌詞を先に書くと自由度が増すし、「この歌詞に合う曲をお願いします」というやりとりのなかで、自然に音楽性も広がってきて。何もリクエストしないで曲を書いてもらうと、バラードが多くなりがちなので。歌詞を先に書くことで、いままでとは違うカラーの曲になるのも楽しいし、これからもトライしたいと思ってます。もちろんバラードも大好きなんですが、歌うとすごく体力を使うんですよ。いつも「これが最後かもしれない」という気持ちで歌うので…。バラードが増えるとライブがつらいので(笑)、みなさんと楽しく共有できる楽曲も欲しいなって。