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自身の誕生日にデビュー10周年を記念したベストアルバム『KX』（ケイテン）をリリースし、同日から全国ツアー「10th Anniversary Year KREVAライブハウスツアー2014『K10』をスタートさせたKREVA。そのファイナル公演を7月8日、9日にZepp DiverCity Tokyoで開催した。

KREVAにとってライブハウスツアーは5年ぶり。近年はホールやアリーナ会場が中心だったためKREVAがライブハウスでワンマンをやるというプレミア感が、そのままオーディエンスの熱狂的な期待感となって開演前からフロアは“できあがって”いた。そして、KREVAが“半生バンド”＝岡雄三（Ba）、熊井吾郎（MPC & DJ）、菱山正太（Key）、白根佳尚（Dr）を従えてステージに現れると、大歓声とともにフロアの熱気は異様なまでに高まった。レインボーカラーのセットアップ——いや、7色ではない、KREVAがこの10年で作品ごとに掲げてきた10色のテーマカラーがあしらわれている——をまとったKREVAは「トランキライザー」、「挑め」、「基準」、「ストロングスタイル」、「成功」とアグレッシブかつアッパーなラップが際立つ楽曲を立て続けに放っていった。生音と打ち込みが融合する半生バンドならではのグルーヴのダイナミズムと、KREVAの淀みなきボーカル力をまざまざと見せつけられる。最初のMCでは前方に詰めかけようとする超満員のオーディエンスを真摯かつユーモアを交えて“注意”。そのスマートな姿勢に拍手が起こった。次の展開がまた見事だった。

「俺がこの10年、どうやってプロップスを上げてきたかを証明しようかなと。今から人間やめて、ラップの鬼になってもいいですか！？」という宣言から、「PROPS」のトラック上で「THE SHOW」〜「国民的行事」〜DABO ANARCHY KREA名義の「I REP」〜「ひとりじゃないのよ」〜KEN THE 390「Shock feat.SKY-HI,KREVA,Mummy-D」のバースを、ヒップホップならではの遊び心に満ちたメソッドと王者の貫禄を示すスキルで1人マイクリレーしてみせる。さらに「王者の休日」〜「ビコーズ」〜「今夜はブギー・バック」〜「I Wanna Know You」をDJ的な繋ぎの面白さに焦点を当てた手法で連結させるなど、アイデアの妙にも唸らせられる。ベスト盤のツアーだからといって、ただ単に代表曲を羅列するのではなく、10年かけて築き上げてきたKREVAの比類なきアーティストストーリーをドラマティックな立体性をもって浮かび上がる構成は本当に素晴らしかった。

音楽的なターニングポイントでもあり、歌いながら現在の自分自身に鼓舞するようにも迫ってくるという『OASYS』収録の「かも」、アウェーの場で強力な武器となった「Na Na Na」、震災直後に離れかけた音楽に対する情熱をふたたび取り戻す契機になった「KILA KILA」と紡がれた流れも感動的だった。
ソロデビュー曲「希望の炎」で幕を開けた本編ラストブロックは、「アグレッシ部」、「音色」とメロディアスなナンバーによって締めくくられ、ステージ上の幕が閉まった。アンコールでふたたび幕がゆっくり開くと、ステージにはKREVAと三浦大知が並び立っていて、それに気づいたオーディエンスから巨大な歓喜の声が上がったのは言うまでもない。披露されたのは、もちろん『KX』収録の新曲「全速力 feat.三浦大知」だ。4つ打ちのエレクトロダンストラックの上で2人は完璧なパフォーマンスとコンビネーションを見せて躍動した。大ラスはやはり『KX』収録の新曲「Revolution」。今のKREVAのすべてを言い切っているこの曲の余韻は、KREVAとバンドメンバーがステージを去ってもいつまでも耳に残った。

数々の夏フェス出演を経て、関東の次なる大舞台は9月7日、8日に武道館で開催される「908 FESTIVAL 2014」だ。さらなるKREVA伝説が生まれるのは、間違いない。

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