インタビュー:フジジュン
──8月21日(日)に開催される「ROCKETMAN SUMMER FES’ 2016」。ふかわさんならではの豪華かつ、個性的な出演者が揃い、イベントの全体像も見えてきました。
ふかわりょう/ROCKETMAN(以下省略) 今年で7回目、初の恵比寿ザ・ガーデンホールでの開催になるんです。拡大というよりは、長時間なので座って見たいという声に応えて会場を選んだ感じで。全部で6時間を予定していて、転換中も何かしらのことが巻き起こるので。ずっと立って見ているのが辛い方も多いと思うので、この会場を選びました。
──もっと色んな方に来てもらいたかったし、色んな楽しみ方をしてもらいたいと。
そうですね。僕もDJというスタイルではあるんですけど、最近は世界でも国内でもDJが浸透してきて、クラブ以外の色んなところにDJブースが設置されることに違和感がなくなって。ダンスミュージックに抵抗ある人もいるかも知れないですけど、僕はジャンルを超えた音楽にいつも支えられていて。音楽に対する感謝、そして共演者やファンの方への感謝を凝縮したのが、このイベントだと思っているので。
──このイベントや最新作『I’M MUSIC』に、ふかわさんの「音楽ってもっと身近で自由なものだから、もっと気楽に楽しんでいいんじゃない?」という姿勢が見て取れます。
ありがとうございます。そこは無意識に出ているのかも知れなくて。僕は本当に音楽が無いと生きていけないタイプの人間で。例えば、心が不安定な時、寄り添ってくれるのが音楽だったりするので、色んな音楽表現、音楽を聴く形があって良いと常に思っているので。そんな気持ちが作品やイベントに表れているのかも知れないです。
──『I’M MUSIC』は休日の昼下がりや一人の夜、アウトドアにダンスフロアにと、聴くシチュエーションによって全然聴こえ方が違ってくるし、それぞれの楽しみ方が出来ると思って。音楽の色んな楽しみ方を知っているふかわさんだからこその作品だと思いました。
日常の中に流れる音楽ってところは大きいかも知れないです。それはBGMということでなく、音楽を日常の景観と同じくらい重要なことと考えてるという意味で。
──そんな日常の中でも作品やイベントに多分に反映されている“夏”というのは、ふかわさんにとってすごく大事な季節なんですか?
関係ないかも知れないですけど、僕が夏生まれだったり、これまでの人生でも夏に色んなことがあった思い出があって。夏の暑さや空気感、高揚感が好きなんです。夏はフェスだらけですけど、やっぱり夏にイベントをやることに意味があると思うし、それが等身大でいられることだと思っていて。メンバーも毎回違ったメンバーというより、年に一度、いつものメンバーが一堂に会するという感じで。変わらないところ7割、変わるところが3割くらいのイメージで、無理せず良い塩梅で進めていけたらなと思ってるんです。
──その辺も続けてきたからこそ分かることだと思うのですが、続けてきたからこそ感じる面白さや大変さはありますか?
エンタテイメントの根本ですけど、「お客さんに楽しんで欲しくてやってるんだな」という気持ちを再確認出来ましたね。テレビとかラジオに出てると、どうしてもそこがにぶってしまうところもあって。イベントなんて、年にたった一日のことなんですけど、そこに向けて湧いてくる情熱やエネルギーがすごくあって。それが色んな物の原動力になってるんじゃないかな?と思うこともあって。アルバムもその先にイベントがあるから、モチベーションを高く持って作れる部分があると思うし。
──やはり作品制作の際、その先にあるイベントも意識されますか?
ミュージシャンがアルバムを作った後、リリースツアーに出るみたいな感覚かも知れないですけど、アルバムを作った先に大きなイベントがあるというのは、少なからず影響ありますね。あと、僕の場合は日記を綴るような感覚で曲を作っているところがあるので。1年間の日記が、アルバムという形で残るような感覚で作っているんです。
──なるほど。一年の間にあった様々なシーンが曲になって綴られていくというか。
そうですね。あと、今作から<タンバリン・レコード>というレーベルからリリースして。聴いてる分には何も関係ないんですけど、そういうところでもちょっとした気持ちや心境の変化が正直に出せたところはありました。
──ROCKETMANとしては、全国のクラブやイベントも回ってますが、ふかわさん自身がどっぷり音楽畑の人でなく、音楽ファンでいられているというのも大きいと思うんです。
なるほど。でも、音に対する思いは強すぎるくらいあるんです。ちょっとオタク的なくらい音に対する感覚が強くて、そこはベースになってます。そこに色んな思いやテーマを乗せて作品作りをしているので、そこまで頭を悩ませず曲になっていて。
──オタク的に好きな音作りと、日常から受けた影響が自然と繋がっていく?
