JR両国駅前の「両国駅広小路」にて、6月15日(金)から8月31日(金)まで、『江戸ねこ茶屋』がオープンしている。猫にまつわる浮世絵などで演出された江戸の町のセットが組まれていて、その中で暮らしている何匹もの猫たちと遊ぶことができる、という、「巨大にして江戸情緒で彩った猫カフェ」とでも言えばいいのか、そういう催しである。
「どこもかしこもフォトスポット!」(公式サイトより)ということで、会場内は「ねこ長屋」「ねこ風呂」「ねこ遊郭」「ねこ神社」といったコーナーに分かれていて、猫たちが自由に行き来している。
お茶と団子を供する「ねこ茶屋」と、グッズが買える「ねこ土産店」もあり。グッズは、Tシャツやステッカーや豆皿や巾着、てぬぐいやマスキングテープなど、とても充実している。なお、チケットの半券を見せると、すぐ目の前の「江戸NOREN」のレストラン街で割引等のサービスを受けられる。
以上、『江戸ねこ茶屋』の情報でした。では以下は、「で、行ってみてどうだったのか」についてです。
まず、猫が好きで、普段から猫カフェに行ったりするような人は、それはそれはもう夢のように楽しいと思う。いわゆるカフェのように座ってお茶を飲みながら猫と触れ合うスペースではないが、猫の数と規模とセットを考えると、普通の猫カフェと同じか少しだけ高いくらいのこの料金設定(60分 一般1,500円)は、充分にお得だし。
そして。ここからがキモなのですが、この『江戸ねこ茶屋』の画期的なところは……目指したわけではなくて結果的にそうなったのだろうとも思うが……猫は好きだけど普段猫カフェには行かない、という人にとっても、とても楽しいスペースになっているところなのだ。猫が好きで飼っているけど猫カフェはどうも楽しめない、という人種が世の中にはいる。でも、これなら楽しめる、という仕掛けになっているのだった。
要は自分がそうだという話なんですが。なんで猫カフェがあんまり楽しめないのかを自己分析して書き始めると、果てしなく長くなる上にどうやったって「こいつキモい」という具合になることが避けられないので自粛しますが、そんな私と同じようなあなたでもですね。
たとえばほら、道を歩いていて猫を見かけると、つい立ち止まってじいいっと見ちゃったりしません? 近寄ると逃げちゃうからそこまでしないけど、とりあえず、その猫が自分の視界から消えるまでその場から動かずに、じいいいいっと見つめ続けちゃったりしません? しますよね? しないとは言わせないが、つまり、それをやり放題なのがこの『江戸ねこ茶屋』なのだ。ということに、行ってから気がついた。
特に、何がいいって、
カネを払って買うような猫がほぼいない
ということに尽きる。ここにいる猫のほとんど全てがいわゆる保護猫。あの、いわゆる、耳にカッティングが入っている猫ですね。というか、「保護猫たちの里親を探す」「そして保護猫が世の中にいるという問題自体を考える」ということも、この『江戸ねこ茶屋』の開催の、そもそもの大きな目的になっているのだった。つまり「ほら猫かわいいでしょ」みたいな無邪気なイベントではない、ということです。いや、そういうものでもあるんだけど、それだけではない、と言うべきか。
というわけで、血統書付いてるような猫は皆無。ほぼ野良。なので、きれいな毛並みの子や健康そうなのもいるけど、ガリガリのもいるし、若いのもいるけど年老いているのもいる。
どうでしょう? めちゃくちゃよくない? ここで同意しない方は、猫好きだけどカネを出して買ったことがない私のような者とは根本的に趣味が合わないということなので、わかりました、何十万も出して高い猫買ってください、と言うほかないが、同意してくれる方は、すごくピンと来るのではないかと思います。
みんな必ずしも愛想よくなくて、あんまりこっちをかまってくれない子が多いのもいい。って、これは普通の猫カフェもそうか。
とにかく。特に猫を触ったりしなくても、ぼーっと眺めているだけで、60分などあっという間なのだった。
なお、会場内では爆笑問題+太田光代社長、ウルフルズの3人、斉藤和義、坂本美雨などなど、猫好きなミュージシャンやタレント等が描いた絵馬が飾られている。それぞれ一点しかないので抽選だけど、希望者は購入もできるそうです。その売上から経費を除いた全額を、保護猫の支援団体へ寄付する、とのこと。