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ライブレポート

Takashi Utsunomiya U_WAVE 10th Anniversary Tour 2015 -FIFTH ELEMENT- 2015.9.26(土)@EX THEATER ROPPONGI



Takashi Utsunomiya U_WAVE 10th Anniversary Tour 2015 -FIFTH ELEMENT-
2015.9.30 up

実体験に勝る説得力はない、というのがこのところの通り相場である。だから、10代の反抗を歌うのは元不良だし、家族の大切さを伝えるのはバツイチだし、というようなことになる。戦争の悲惨さを語ることができるのは元傭兵しかいない、という時代が来るのかもしれないが、となると例えばジョン・レノンが「想像してごらんよ」と歌ってみせた未来像の実現はなんともおぼつかない話になってしまう。少なくとも、もう少し想像力の出番があってもいいんじゃないか。


そんなことをなんとなく感じている音楽ファンからしてみると、U_WAVEのライブはずいぶんと具合がいいはずだ。音楽は十分にその魅力をアピールしながらも、ステージの演出や構成に“説明”が過ぎることがない。が、冒頭にテーマ設定が詩的に表明されるから、その脈絡はある程度予想できるし、だからこそそこに自分なりの脈絡を絡ませていくことで、オーディエンスはそれぞれのストーリーをふくらませていくことができる。


U_WAVEとしては2年ぶりとなる今回のツアーは、結成10周年のステージでもある。演劇の好きな音楽ファンと、音楽の好きな演劇ファンが、それぞれのフィールドから歩み寄ってくるようなエンターティメント・ショーを志向して始まった彼らのステージも、本数を重ねるなかで独自のスタイルのようなものが確立され、今回に至っている。


言うまでもなく、彼らのステージはミュージカルではないし、あるいは音楽劇でもない。既成のカテゴリーで分類するなら間違いなく音楽ライブにエントリーされる内容のステージだが、ただし彼らのステージではメンバーが親しげな口調で自身の近況をオーディエンスに語って聞かせたりしないし、一体感を煽るコール&レスポンスを求めたりすることもない。


彼らのスタイルの独自性は言葉の扱いに注目すれば、わかりやすい。メンバーが発する言葉は基本的には歌詞だけで、それ以外にステージ上で展開される言葉はすべて台本に則ってセリフとして語られる。唯一、「善夜悪夜物語」と題したコーナーで宇都宮隆と野村義男がおそらくはアドリブと思われる会話を交わすけれど、それは「オンエア中のラジオ番組」という設定の中での話であり、つまりは劇中劇のようなものだから、そこで語られる二人の生の言葉はステージ全体から見ればフィクショナルな一場面のセリフと言っていいだろう。そして、そのステージ全体の進行を担当するのは、いっさい言葉を発しないエディのパントマイム・パフォーマンスなのだから、言葉を頼りに脈絡を辿りたいオーディエンスはいよいよ楽曲の歌詞をしっかりと受け取らなければいけない。つまり、演劇的な枠組みを音楽ライブに持ち込むことによって、むしろいっそう音楽に意識を向けさせる構造になっているわけだ。


U_WAVE 20th Anniversary Live Glorious Kitchen U_WAVE 20th Anniversary Live Glorious Kitchen

それほど理屈っぽく考えないオーディエンスは、例えば「カラフルな感情が出会うとき」という暗示的なフレーズだけを頭の中で転がしながら、カラフルなサウンドで次々に展開されていく楽曲群に素直に身を委ねていればいい。60年代、70年代のロック・スタンダードへの愛着を感じさせながらも、土橋安騎夫の多彩なキーボード・ワークが現代的な彩りを添えていく。


劇的構造は、ボーカリスト・宇都宮隆の個性をいっそう際立たせるという意味でも効果的だ。フロントマンたる宇都宮が演奏と演奏の継ぎ目を担うのではなく、エディのパントマイムと象徴的なセリフがステージ展開の句読点の役割を果たすことで、様々なカラーの楽曲をスイスイと歌いこなしていくスマートなロック・ボーカリストとしての宇都宮の魅力だけが浮かび上がることになる。そして、先にも書いた「善夜悪夜物語」でのふんわりとしたキャラクターとの落差がなんともチャーミングに感じられもする。U_WAVEの独自なスタイルは、やはり宇都宮のためにこそ生まれたものだろう。


ツアー初日に合わせてリリースされた3枚目のアルバム『U_WAVE 3』からの新曲もしっかり織り込んだセット・リストは、10年の軌跡を見渡しながらも、やはり現代へのメッセージをちゃんと押し出している。それは、ひとつには10周年をともに祝いましょうというアッパーなサウンド感であり、ひとつには不穏な空気を鎮め本当の意味での平和な世の中の到来を願うピュアな思いであると思う。もっとも、説明的な要素を極力排した彼らのステージのこと、通常の音楽ライブ以上にオーディエンスが受け取るものは様々だろう。言い換えれば、そんなふうに想像力の自由をとりわけ強く感じられることこそが彼らのステージの最大の魅力ということにもなるはずだ。


彼らならではの、演劇的な音楽ライブのオリジナルな楽しみを満喫した夜だった。


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●report/兼田達矢



INFORMATION


LIVE

Takashi Utsunomiya U_WAVE 10th Anniversary Tour 2015 -FIFTH ELEMENT-

 
2015年11月7日(土) Zepp DiverCity(TOKYO) 17:00 開場 / 18:00 開演 指定席 ¥7,560(税込)
2015年11月8日(日)
【SOLD OUT】
Zepp DiverCity(TOKYO) 16:00 開場 / 17:00 開演 指定席 ¥7,560(税込)
2015年11月14日(土) EX THEATER ROPPONGI 17:00 開場 / 18:00 開演 指定席 ¥7,560(税込)
2015年11月15日(日)
【SOLD OUT】
EX THEATER ROPPONGI 16:00 開場 / 17:00 開演 指定席 ¥7,560(税込)
NOW ON SALE

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RELEASE

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■Takashi Utsunomiya U_WAVE 10th Anniversary Tour 2015 -FIFTH ELEMENT-に向けてコメント動画到着!





U_WAVE(2015.9月 Live Report)


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