11th Album "DEEPER" Release KICK OFF LIVE
2025年2月11日(火祝) Daikanyama SPACE ODD
fox capture planの新しいツアー「TOUR2025 “DEEPER” 」がいよいよ開催となる。3年振りのニューアルバム『DEEPER』はサポートを入れずに3人だけで制作、メロディックなスピードチューン満載の輝かしい作品だった。ライブで映えないわけがない。しかも今日、2月11日(火祝)は“KICK OFF LIVE”と題した特別メニュー。一期一会の特別な夜だ。
オープニングはアルバムと同じ「Deep Inside」。向かって右にエネルギッシュに叩きまくる井上司、中央にどっしりと音も体も仁王立ちのカワイヒデヒロ、左にはコンパクトな鍵盤2台で無限のメロディを紡ぐ岸本亮。3人とも黒と銀の衣装でばっちり決めてる。マイクを掴んだ井上が「今日は楽しんでください」と笑顔でひとこと。そのままノンストップで「Tokyo」へ、ミュージックビデオの美しいダンスシーンの映像を背景に、岸本が腰を浮かせてメロディックなソロを弾きまくる。
「Step‘n」は歌心溢れるハウスミュージックの爽やかな味わいで、「Unlock the Future」はロックの高揚感とクセのあるリズム、岸本がメガネを落とすほどの熱演で大喝采を浴びてる。なにしろ、SPACE ODDのような小箱でfox capture planを見られる機会はめったにない。ぎゅうぎゅう詰めのオーディエンスも楽しそうだ。
「見渡す限り人が敷き詰められてますね」
早口の岸本が謎のテンションでしゃべりまくり、カワイに突っ込まれるいつもの光景。ここからミドル&スローチューンのパートへ、グルーヴィーな「GOLD&TURQUOISE」、切ないメロディを歌うように奏でる「Across the Reef」、井上の叩き出す心地よい浮遊感ビートがたまらない「Waterfilm」、そして岸本の早口、いや速弾きメロディが炸裂するスピードチューン「アンメット」は、彼らが劇伴音楽を担当したドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』メインテーマのセルフカバー。fox capture planがジャズやインストを超えてこれだけで多くの人に愛される理由、キャッチーなメロディの魔法がたっぷりと詰まった曲が続く。
「去年は“三連厄年“でしたが、今年はめでたく一人抜けました」
メンバー紹介で、謎の用語を駆使してカワイの厄年抜けを寿ぐ岸本。3人とも昨年は特に悪いことはなかったというのは、3人の結束力が厄を振り払ったのかもしれない。岸本が「December」のイントロをやり直して「緊張しすぎだろ」とカワイに突っ込まれてる、ツアー初日らしい光景も楽しい。ファンキーで踊れる「Strange Disco」から、カワイのアップライトベースが映えるサイケで重厚な「The curtain of night」、そして井上のブラストビートが炸裂する「Vortex」へ。アルバム『DEEPER』の楽曲は本当にカラフルで多彩だ。音源の良さがライブではそのまま増幅されて、より深いところまで響いてくる。
「今日はオンリー最新アルバム楽曲を披露してきました」
岸本語を翻訳すると、つまり今日は『DEEPER』収録の13曲をすべて演奏しましたということ。本編ラストは『DEEPER』と同じ、すでにライブではお馴染みの、それぞれがソロでスポットを浴びる躍動的チューン「Delight」。点滅する照明の光の渦と、心地よい音の疾走感。時間の経つのがあっという間だ。
アンコールは伸び伸びと溌剌と、「NEW ERA」「エイジアン・ダンサー」と代表曲を披露してぐいぐい盛り上がる。そして「例のやつよろしく」というカワイの言葉にうながされて「ハッピーバースデー」のメロディを弾く岸本。バースデーケーキ登場。2日後の13日は岸本の誕生日、サプライズではなく自分で祝うスタイルに、「これがfox capture planのゆるさですね」と笑う井上。3人のキャラがよく出てる、これがfox capture planのかっこよくて愛らしいライブスタイル。
ラストはバンドの初期を代表する名曲、昨年の新レーベル「CapturisM.」設立を機に新バージョンがリリースされた「疾走する閃光(2024 NEW TAKE)」で、フロアは幸せな高揚感に包まれた。音楽的には原点回帰の要素もある『DEEPER』の素晴らしさと、結成13年の進化の証を同時に感じさせる最新ツアー。「TOUR2025 “DEEPER”」は大阪からスタートし、東京公演は4月27日(日)の日本橋三井ホールを経て5月までツアーは続く。見たほうがいい。いや見るべきだ。