MEGAMASSO LIVE 2016【THE FIRST REUNION,SECOND NIMBUS】
2016年12月10日(土) 品川インターシティホール
Text:東條祥恵
Photo:新倉映見
どこを見ても何を聞いても笑ってしまうほど何もかもが“メガマソ”というライブだった。
オープニングからアンコール後のSEの最後まで、メガマソの世界観に彩られた12月10日のライブ。彼らは1年間の冬眠を経て、品川インターシティホールにて行った本公演<MEGAMASSO LIVE 2016【THE FIRST REUNION,SECOND NIMBUS】>でついに目を覚ました。バンド初の完全指定席公演だったにも関わらず、彼らはこのライブを見事パーフェクトにソールドアウトさせてみせ、バンド10周年のアニバーサリー・イヤーの始まりの幕を華やかに開けた。
和洋折衷をイメージしたニュー衣装でステージに現れたインザーギ(Vo.)、Gou(Ba.)、可愛らしいロリータ仕様の涼平(Gu.)。
オープニングから新作「ふとん史/ザセカンドニムバス」から「ザセカンドニムバス」でライブは幕開け。この日を待ちかねていたオーディエンスに、冬眠期間に“変態”したデジタルハードコアなメガマソをいきなり見せつけるところからスタートした。
Vo. インザーギ
「スノウィブルー」で薄いブルーの照明が会場内に灯ると、舞台を包むように設置された幾何学模様を施したセットが青白くキラキラと輝き始めた。その瞬間から、観客の目には舞台上がまるでスノードームのように見えてくるという仕掛けに、心のワクワクが急激に高まる。ウィンターシーズンにぴったりのメガマソの楽曲たちをこんなシチュエーションで味わえるのは、ホールならではだ。
「星降町にて」からは、ファンタジックでメガマソらしい世界観を持った楽曲たちが、スノードームの中のあちこちの街で起こる様々な物語を描き始める。
メガマソ、その中でも涼平が書き続けている物語は設定が細かくあって独自性も非常に強い。そこで“「距離があって、難しい」”と感じる人々との距離を“「縮める」”役割を担っているのが「chimes」を筆頭としたキャッチーなメロディーと、ハイトーンからビブラートまでを屈指してその物語の中へと、上手くナビゲートしていってくれるインザーギの美声の存在。オーディエンスはそれらを入り口にして、舞台上のスノードームを覗き見る形で、彼らが描いていく物語に自分の感覚のピントを徐々に合わせていく。
Gu. 涼平
そして「1年前、僕たちは冬眠しますといって“おやすみ”といって去ったんですけど。この日“おはよう”というのがすごく楽しみでした。こうして目の前(にいるみんな)を見たとき、これはすごいことだなと思って。みんなに支えられていることに気づかされた1年でした。そんな君たちに心を込めて“おはよう”と“ありがとう”をいいたいと思います」と、まずはインザーギが冬眠開けの心境を清々しい笑顔でファンに伝えると、客席には自然と温かい拍手が広がっていった。
そうして、ライブは空想の中の海辺をイメージさせるエレクトロニックでポップなEDM「タイダルピンク」、3連の「リフレイン」と繋いでスノードームをシードームへと塗り替えた後、メガマソワールドの中でもさらにディープな精神性を持った「水没寺院」へとオーディエンスを誘う。水底深くに沈んでしまった星降る街たち。ピアノの分散和音をバックに、繊細なタッチのボーカリングで物語を静かに紡いでいくインザーギの歌。後半、そこにバンドが加わり、大サビでアッパーへと疾走していくというドラマチックなサウンドの説得力を持った展開に、観客たちは曲が終わったあともなかなか拍手ができないほど、心をどっぷりと奪われていった。
Ba. Gou
この後、インザーギがこうして冬眠開けにみんなと再会できたことについて改めて感謝の気持ちを伝えた後、次は「1年前、冬眠するときに君たちに届けた曲と、その1年後に届けた曲を」という曲紹介から「フロスチ」、ショートSEを挟んで「ふとん史」というアウトロ、イントロが同じキーでつながっている2曲を続けてパフォーマンス。こうして冬眠前のメガマソと冬眠開けのメガマソをサウンドでも見事にひとつにつないで見せて、ライブは「ベゾアルステーン」からいっきにライブハウスのノリへとシフト。終盤に向かって畳み掛けていく。
「もっともっと再会を盛大に祝おうぜー!」というインザーギの煽りから、左右に移動しながら観客が舞う「サイレントガール」、オーディエンスの大合唱で場内が多幸感に包まれていった「LIPS」からラストはヘドバンチューン「ザワールドイズマイン」でテンションを炸裂させたまま本編は終了した。
ハッピーオーラに包まれた、ダブルアンコール