2月27日(日)の八戸のツアー初日は中止を余儀なくされたが、2本目の3月1日(火)札幌からファイナルの7月29日(金)下北沢シャングリラまで、全13本のツアーに出る。かつ、4月11日(月)は二度目の『三浦隆一独演会〜生誕祭〜』を渋谷CLUB QUATTROで開催、こちらには、バンド編成による三浦隆一のライブと、空想委員会のライブを観られるという。
というわけで、遂に全開で動き始めた新生空想委員会の、これまでと今とこの先を知るべく、三浦隆一にたっぷりと語っていただいた。
「三浦くん、最近、恋してないでしょ?」って言われた
はい。『社会復帰ツアー』ですね。自分個人の思いとしては、活動をストップする前に歌っていた内容が、若い時の「恋愛うまくいかねえな」とか、そういう歌が多かったので。歳をとった今でも歌えんのかな? その頃とは離れすぎちゃってて、自分事として歌えないんじゃないかな?というのが心配だったんですけど。
意外といけた、「あ、これ、まだ歌える」っていうのは、大きかったですね。あと、お客さん側も、時間が経ったのに、相変わらずちゃんと聴いてくれている感じはしていて。「ああ、まだ大丈夫なんだ」っていうのは、ホッとしたというか。
最初は……バンドを始めた時からの思いとして、歓声を浴びたいっていうのがいちばん大きかったんですけど。それがない中でやって、はたしてこっち側もお客さん側も、おもしろいかな、というのを心配してたんですけど、これも、やってみたら意外に大丈夫だな、っていうのはありましたね。ほんとはお客さんに歌ってほしい部分を、僕が手書きでカードに書いて、お客さん全員に配って、歌う代わりにそれを出してもらうとか、そういう工夫とかはいろいろして。新しい試みとしておもしろかった、っていうのもありましたね。
『社会復帰ツアー』は新曲ゼロで、過去の曲だけでやったんですね。そのあとにリリースはしようという話は、もうしていたので。ツアーが6月に終わって、7月から曲作りスタートでしたね。歌詞に関して言うと、さっき言ったような、若い時の自分を思い出して書く、みたいな曲がけっこうあったんですよ、活動をストップする後期の頃は。それをもうやめよう、今思ってることを歌わないとダメだよな、っていう。ただ、どの世代が聴いても、核の部分は共感できるようなところは目指したいなと思って、作りましたね。
うーん……やっぱりコロナになる前、休止する前は、いかにフェスで注目されるか、いかにフェスに来てくれる活発な世代に刺さるか、みたいなことが、自分としてもやりたかったし、会社としても「そこに行かないとダメだ」っていう方針だったので。ただ、デビュー当時は自然にやっていたことでも、年齢を重ねていくと、興味が変わってくる、それでもそこに狙って撃つ感じのことをやっていて。
だから難しかったですし、難しそうにやっているのも伝わっちゃってるんだろうな、っていうのを感じながら、やっていましたね。それこそ、ライブ制作のスタッフに、「三浦くん、最近、恋してないでしょ?」って言われたことがあって。
「わかるよ」「……そのとおりです」みたいな(笑)。
そうですね。今できることをやるしかないな、っていうふうに、2年間休んだことで前向きになれたのは、よかったです。
はい。正直、空想委員会の活動をストップする前は、曲作りも好きじゃなくなっていて。リリースに合わせて作る感じになってたんですけど、休んでる間に、その苦手意識がなくなって。それはたぶん、ソロ・アルバムを作らせてもらったからだと思うんですけど(『空集合』2021年4月15日リリース)。何を作ってもOK、っていう感じになれたんで。
今回も僕、曲作りはなんの苦労もなく、やりたいことをそのままやる、みたいな感じでした。あとは、一回バンドから離れたので、昔好きだったOASISとか、あのへんを聴いてると、「やっぱ音楽ってかっこいいな」と思えて。
そうです。活動休止した時は、もう音楽を聴くのもイヤで。っていうのがあったんですけど、また聴き始めて。やっぱりかっこいいな、自分もやりたいな、ってなれたのは、大事な時間でしたね。