THE MICRO HEAD 4N’Sは、煌びやかかつ軽やかな世界観の「上弦の月のオーケストラ-Stella Note Magic-」から始まった。抑揚を効かせたNimoの歌声としなやかにロールするサウンドの取り合わせは心地好さに溢れているし、defspiralという個性の強いバンドの直後でいながら、瞬く間に場内をTHE MICRO HEAD 4N’Sの世界に染め上げるのはさすがの一言。オーディエンスもオープニングから華やかなリアクションを見せ、ライブは上々の滑り出しとなった。
その後は、爽やかなアップテンポの「SEVENTH COLOR」やダンサブル&サイバーな「MOON & BUTTERFLY」、クラブ・テイストとキャッチーなサビ・パートをフィーチャーした「PARASITIC EMOTION」などが相次いで演奏された。2人のギタリストを擁し、シーケンスを多用するという音数の多いアプローチを採っていながら、空間を活かしたサウンドを創り上げるのはTHE MICRO HEAD 4N’Sの大きな魅力といえる。音数が多くてもゴチャゴチャした音像になってしまうことは全くなく、奥行きや透明感を湛えたクリアなサウンドを聴かせる辺りは見事だ。彼らの音に対するセンスの鋭さを改めて感じたし、スキルの高いメンバーが揃っているからこそ、それが実現可能なことは言うまでもないだろう。
5曲聴かせたところで、NimoのMCが入った。「改めまして、THE MICRO HEAD 4N’Sです。僕らは、今回のツアーは“白と黒”というコンセプトに分けてライブをしていくことにしました。今のところ、今日はどっちか分かるかな? どっちだったかは、みんなの解釈に任せます(笑)」とのこと。同じ顔合わせで廻るツアーは毎回同じような印象のライブになってしまう恐れがあることを踏まえて、こういう手法を採るのはさすがだし、今日のTHE MICRO HEAD 4N’Sは白か、黒か?……ということも<9BALL GAMES -3rd->の見どころの一つになるに違いない。
ライブ中盤ではNimoの包み込むようなボーカルと歌心に溢れたサウンドが光る「Vanilla」や、煌びやかかつロマンチックな「NOCTURNE」、パワフルなシャッフル・チューンの「REINCARNATION」などをプレイ。彼らの楽曲はライブ映えすると同時に伝わりやすいものが揃っていて、ライブを観ていると自然と気持ちが引き上げられていく。多彩かつ上質な音世界に浸りつつ、“こういうバンドは対バン・ライブやイベントに強いんですよね”と思わずにいられなかった。
ライブを締め括ったのは、切迫感に満ちた「EARNEST GAME」とアッパー&メロディアスな「銀河鉄道の夜〜STARDUST EXPRESS〜」。ノリを強要しないライブでいながらオーディエンスのボルテージはどんどん高まっていき、客席からは何度となく熱い合唱が湧き起こる。「銀河鉄道の夜〜STARDUST EXPRESS〜」で場内が完全に一つになったことを感じさせた後、爽やかな余韻を残してTHE MICRO HEAD 4N’Sのメンバーはステージから去っていった。