FIVE NEW OLD
duo 20th Anniversary Live ”Too Much Is Never Enough“ 5th Anniversary Show
2023年4月20日(木) duo MUSIC EXCHANGE
なお、FIVE NEW OLDはこの日、同じduoで18:30から『FREE LIVE 2023“FREAK SHOW”』を行っている。こちらは、7月2日(日)に決定しているLINE CUBE SHIBUYAワンマンに向けて、大阪と東京でフリーライブを行った、その東京編。HIROSHI(Vo/Gt)がフロアのまんなかまで行って歌うなどの大熱演で、初めてFIVE NEW OLDを観る人も含むオーディエンスを魅了した。その終了後の20:30から、この『"Too Much is Never Enough”5th Anniversary Show』がスタートした。
『Too Much is Never Enough』の曲順どおりに、12曲を演奏していくセットリスト。「始めようか渋谷、いつも心に太陽を! Sunshine!」と曲名をコールして歌い始めたHIROSHIが、ワンフレーズ歌ってフロアにマイクを向けると、いきなりすごいボリュームのシンガロングが返ってくる。中盤でHIROSHIが「幸せになりたい奴、手を挙げろ!」と叫ぶと歓声と共に手が挙がり、曲に合わせて大きなハンドクラップが響き、「最高じゃん、みんな!」と喜ぶ。
2曲目の「Ghost In My Place」では、音源に参加しているSANABAGUN.のサックス、谷本大河がゲストで登場。まさに「クール」という言葉そのままのプレイぶりで大拍手を浴びる。
「Gold Plate」は、HIROSHIとオーディエンスで「♪Oh Oh Oh」の掛け合いで始まり、40秒以上にわたるWATARUのギターソロで終わった。ドラムのHAYATOがパッドを叩く「Dance With Misery」では、オーディエンスがシンガロングしっぱなし、それにのせてHIROSHIがフェイクを聴かせる。
続く「Liberty」は、音源ではODD Foot Worksが参加している。というわけで、中盤でPecoriが登場、猛烈なラップを聴かせ、自身のパートが終わるとサッと去る。
「踊りたい人いる? まだまだいけちゃう?揺れてもらっちゃっていいですか!?」というHIROSHIのアオりから始まった、シックでダンサブルな「Stay (Want You Mine)」では、その言葉どおりにフロアが波のように揺れ続ける。
タイのシンガーソングライター、STAMPが音源に参加している「Good Life」は、「STAMPさんが、タイでライブがあるから来れない。で、『代わりの奴を送るから』と」というわけで、WATARUがWatampになってSTAMPのボーカルパートを担った。なお、この曲、5年ぶりに人前でやる、ということで、「初めて観る人もいると思いますから。このメロディを一緒に歌ってほしいと思います」と、みんなでサビを練習してから曲に入った。が、練習する必要がなかったことがわかるくらい、大きなシンガロングが響いた
3拍子のインスト「My Sacred Chamber」を経て、『Too Much is Never Enough』の中でもっともアップテンポでハードな「Halfway Home」では、さらにフロアを歌わせる。
そして、この5年と現在についてのMCをはさんでからの「By Your Side」で、「みんな手を貸して」と、イントロのアカペラ部分でハンドクラップを求めるHIROSHI。曲の中盤では、メンバー4人とオーディエンス、全員がリードボーカルのような状態になる。
しかし次の、アコースティックギターの弾き語りで、音源(全編英詞)にはない日本語詞の歌い出しで始まった「Young & Dumb」では、フロアは静まり返って、じっとHIROSHIのボーカルに耳を傾ける。後半、WATARUが、この日二度目の猛烈にエモーショナルなギターソロ。
「この『Too Much is Never Enough』というアルバムを通してみなさんに会えたことは、俺の人生の誇りです。この先もこのバンドの旅は続くし、みんなの人生の旅は続くから、最後にこの曲をお届けして、今日のところはお別れしたいと思います。また音の鳴る場所で会いましょう、FIVE NEW OLDでした」
という言葉からの12曲目=ラストは「Gateway」。聴きながら踊っても歌っても黙って浸ってもしっくりくる、初期のFIVE NEW OLDを代表するような壮大なこの曲で、『Too Much is Never Enough』全曲再現ライブは、終了した。