そんな感じですね。僕、プロ失格かも知れないですけど、売れるためにどうとか、そういう尺度でモノ作りがなかなか出来なくて。自分の心境のままに作ることしか出来ないんですけど、心境は時代によって変わるし、そこに抑揚が生まれると思うので。自分の心境を抑えこまず、素直にそのまま作れたら良いなと思っています。
──そこがすごく良くて、自分らしさやジャンルで括らないところが、抑揚や広がりに繋がっていると思います。アルバムだとフィーチャリング・アーティストによって全然違った色が出ていたりして。中でもMICOさんとの相性の良さは物凄かったです。
何がベースになってるか分からないんですが、ふぇのたす(MICOのプロジェクト)のMVを見た時、凄い衝撃を受けて。「この人と何か一緒に出来たらいいな」と思ってて、その気持ちを熟成させてから思いを伝えたら、MICOさんも共鳴して下さって。結果、3曲も一緒にやることが出来て、それぞれ違った色が出せて。新しい色を使うことが出来てすごく嬉しかったし、彼女の才能あってこそだと思っています。
──MICOさんに限らず、ミズノマリ(paris match)さん、トミタ栞さん、ザ・おかわりシスターズさんなど、フィーチャリング・アーティストが作品をカラフルに彩ってます。
そういう意味では出会いによって、曲も生まれますよね。平野ノラの「OK!バブリー!!」なんて曲は、クラブで1曲目にかけたくて「ARE YOU READY?」という曲を作ってたんですけど。ある時、「OK!バブリー!!」って聴こえちゃって、いつの間にかそっちがオリジナルになっちゃったんですが(笑)。あの曲のお陰でMAHARAJAでイベントをやったり、面白い展開が生まれてきて、やって良かったなと思って。
──臆さずチャレンジ出来る、その姿勢やニュートラルさもふかわさんならではです。
やはり「DJだから」という部分もあって、「次はこんな曲かけたいな」とか、DJブースで感じてることが背中を押してくれているというか。まず、自分がクラブでかけたい曲を作りたいというのが、モチベーションになったりもしてます。
──今回、出演者にアルバムでフィーチャリングしたミュージシャンの名前も並んでますが、ここでしか見れない特別なステージや演出もあるんですか?
もちろんです。今、その辺の準備に時間も費やしているんですけど。好きなことをやらせてもらっていて、そこでの大変さはストレスじゃないと思っているので。すごく恵まれた環境だなと感謝してます。
──音楽以外の演出でも、色んなアイデアを出して。
“日本合コン協会”のフリーソーメンというのがあって、ロビーでそうめんを振るまったりもします(笑)。野外ではないんですけど、夏祭り感を出したいと思って。
──お客さんを選ばない、幅広い層に楽しんでもらえるイベントになりそうですね。
そうですね。そもそもDJというのが、ちゃんと世間に伝わってないところがあって。ダンスミュージックじゃない曲を作ってるDJもたくさんいるので、その辺の認識も徐々に広がっていけば良いなと思いますし。転換の時間も退屈させず、6時間楽しんでもらいたいと思っていて。カッコつけた言い方ですけど、6時間が僕のDJタイムだと思っているので。1曲1曲をセレクトしてかける感覚で、様々なミュージシャンに出てもらったり、出演者に出てもらったりする感覚で、どう組み立てるのが一番心地よいか?一番楽しいか?ということを考えています。だから、すごく楽しいし、やりがいもありますね。
──この記事を読んで、イベントの存在をしった人にも気軽に遊びに来て欲しいですね。
そうですね。音楽が好きな全ての人に楽しんでもらえるイベントにしたいと思ってやっているので、ぜひ遊びに来て下さい。