Rayflower TOUR 2019 ~One Side & One Side~
2019年9月14日(土) EX THEATER ROPPONGI
ここ数年Rayflowerが秋に行っている全国ツアーが、今年も始まった。地方在住などのためRayflowerのライブを観られる機会が少ないという人を始め、彼らの秋ツアーを心待ちにしていたファンは多いに違いない。さらに、今回の『TOUR 2019 ~One Side & One Side~』は、例年以上に必見のツアーといえる。
理由の1つは、今回のツアーは音源リリースに伴うものではないため、自由度が高いセットリストを組めるということ。もう1つは、彼らが5月に行った『TOUR 2019〝Re:〜Endless Journey〜″』を経たツアーということがあげられる。同ツアーはRayflowerがこれまでにリリースしてきた全曲を披露する場となったため、そこでメンバー達がRayflowerのあり方を見つめ直したことは想像に難くない。この2つの理由から、今回のツアーは現在の彼らがベストと思うRayflowerを提示することが予想できる。
メンバー達が思う“理想のRayflower像”はぜひ見たいし、今後の彼らを予感させるツアーという意味でも見逃せない。彼らはどんなライブをするんだろうと思う中、9月14日がやってきて、『TOUR 2019 ~One Side & One Side~』の幕開けを飾る公演が、EX THEATER ROPPONGIで行われた。
2階席の最後方まで埋め尽くしたオーディエンスがあげる熱い歓声と拍手を浴びてステージに姿を現したRayflowerは、キャッチーなメロディーを配したパワフルなナンバーを相次いでプレイ。躍動感とタイトさを兼ね備えた爆音が耳に心地いいし、ステージの広さを活かして激しいステージングを織りなすメンバー達の姿も観応えがある。気持ちを引きあげる瞬間の連続に、ライブ前半から場内のボルテージは高まった。
「『TOUR 2019 ~One Side & One Side~』初日、EX THEATER ROPPONGIにお集まりの皆さん、こんばんは。Rayflowerです!」という田澤の挨拶を挟みつつ、その後もアッパーなナンバーが続けて演奏された。全身を使って楽曲の世界観を表現しながら情熱的なボーカルを聴かせる田澤。シュアなキーボード・ワークを行う一方で、ショルダー・キーボードを抱えてステージ前面に出てくるという熱さも見せる都。軽やかにステージを行き来して、テクニカル&テイスティーなギター・ソロを決めまくるYUKI。高速スラップやメロウな速弾きなどを織り交ぜたハイレベルなベース・プレイとフィジカルなパフォーマンスが光るIKUO。クールな表情で、緻密かつ歌心に溢れたドラミングを展開する姿が最高にカッコいいSakura。Rayflowerならではの上質なサウンド/プレイはさすがの一言だし、Rayflowerはイケメン揃いだなと思わずにいられない。5つの異なる“華”が並び立つRayflowerのステージは壮観で、何度でも見たくなる魅力に満ちている。
ライブ中盤ではセクシー&ゴージャスなシャッフル・チューンや翳りを帯びたエモーショナルなナンバー、深く胸に染み入るバラードなどで幅広さを披露。表情豊かな流れは観飽きることがないし、Rayflowerの楽曲は一筋縄ではいかないなと改めて思う。彼らは様々な音楽ジャンルの要素を採り入れているが“まんま”ということがなく、必ずヒネリを入れてくる。さらに、異質なものを融合させて面白いものに仕上げるのが抜群に上手い。その結果ありきたりな楽曲は1曲もなく、すべてがRayflowerの個性に昇華されている。オリジナリティーとポピュラリティーを併せ持った楽曲を創れることが彼らの大きなアドバンテージになっていることを再確認させられた。
6曲聴かせたところで、田澤のMCが入った。「今年もやって参りました、ツアー。毎年秋にツアーをやらせていただいていて、秋がくるとツアーが始まるなと思う。秋の風物詩(笑)。夏がTUBEなら、秋はRayflower(笑)。こういうふうに毎年ライブをやれる機会を作らせてもらえるというのは、本当にありがたいことだなと思っています。今回のツアーはいつもとはちょっと違ったRayflowerの一面を見せることができると思うし、初めて参加してくださった方にはRayflowerがこういう音楽をやっていて、こういう空間をみんなと共に創っているバンドなんだなということがわかってもらえるようなライブをしようと思っています。EX THEATER ROPPONGIにお集まりの皆さん、最後まで楽しんでいってください。よろしくお願いします!」。彼の言葉からは、メンバー全員がまたひとつ気持ちを新たにして今回のツアーに臨んでいることが伝わってきた。
Rayflowerのライブの定番になっているメンバー全員のMCを経てライブは後半に入り、パワフルなナンバーが怒涛の勢いで演奏された。爽快感に溢れたサウンドとメンバー全員が繰り広げるフィジカルなパフォーマンスにオーディエンスの熱気はさらに高まり、客席ではタオル振りや息を合わせたジャンプ、合唱などが相次いで起こる。場内は熱気と華やかに満ちた盛大な盛りあがりとなり、Rayflowerが最良の形でツアーをスタートさせたことを感じさせた。
今回のRayflowerのライブはハッピーな楽曲はよりハッピーに、心に深く突き刺さる楽曲はより深くというメリハリが強まって、今まで以上にエモーショナルさが増していることが印象的だった。特に、“明るさ”という部分に関してバンドとして1つ殻を破った感があり、ライブの突き抜け力は圧倒的だった。明るさを押し出していながら軽薄さや軟派な雰囲気はなく、力強さに溢れているRayflowerは貴重な存在といえるし、彼らのライブは独自の魅力を放っている。より多くのリスナーを巻き込んでいくことを感じさせただけに、今回のツアーはRayflowerがさらに大きな舞台に歩を進める布石になるに違いない。