ROTTENGRAFFTY ”Hello Zepp Tour 2023”
2023年3月22日(水) Zepp DiverCity(TOKYO)
ここまでThe BONEZ、UVERworld、HEY-SMITH、coldrainをゲストに迎え、各地で熱い対バンを繰り広げてきたROTTENGRAFFTYが、ファイナルの相手に指名したのはハルカミライ。1階スタンディングエリアも2階席も含め、場内はびっしりと埋まった状態で、開演前からすでにワクワク感があふれている。
そんな中、楽しみすぎて本番が待ち切れない様子で、定刻を数分巻いてハルカミライの4人が早くもステージへ登場。そのまま衝動的にライブをスタートさせ、「君にしか」「カントリーロード」「ファイト!!」とのっけから代表曲を惜しみなく披露し、フルスロットルの歌とコーラス、パンキッシュなサウンドで猛然と飛ばすのが実に彼ららしい。
「先輩に対するいちばんの礼儀は、ライブのハードルを上げまくることです!」と言い放つ橋本 学(Vo)の気風のよさに、熱い歓声で応えるオーディエンス。関 大地(Gt&Cho)がアンプの上に立ってギターソロを弾いたり、小松 謙太(Dr&Cho)がドラムセットの前に出てきたりと、ローディーのサポートが大変に思えるほど、楽器隊も縦横無尽に舞台を駆け回る。
過去に共演があるとはいえ、近年は2度のアクシデントによってROTTENGRAFFTYとの対バンが叶っていなかった。それだけに、ハルカミライがこの日に懸けるリベンジの想いは半端じゃない。「春のテーマ」では、橋本が「隣のやつと適当に肩組んどけ!」と焚きつけ、“僕ら世界の真ん中”と歌い合う輪がフロアに爆誕。親密でいて目の覚めるような演奏でロットンのファンをも惹き込み、瞬く間に一切の境界線をなくしてしまうのが痛快だ。
WBCの話からペッパーミルパフォーマンスをして侍ジャパンを讃えつつも、「年中ライブをやって頭おかしいくらいに盛り上がる点だとバンドのほうがすごい」と主張するなど、橋本はMCでも人懐っこい感じが止まらず、ノンストップでずっと歌っているかのよう。「俺んちの犬の曲、やっていい?」と須藤 俊(Ba&Cho)が突如切り出し、セットリストにない「Tough to be a Hugh」が始まったりと、まるでワンマンみたいな雰囲気が続く。
2022年9月にロットンのツアーをキャンセルしてしまった際、ハルカミライの盟友であるINKYMAPを呼んでくれた粋な心遣いにも改めて感謝を伝えた橋本。その後は「みんなも友達を大事にしような!」と届けた「世界を終わらせて」、オーディエンスが揺れながらエモく浸っていた「僕らは街を光らせた」など、どっしりと聴かせるナンバーで圧倒し、大きなグルーヴとともに“新しい今日に出会えた”と歌う「ヨーロービル、朝」で念願のステージを締め括った。
そして、いよいよ“古都のドブネズミ”ことROTTENGRAFFTYが「610行進曲」をSEに出陣。彼らもハルカミライに負けじと、オープニングの「SPECTACLE」からフロアを狂喜乱舞の渦に巻き込んでみせる。
NOBUYA(Vo)とN∀OKI(Vo)の屈強なツインボーカル、荒々しい音像を見事に支える侑威地(Ba)とHIROSHI(Dr)のリズム隊が盤石なのはもちろんのこと、体調不良のためにライブ活動を離れてサウンドプロデューサーへとシフトしたKAZUOMI(Gt&Pro)に代わり、2022年の6月10日“ロットンの日”からサポートを務めるMASAHIKO(Gt/FREEDOM BEATS ORCHESTRA)もバンドにしっかりと馴染んでいて、ヘヴィなリフの一方でポップなメロディも鮮やかに引き立つ、これぞROTTENGRAFFTYと言えるミクスチャーロックがものすごいスピードで場を掌握していく。
間髪入れずに「東京、覚悟しやがれ」とMVの冒頭を彷彿とさせる女性アナウンス(!)が流れて始まったのは、結成20周年のタイミングで生まれたキラーチューン「ハレルヤ」。デスボイスなどメタルテイストも加えてバンドのギアをもうひとつ上げ、「会いたかったぜ! 休ませねえぞ!!」というN∀OKIのアジテートによって、Zepp DiverCity(TOKYO)を大いに揺らす。
さらに、疾走感あふれるビートに儚さや哀愁を溶け込ませた「秋桜」、スカの裏打ちを心地よく織り交ぜた「相殺微量サイレンス」と、さまざまなサウンドアプローチのもと、最新アルバム『HELLO』のアッパーどころを立て続けに演奏。場内がどよめきと大歓声に包まれる、さすがのスタートダッシュを決めた。