……はずだったが、アンコールを求めてハンドクラップが起きる、のはわかるが、客電が点いてBGMで「Sunshine」がかかっても、みんな帰らない。むしろその「Sunshine」に合わせて合唱するし、手拍子は激しくなるしで、もうメンバーが出てくるしかなくなる。
で、登場したHIROSHIが「アルバム終わったよ?」と言うと、「もう一回!」コールが起きる。それに「うっせえ!」と答えたHIROSHI、「じゃあ始まったテイで」と、1曲目と同じ「Sunshine」へ。また「歌える?」とマイクを向けられたオーディエンス、1曲目の時よりさらに大きなシンガロングを返す。
曲が終わり、拍手と歓声がマックスになる中、HIROSHI、マイクを通さずに「ありがとう!」と叫んで、本当にライブが終了。また客電が点いて、また「Sunshine」がかかり、またオーディエンスが歌&手拍子を続けて帰らない。という状態がしばらく続いたあと、「以上をもちまして、本日の公演は──」とアナウンスが流れた。みんな「ええーっ!」と声を挙げたが、その声はすぐに大拍手と歓声に変わった。
少ない時は月に10本、多い時は月に15本以上、いろんなアーティストのいろんなライブを観続ける生活を何年も送っているが、これほどまでにオーディエンスが前のめりで、参加意識が高くて、テーマになった作品(『Too Much is Never Enough』)を愛しているし、知り尽くしているライブに立ち会ったことは、自分はこれまでなかった気がする。
というほど、オーディエンスが熱いライブだったことを伝えたかったので、オーディエンスの反応や言動を中心に、ここまでレポを書いた。オーディエンスの反応の良さで、ステージ上の演者のテンションが上がっていいライブになる、というのは、音楽に限らず、お客を入れて生で何かを見せる(聴かせる)興行では起こりうることだが、この日のFIVE NEW OLDは、もはや「いいライブになる」というのを超えて、「いいライブをさせられている」くらいに見えた。
それはもう、大変に、すごく幸せな時間だったと思う、4人にとって。アルバムを曲順どおりにやるんだから、次はなんの曲なのかみんなわかっているのに、イントロが鳴るたびに大歓声が上がる、など、このアルバムを、そしてFIVE NEW OLDを好きでしかたないオーディエンスの気持ちが、頭から最後まで溢れていたので。
「Good Life」を歌う前にHIROSHIは「最高や、マジで最高。ヤバい、マジで前から後ろまで曲の理解度が超深え」と喜び、「うちでこのあとみんなで飲まないか?」などと、とんでもないことを口にしていた。
で、「いい人生にしようぜ」と言ってから曲に入り、間奏に行くところでは「みんながいる今日がGood Lifeだ、マジでいい人生だ、ありがとう!」と叫んだ。
「Halfway Home」が終わったところでは、「マジでみんな全国に連れ回したいわ」と言った。そして、「お祝いでやろうと思ってたことなんですけど、いちばん祝われてるのはほんと俺たちだな、って、すごい感謝してます」「あなたの生活のそばに俺らの音楽があれば、と思ってきたけど、俺らの音楽のそばにみんなもいてくれたんだな」と、感謝を表した。きれいごとではなく、もう何か言いたくてたまらなくなったことが、リアルに伝わる言葉だった。
7月2日(日)に控えている、LINE CUBE SHIBUYAでの『Painting The Town』は、結成10周年の2020年に行われるはずだったが、コロナ禍で延期の末、いったん中止にせざるを得ず、3年越しでようやく実現するライブである。また、現在のこのバンドのアベレージのキャパシティよりも、大きめの会場でスケジュールを切った、初のホールでのワンマンでもある。
なので、この日にかける気持ちは大きいだろうし、その分、不安も当然あると思うが、この日のライブをやったことで、相当気持ちが明るく、前向きになったのではないかと思う。
当日、少なくとも、このオーディエンスがいてくれる(「来れない」はあっても「来ない」という選択はどう考えてもしそうにない人たちだった)、一緒にライブを作ってくれる、と思うと、心強いだろうなあ、と。で、その日が、いっそう楽しみになった。
SET LIST
01. Sunshine
02. Ghost In My Place
03. Gold Plate
04. Dance with Misery
05. Liberty feat. ODD Foot Works
06. Stay (Want You Mine)
07. Good Life
08. My Sacred Chamber
09. Halfway Home
10. By Your Side
11. Young & Dumb
12. Gateway
Encore
01. Sunshine