渋谷公会堂物語 第12回 語り手:DAISHI、seek(Psycho le Cému)初のホール公演を開催した場所、「お客さんにとってすごく大切な思い出が残る距離感の会場」

コラム | 2019.02.15 18:00

当時の演出や企画を思うと、僕が今求めているものはこれだなと思うところもあります(DAISHI)

──(笑)、それにしても、初渋公の記憶は曖昧という人が多いなかで、お二人はかなり鮮明ですよね。
seek断片的ではあるかもしれないですが…。
DAISHIあれが、初ホールやもんね。
──ホール公演自体が初めてだったんですか。
DAISHIそうなんです。だから、よく憶えてるんだと思います。見える景色がライブハウスとは全然違ったし、セットをちゃんと組んでいただいたのも初めてだったと思うんですよ。
seek昨年出したCDの特典(編集部注:ALBUM「Light and Shadow」豪華版に当時の秘蔵映像を収録)として、その渋公公演の映像を付けたんですけど、まあ、見れたもんじゃないですよ(笑)。
──(笑)、どういうところが?
seek僕ら自身が。企画であったり演出であったり、そういう総合的なPsycho le Cémuはすごいものができてるなと思うんですけど、その盆に載っている我々5人はひどいですよ。
DAISHI(笑)、ただ僕が今求めているものはこれだなと思うところもありますけどね。だって、当時は“今日はメンバーにも内緒でこれをやってやるぞ”とか、メンバー間の驚かせ合いみたいなことがありましたけど、今はもう大人ですから、「今日、こういうのをやるけど、どう?」みたいな(笑)、ワンクッション入りますよね。あの頃は、スタッフさんがびっくりしようがどうしようが、客席に行くときは行くし…。
seek客席に行くということ自体が、ホールやからこその演出ですよね。
DAISHIお客さんのノリは難しかったですよ。一人一人の席がちゃんとあるお客さんを乗せるのはけっこう難しいなと思った記憶があります。
──Psycho le Cémuのライブは、会場も予算規模も大きくなればなるほど楽しくなる、というタイプのショーだと思いますが、そういうライブをやっているバンドから見たホール公演の面白さ、難しさはどんなところだと思いますか。
DAISHIボーカルからすると、怖さは感じましたよ。ライブハウスだと、それほど歌にグッとくる感じはなかったんですけど、ホールになると歌をちゃんと聴くんですよ。“うわあ、いままでライブハウスで歌ってたように歌ってたら、もうあかんな”と思いました。ステージングも、ボーカルは動き回らないでドシッと構えて歌わないといけないところがあるんやなということはすごく感じました。
seekメンバーの表情が届くギリギリのところなのかなと思うんです。
──ある程度の規模感もありながら、メンバーを身近に感じられる限界のラインだ、と?
seek渋公は特に、自分たちが出るだけじゃなく、いろんなバンドのライブも見に行きましたから、その距離感というのはお客さんからしたらすごく大切な思い出が残る会場なんじゃないかなと思います。

音楽をやってる人間にとって目標になる場所になってほしい(seek)

──渋公が初ホールだったとすると、バックステージのようすも印象に残っていることがあるんじゃないですか。
DAISHI黒くない、と思ったのを憶えてます。ライブハウスの楽屋って全面的に黒々しいじゃないですか。
──それから、seekさんは関係者のためのお別れ会にも出席されたそうですね。
seekおそらくアーティストはいなかったと思うんです。“頭が緑はやべえな”と思いましたから(笑)。僕もどんな会なのか、よく分からずに出かけたところもあって、オープニングが区長さんの挨拶だったんで、“こういう人たちが集まる会やったんや”っていう。ただ、マネージメントの部分で公演に携わらしていただいたり、自分は前にやってたMix Speaker's,Inc.というバンドでは渋公を3回やってるし、年越しイベントをずっとやらせていただいていたんで。だから、ここ数年は正直、渋公で年を越してないので、大晦日に何をしていいのかわからないという感じなんですけど。
──渋公の思い出として、大ファンである宮沢和史さんに渋公でサインをもらったことがあるそうですね。
seekディスクガレージさんが「フェス・岩尾」という番組(編集部注:フットボールアワー岩尾望が司会の音楽番組)をTOKYO MXでやってらして、その公開収録が渋公でありまして、Mix Speaker's,Inc.と宮沢さんが、番組の公録ならではの異種格闘技状態といいますか。で、僕は元々THE BOOMのファンだったので、そのお話を宮沢さんのマネージメントにディスクガレージさんからお話してもらって、僕は当日、宮沢さんの詩集を持ってご挨拶に行ったら、快くサインしてくださいました。そのときに自分たちのCDも渡したんですけど、僕らはどうしても下から入るところがあるので、渡すときに「しょうもないCDができたんで、よかったら聴いてみてください」と言ったら、宮沢さんから「自分たちが作ったCDをしょうもない作品ができたと言ったらダメだよ」と、けっこう本気のトーンで言われて、逃げ出したかったです(笑)。あれ以来、「しょうもないCD」とは言ってないです。
──最後に、今年秋には新しい渋谷公会堂がオープンする予定ですが、“こんなホールになったらいいな”という期待と希望を聞かせてください。
seekプロジェクターとかは使わずに、生で見てメンバーの表情がわかる距離であってほしいなと思います。それと、搬入/搬出が楽だといいですよね(笑)。
DAISHIライブハウスとは違う形、さらに他のホールとは違う何かがあれば嬉しいですよね。変わった演出ができればできるほど、Psycho le Cémuとしてはありがたいなと思うので。それを、バンドさんがそれぞれに工夫して使っていくと思うんですよね。
seek今は、時代がどんどん変わっていってる時期で、わかりやすいアイコンが無くなっていってるこの数年間やったような気がするんですけど、音楽をやってる人間にとって目標になる場所になってほしいと思いますね。

公演情報

DISK GARAGE公演

Psycho le Cému 20周年プロジェクト「TWENTY STORY」

-第1章- 20th Birthday Party ~ぼくらの成人式~

2019年5月3日(金・祝) 品川インターシティホール

※本公演はFOOD+1DRINK付きのパーティー形式になります。
チケット一般発売日:2019年2月17日(日)

■20周年プロジェクト「TWENTY STORY」

Psycho le Cému 20周年プロジェクト「TWENTY STORY」

-第2章- エピローグ ~もう一つの未来へ~

2019年5月12日(日) 中野サンプラザホール

チケット一般発売日:2019年2月17日(日)

■20周年プロジェクト「TWENTY STORY」―第2章―

Psycho le Cému 20周年プロジェクト「TWENTY STORY」

-第3章- PLC Home Party

2019年6月7日(金) 新宿BLAZE
出演:Psycho le Cému / SiXX / MIMIZUQ / Dacco

チケット一般発売日:2019年2月17日(日)

  • 兼田達矢

    インタビュー

    兼田達矢

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