バンドの救世主となったMASAHIKOをN∀OKIが仰々しく紹介したあともロットンは一向に手を緩めず、ファスト&ハードコアな「永遠と影」へ突入。「PLAYBACK」「THIS WORLD」といった攻撃的なライブ定番曲も投下され、NOBUYAが「殺す気でかかってこいよ!」と檄を飛ばしてヘドバンの嵐を大発生させるなど、1階のスタンディングエリアはもみくちゃの高揚ぶりだ。
「よかったなー、声が解放できるようになって。叶えたい夢も叫んどいたら実現するんで、どさくさに紛れてめちゃくちゃ言っといたほうがええよ」と喜ぶN∀OKI。また、ようやく対バンに至ったハルカミライとの今日までの経緯について、「2020年の『ハレルヤ Tour』の渋谷O-EASTが(コロナ禍で)できなかったんやけど、3年かかってここに辿り着きました!」「EASTで去年もう一回やろうぜってときに、ベースの(須藤)俊がね。アキレス腱を切ってしまって」「『ハジマザ』(『HAZIKETEMAZARE FESTIVAL 2022』)やったっけ?」「そう、『ハジマザ』でやんちゃしすぎて」「『普通に着地したんですけどね』とか話してたよな(笑)」「いや、あの高さから飛んだらどう見てもアカンやろ!」と、NOBUYAとともに語るシーンも。
初めてハルカミライを目撃したときの驚きを思い返しつつ、彼らがこんなにも支持されている状況がとても嬉しいという2人。約4年半ぶりとなったオリジナルフルアルバム『HELLO』の制作にまつわる苦労(『京都大作戦』の翌日など夏フェスの時期にレコーディングしていた、那須川天心 vs 武尊“世紀の一戦”を東京ドームへ観に行っていたNOBUYAが試合開始前に呼び戻される)、バンドの体制が変わった点にも言及し、ここまで60本以上のライブをサポートしてきたMASAHIKOは「つらいことやムカつくこととして、酔っぱらったHIROSHIくんの介抱はありましたけどね(笑)。たくさん音楽をやらせてもらって感謝してます」と話す。
「これからもROTTENGRAFFTYでギターを弾いてくれますか?」と質問したNOBUYAに、「もちろん!」と笑顔で答えるMASAHIKO。「何はともあれ、結成23年ですわ。波状攻撃を食らうようなこともあるけど、生き抜いて生き続けたらどうにかなる。そんなロットンの諦めない強さをね、へばったときとかに力と糧にしてください」というN∀OKIのMCを受け、オーディエンスがスマホライトを照らす幻想的なムードの中でしっとり届けられた「ハロー、ハロー」、“I am FREE コレしか無いを抱いて”とバンドの泥臭い生きざまを歌った「It's Alright」と繋ぐメロウなミディアムゾーンは、この日のハイライトと言えるくらい心打たれる時間だったと思う。
エレクトロ要素の濃いブライトな「D.A.N.C.E.」以降は再びブチ上がるメニューで、会場を存分にヒートアップさせたロットン。和メロに乗せたツインボーカルの交差が美しい「金色グラフティー」では、「3年間我慢してきたんだろ!? まだ行ったことのない境地まで行くぞ!」とN∀OKIがリードし、途轍もなくデカいシンガロングがエモーショナルに沸き起こる。これだけのキャリアを持つバンドが、今なお全力で「負けんな!」とフロアを鼓舞してくる姿は好感しかない。清々しく突き抜けた本編ラストの「さらけだせば」、「俺たちが京都から来た6人組ロックバンド、ROTTENGRAFFTYです!」という現体制を表したNOBUYAの去り際の一言にもグッときた。
約20年前にリリースしたヒップホップ調のナンバー「DESTROCKER'S REVOLUTION!!!!!」、地元・京都への愛が詰まったお祭りソング「響く都」、N∀OKIのハープが高らかに鳴る中で新たな始まりを告げた「切り札」と、アンコールまで自由奔放かつエネルギッシュなパフォーマンスで魅せたロットンは、いつでもライブハウスにいることを改めて誓い、今後は小さめのハコをいっぱい回ってまたZeppに戻ってきたいと宣言。そして、バンドを続けていく強い意志を示し、ひとつの節目となるツアーに幕を下ろした。待ちわびたROTTENGRAFFTYとハルカミライの対バンで、ひさびさに声が枯れるほど歌ったり叫んだりと、ファンも大満足の一夜だったに違いない。
SET LIST
ROTTENGRAFFTY
01.SPECTACLE
02.ハレルヤ
03.秋桜
04.相殺微量サイレンス
05.永遠と影
06.PLAYBACK
07.THIS WORLD
08.ハロー、ハロー
09.It's Alright
10.D.A.N.C.E.
11.金色グラフティー
12.さらけだせば
ENCORE
01.DESTROCKER'S REVOLUTION!!!!!
02.響く都
03.切り札