解散ライブもここ、再結成もここ。聖地・赤坂BLITZに約1年ぶりに登場した4人は、最新作『TRUE IMPULSE』からの「衝動」を皮切りに、すさまじいテンションで猛攻を開始する。再結成後の『THE BATTLE OF LOVE』と『TRUE IMPULSE』の曲を中心に、熱く生々しいサウンドがハジケ飛ぶ。再結成前の曲が登場したのは7曲目の「笑う月」で、明るく大らかなエイトビートの心地よさに、「今のほうがよっぽどハードじゃないか?」とふと思う。それほどに、再結成後の新曲はエッジが鋭くトガりまくっている。
「1年半前にはカケラもなかった曲がずらっと並んでます。みなさんが十数年聴き続けてきた曲もずらっと並んでます。今日は思い切り楽しんでいってください」 高野哲(Vo&G)のMCも、何の気負いもなく自然体。中盤ではなつかしい「add9 suicide~3 days in a well」や「ひまわり」もやってくれた。高野哲と岡本竜治(G)は目を合わせてリフを刻み、櫻澤泰徳(Dr)と大西啓之(B)は歌の呼吸に合わせてしなやかにテンポを操る。ラグビーのスクラムのような、一糸乱れぬタフなチームワーク。たぶんこの4人は前世でもバンドを組んでいたんだろう。「やっぱすげぇな…」と、感嘆の言葉が思わず口をついて出る。
「テツさんカッコいい!」「…オマエ中心にやるよ」 ファンとの愛あるやりとりを経て、中盤はZIGZO流のラブソング特集に。特に素晴らしかったのは「トロイメライ」で、高野哲と岡本竜治が息を合わせるギターリフの美しさ、流れるようなメロディのみずみずしさ。“君が願うのなら、僕も願う、願う”と繰り返す言葉のものすごい説得力。ZIGZOというバンドの懐の深さが、この1曲だけでもよくわかる。
後半。「To get her」の明るく柔らかいリズムが次第に加速し、これもなつかしい「WALK」では櫻澤泰徳がドラムソロでこれでもかと盛り上げる。そして熱く渋くハードなブルース・ロック「Hello! I Love You」を経て、一気にクライマックスへ…というところで、櫻澤泰徳がスネアの皮を踏み破るというハプニング発生。すかさず3人が即興のブルースを歌い始め、“今日はミスしたら罰金1万円、サクラさんのカネで今日は飲める♪”と歌う高野哲に、場内やんやの歓声と拍手が降り注ぐ。トラブルが何だ?それがライブだろ?ということは、ファンのほうがよくわかってる。おまけに“お詫びのしるしに”と言って、予定にない「I am a slider」をやってくれたのだから、こいつはまさにラッキー・トラブルだ。
ラストシーン。ZIGZOのファンはもちろん、彼らがアンコールをやらないことは知っている。だが高野哲は言った。「これはZIGZO初のアンコールだと思ってください。この曲を、病気と闘っている佐久間正英さんに捧げます」
曲は「チェルシー」。かつてプロデューサー佐久間正英と共に作り上げた思い出の名曲の歌詞を、高野哲は“まだ終わりの鐘は鳴らない!”と変えて叫ぶように歌った。感動という言葉だけでは全然足りない、すさまじいシーンだった。人にはそれぞれの人生がある。人生にはいろんなことがある。そしてZIGZOはこれからも生きてゆく。この国にZIGZOがいてよかったと思う。
SET LIST
1. 衝動 | 9. add9 suicide〜3 days in a well | 17. WALK |
2. Super Charger Star | 10. 炎は青く揺れる | 18. everlast |
3. Day by Day | 11. ひまわり | 19. BPM365 |
4. STOP! | 12. Dancing in the Chains | 20. Hello! I Love You |
5. I Cult You | 13. Medicine Man | 21. I am a slider |
6. ぶらつく天使 | 14. トロイメライ | 22. I'm In Love |
7. 笑う月 | 15. splash! | 23. CHELSEA |
8. 残響 | 16. To Get Her |
INFORMATION
Mini Album「TRUE IMPULSE」
M1. 衝動 / M2. BPM365 / M3. STOP!
M4. Dancing in the Chains / M5. To Get Her / M6. 残響
全6曲 / ¥1,800(tax in)/ CRCP40347 / CROWN STONES
ZIGZO(2013.10月 Live Report)