ホールでも心の距離を感じさせない、客席と共鳴し合うライブ
客席の明かりが消える前からわき起こっていた手拍子もすごかったが、場内が暗転し、ギターを抱える高橋優のシルエットが浮かび上がった時の歓声といったら!客席から放たれるその猛烈なエネルギーを何倍にも膨らますかのように、姿を現した本人が「序曲」のエレキギターをかき鳴らしている。
高橋優、初の全国 ホール・ツアー。
最終日直前の追加公演は、ステージと客席、双方の興奮が一瞬で沸点を迎える幕開けとなった。
さらに高まり続ける熱を携え、本編1曲目となる「蛍」、そして「終焉のディープキス」へ。
まくしたてられる言葉とソリッドなバンドサウンドが相俟って、ヒ リヒリとしたテンションに包まれる。
「誰がために鐘は鳴る」ではほとんどの人が歌詞を口ずさんでいて、その様子を本当に嬉しそうな表情で見つめる高橋の姿 があった。
「1階の一番後ろも、2階の一番後ろの一番端も、ここからよく見えてますよ!
今日は最高に楽しい時間を過ごすために、1曲1曲精一杯歌わせて頂きます!」
短い挨拶を挟み、ここからはアコギに持ち替えて4曲。
共感する気持ち、自分自身へのエール、発散etc…。
思い思いの感情が客席からステージにぶつけられる。
高橋も、そしてバンドのメンバーも、そんな客席からの反応を体中で受け止めるような熱っぽいプレイだ。
一方通行ではないこの空気こそ、高橋優のライブの真骨頂。聴こえてくる音も、ひとりひとりに向けられた歌声も、どんどん濃厚なものになっていった。
今回はホールでの公演ということで、ここからは着席して6曲。
「靴紐」や「ほんとのきもち」といった楽曲にこうして じっくり向き合うと、まるで1対1で語りかけられているような気分だ。
みんなの手拍子とピアニカがキメ手の「サンドイッチ」でのほのぼのとしたムードも楽 しい。ギターを持たずに歌われた「誰もいない台所」では、真っ直ぐに飛び込んでくる言葉の重みがとても心地よかった。
後半戦は再びエレキに持ち替え、「絶頂は今」や「頭ん中そればっかり」などのアッパーなナンバーを次々と。
かき鳴らすアコギのイントロで歓声が上がったの は「こどものうた」だ。現実は現実として、矛盾は矛盾として真っ直ぐに見つめたこの歌に共鳴する無数の拳が突き上げられる。
本編ラストの「卒業」まで、ス テージと客席との境を全く感じさせない一体感に包まれたままだった。
アンコールでは、8月8日にリリースされる新曲「陽はまた昇る」を披露。
「追加公演というのは、みなさんの熱いご要望で実現出来たライブ。
こんなに素晴ら しいステージに立たせて頂けたことを、本当に嬉しく思っています」と感謝の気持ちが丁寧な言葉で伝えられた。
こんなに大きな会場なのに、心の距離感を全く 感じることがなかったこの日のライブ。
それはきっと、かつての路上ライブでも、こういったホールでも、変わりなく歌ってきた彼の実直さがあるからこそ味わ うことが出来たものだろう。
高橋優の歌、高橋優の声は、これからもそうやってたくさんの人の心と繋がりながら、さらに大きくなっていくに違いないと確信出 来たライブだった。
SET LIST
INFORMATION
7曲入りCD 「僕らの平成ロックンロール②」
LIVE DVD 「高橋優LIVE TOUR~この声って誰?高橋優じゃなぁい?2012 at 渋谷公会堂2012.7.1」
(Warner Music Japan)
●NOW ON SALE
DISK GARAGE.com 高橋優 アーティストページ
高橋優 オフィシャルサイト
高橋優(2012.7月 Live Report)