3 今年ならではのスペシャル・アクトについて
って、来年以降もないとは言えないが、とりあえず去年までは観られなかったセッション等のアクトについてです。 まず1日目、「3人でサービス」、一昨年も突発的に行われたが、今年はちゃんと時間をとってライブ。ボーカル&ギター:ワタナベイビー、ボーカル&ベース:カジヒデキ、ボーカル&ドラム:曽我部恵一の3人によるバンドです。20年くらい前、飲み屋かなんかで曽我部が「ドラム叩きたい」と言ったのがきっかけで突発的に結成、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTの下北沢CLUB Queのライブのオープニング・アクトで出演、カジくん曰く「酔っぱらったチバくんに蹴られた」そうですが、とにかく、一昨年にしろ今年にしろ、こうしてライブをやるのはその頃以来。 「LA BOUM~MY BOOM IS ME~」「スマイル」「恋におちたら」と、それぞれの代表曲を順に歌っていき、4曲目ではかせきさいだぁが加わって「さいだぁぶるーす」、そこから「サガラミドリさん」「君のハートのナチュラル」を経て、「青春狂走曲」から台風クラブが加わり、ラストはRCサクセションの「雨あがりの夜空に」でした。 そしてかせきさいだぁ、
今年は通常のかせきさいだぁとして半分、「かせ山達臣」として半分、のステージだった。「かせ山達臣」とはなんぞや? というのはこちら を読めばわかります。
で、キャラあり、扮装あり、他人の曲、という、言ってしまえば企画物なわけなので、観て笑えるのかと思ったら、ただ単に歌がすばらしすぎてみんなうっとりと聴き入る、みたいな状況になっていた。
そしてカジヒデキ、今年の出演のしかたもスペシャルな形。最近おとぎ話にバックを依頼してライブ活動しているのをうまく使って、まずおとぎ話としてのライブが20分、そこにカジくんが加わってカジヒデキとしてのライブが40分、というステージだったのでした。タイムテーブルが発表になった段階で、その2アクト転換なしでくっついていたので、「ああ、そういうことか」と察しはついたが、実際に観てみると想像以上によかった、いい流れができていて。あと、おとぎ話の有馬和樹、カジくんをダシにしてお客さんあおって盛り上げるのうますぎ。
それからもうひとつ、2日目のそれぞれのステージのトリ、小西康陽(ナッツのステージ)と野宮真貴(ピータのステージ)、つまり元ピチカート・ファイヴのおふたり。今回もサービス精神爆発のDJでアゲまくった小西康陽、途中で野宮真貴が登場して「東京は夜の七時」(2018年バージョン)を歌い、逆に野宮真貴のステージは、「V.A.C.A.T.I.O.N.」(PUFFY・吉村由美のソロ曲。作詞作曲:小西康陽)のカバーの時に小西さんが出て来てスイムのポーズで踊った上に、ラスト曲は「スウィート・ソウル・レビュー」でアンコールは「東京は夜の七時」──というファン大歓喜なことになりました。観れてよかった!と思いました。
4 『ピーキャン音頭』、もう大変なことに。
フェスの1日目、トリ前の時間に、みんなヤグラに集まって、カジくんが作った「ピーキャン音頭」に合わせて一緒に盆踊りを踊りましょう──という催しが去年から始まった。で、去年、かせきさんとおみそはんのふたりがヤグラに上がって、その場で参加者のみなさんに振付を教えてやってみたところ、予想以上に大勢が集まって、しかもみんな観てるんじゃなくて踊る側として参加、「輪になって踊る」というより「輪が太すぎて踊りながらぐるぐる行進」みたいな具合になって、「こんなに盛り上がるとは!」と、スタッフ一同とても喜んだのですが。 今年はそれを軽く超えました。たぶんあの時間あの場所にいた全員が集まっていたと思う。みなさん、これがメインで今日ここまで来たの?というくらいの熱心さ。去年は自身の出番の直前だったので参加できなかったカジくんもヤグラに上がって振付を指導、みんなでちょっと練習してスタート。なんかもう、「うわあ、レイヴだわこれ」というくらいの、ものすごい熱気だった。ちっちゃい子供たちはヤグラの2F部分で踊り、もうちょっと大きい子たちと大人たちは下で踊りながらぐるぐる行進。ちょっと忘れられないくらいの、すばらしい光景でした。
フェスってアーティストよりも参加者に感動することがよくあるものだけど、その最高レベルだった、と言っていいと思う。この時間を味わうためだけにここに来る価値がある、とまで言うと出演者のみなさんに失礼だけど、でもそれくらいの得難い体験だった。 来年がどうなるのかはまだ発表されていないが、何かリクエストできるとしたら、私が個人的にもっとも望むのは「カジくん、『ピーキャン音頭』あと2曲ぐらい作ってください」ということです。みなさん、一回じゃ収まらなくて、何度も曲をかけて踊ったけど、あれ3曲にして30分くらいやったらみんなトランスして昇天すると思う。
というわけで、2018年も、ほかのどこにもないフェスだった、確かに、まさに『Let’s Chill』なかけがえのない時間だった『PEANUTS CAMP』。来年の開催も切に望みます。(兵庫慎司)
SEE YOU NEXT TIME!