中学3年生のときに、NHKホールでアンジェラ・アキさんのワンマンライブを見に行きました。他にメンバーさんがいらっしゃる瞬間もあったけど、基本的にはほぼ弾き語りでした。それが最初ですね。
何を考えてたんでしょうね。歌がどわ〜んときて。あんまり、曲で泣いたりしない、そういう感動の仕方をしないタイプだったですけど、涙が出てきて。
ちょうど曲をがっつり作り始めた年なんですけど、年齢のせいもあって、学校に行くのが毎朝、不安だったりして。特に、秋冬になると、本当に不安になってくるんですよね。早朝、太陽が出てないうちに出かけていったりしてたんですけど、そういう心細さを毎日抱えていて。結構、敏感な年だった中で「十五の君へ」では、今は不安だろうけど、その先は大丈夫だよっていうメッセージを受け取って。音源で聞いてたときは泣いたことはなかったんですけど、会場で聞いたときはうわーって思って、泣きましたし、ほっとする感覚もあって。あと、「輝く人」を聞いたときも学校での日々を思い出したりしましたね。アンジェラ・アキさんの声って包み込む強さがスッゴイあるなと思ってて。それをNHKホールの音響で、弾き語りで聞いたときに、ぼわんって包み込んでまっすぐくる感じがすごかったんですよ。当時は人の歌を聞くときも、安心とか、隠れ家が欲しくて聞くっていう感覚が強かったんですけど、本当にそのまんま、どばって浴びたような感じがして。本物なんだな、人なんだなって思って。めっちゃ近い席ではなかったんですけど、ここにいるんだなって思って。めちゃくちゃ厚かましいんですけど、自分もライブができる気がするって思って。でも、なんでそんなこと思ったんでしょう……。
私もこういうふうにライブしたいなって。そういうことを思いがちだったんですよ、ちっちゃい頃から。自信家なわけじゃなくて、別にこの世界はそんなに遠くない気がするって。その立場やそのステージにたどり着けるという意味じゃなくて、「あ、人だ」と思って、なぜかすごく近く感じちゃうタイプだったんです。だから、私もこんなふうに歌いたいなって。私もいつか誰かを同じような気持ちにさせるライブのようなことをしたいなって。その時は、ライブにほぼ行ったことがなかったんで、ライブをしたいなって思ったのかはちょっと微妙なんですけど、漠然とそういうことは思った気がします。自分が受け取ったものを自分もいつか放出したいなっていうことは思った気がしますね。