私は生まれも育ちも東京なので、いわゆる故郷はないんですけど、最近「東京 MY STORY」という新聞のコラムを連載してるんですね。
そこでは、東京のいろんなスポットを思い出の中から引っ張り出してきて、それについていろいろ書いてるんですけど、そこで一番感じるのは小学校、中学校の頃に体験したこと、感じたことが今の自分を作ってるんだな、ということなんです。
本当に、その頃に体験したこと、感じたことが全部今につながってるんですよ。
よく言われることですけど、小学校、中学校の頃にどんな時間を過ごすかということが本当に大事だなと強く、強く思うんですよね。
音楽の話で言えば、今こうして音楽家であるのは、行った学校の音楽室の環境、それから習ったピアノの先生の体質のおかげです。
私のピアノの先生は、レッスンに行った一番最初に「あなたは将来ピアニストになって、それで生きていこうと思っているの?」と聞くんですよ。
私が「いいえ」と答えると、「じゃあ、好きなことだけ練習しなさい」と言ってくれたんです。
あの先生じゃなかったら、私はこんなに音楽を好きになってないと思いますよ。
だって、嫌なことを練習するのは嫌じゃないですか。
特に子供の時代だから、もし嫌なことをやりなさいと言われてたら、全然やらなかったと思うんです。
音楽室の環境ということで言えば、私が行った学校の音楽室にはドラムセットがあったんですけど、8ビートの検定試験で合格した子しか触っちゃいけなかったんですよね。
課題曲は「オブラディ・オブラダ」だったんだけど、もう死ぬ気で練習しましたよ。
定規をスティック代わりにして(笑)。
結果、女の子では一番で受かったんですけど、そんなこともきっと今の私がこうであることの理由の一つだから。
本当に小学校、中学校で経験することが大事だと思うし、私の音楽のふるさとになってると思います。